著者:清水健一郎
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お客様が望んでらっしゃる事を、裏切ることなく、約束したかのように提供する

お客様が望んでいる3つのこと

  1. 欠陥のない製品やサービス
  2. 待たされないタイムリーな対応
  3. 親切で思いやりのある対応

この3つの事について、私達リッツ・カールトン大阪オープニングスタッフ達が、オープン当時ラインナップ(リッツ式朝礼)で上司達から教えていただいた際、よく出てきた話が、なんと「マクドナルド」でした。

よく上司から言われていたのは、
「マクドナルドは、お客様が望んでらっしゃる事を、裏切ることなく、約束したかのように提供している。我々サービス業とお客様との信頼関係は、まず約束したかのように、お客様が望んでおられる事を望んでおられる通りに提供し続ける事、続けなければ、たった1回、2回だけでは信頼していただけない。
マクドナルドは、長年お客様が望んでおられる事を望んでおられる通りに提供し続けてきたことによって、お客様との信頼関係を築き上げてきた」

その当時、「確かにそうだ」と痛感しました。
今まで自身の生活の一部かと思えるくらい身近だったマクドナルドは、私のサービス業のお手本になった事を思い出します。

1.欠陥のない製品やサービス
どの店舗に行っても同じ商品が同じ味で提供されサービスもブレが少なく感じます。

2.待たされないタイムリーな対応
ファーストフード店だけあって、いつも、どの店舗でもスピーディーですね。

3.親切で思いやりのある対応
お子様用のハッピーセットなどは、お値段も手ごろで子供が喜ぶおもちゃを考えてらっしゃると思います。

リッツ在籍中この部分はマクドナルドだと、お客様から求められるサービスは、全てマニュアルに載っている範囲で対応できる。
リッツ・カールトンのようにイレギュラーすぎる要望、対応する側の膨大な対応策の選択の難しさなどはないと思っていましたが、どうやらそうではなかったようです。

本当にマクドナルドのサービスの凄さを知ったのは、学生時代にマクドナルドでアルバイトをしていた妻の話を聞いてからでした。

 

妻からマクドナルドでアルバイトしていた時の事を聞くと、
「ハンバーガーのピクルスか苦手だから抜いてください」
と、言う要望に応えるのは当たり前で、
「タルタルソースの中に入っている刻んだエシャロット(たぶんエシャロットだと思います。マクドナルドさんには確認取っていません。玉ねぎかもしれません)を抜いてください」
と、言う要望に対しても一粒一粒エシャロットを抜いて対応していたそうです。

妻に当時のマクドナルドの事を聞いても、さすがに当時学生アルバイトで20年以上前の事なのであまり覚えていませんが、はっきり妻から言われたのは、お客様の要望に対しては基本「YES」だったそうです。

本書の中でホルスト・シュルツ氏は、

「顧客は、思いやりのある態度で接してほしいと思っている。実際、この3番目の要望は、前の2つを合わせたものよりも大きい。この希望に応えることができれば、ほかに問題があってもカバーすることができる」

と、仰っていますし、私自身もリッツ在籍中に、そう教えられたばかりか、何度も3の『親切で思いやりのある対応』の重要性を経験させていただきました。
日本初上陸のリッツ・カールトン大阪開業の際、お客様はドッと押し寄せ、連日、満席、満室でした。

しかし不慣れなスタッフ達、確立されていない様々なシステムの中、これぞリッツ・カールトンというサービスを提供できたかと言うと、当時のお客様達には申し訳ないと思う事ばかりでした。

しかし、それをカバーしてくださったのが、当時の総支配人ジョン・ロルフス氏でした。お待ちしていただいているお客様のところにジュースを自ら持っていき、一人一人にご挨拶と、ご迷惑をおかけしている事に対しての謝罪の言葉をかけて回ってくださいました。

お客様からすれば、総支配人直々に挨拶に来て、ジュースをサービスされて、悪い想いはしません。
しかも、大阪人の気質的には、
「今回は、オープンで行き届いていない事もあるが、総支配人自らこうやって、声をかけに来てくれたんだ、これからのリッツ・カールトンに期待しよう」
と、成長を見守ってくださるお客様が、非常に多かったと記憶しています。

つまり、ホルスト・シュルツ氏の言う、

「顧客は、思いやりのある態度で接してほしいと思っている。実際、この3番目の要望は、前の2つを合わせたものよりも大きい。この希望に応えることができれば、ほかに問題があってもカバーすることができる」

を、総支配人のジョン・ロルフス氏は先頭に立って、実践してくださったのです。

本書の中でホルスト・シュルツ氏は

「笑顔と心のこもった「おはようございます。」のあいさつを嫌う人はいないだろうし、そうしてもらえば自分には価値があると感じることができるだろう」

笑顔と心のこもったご挨拶をすれば、お客様は自分には価値があると感じてくださいますし、笑顔と心のこもった挨拶をしてくれるスタッフもお客様にとって価値のあるスタッフになる事ができるのではないでしょうか?

 

【編集後記】

クレドを研究している友松です。
本日の清水先生のコラムはいかがでしたか?

マクドナルドの『YES』のサービスははじめて聞きました。
私も学生時代にケンタッキーフライドチキンでアルバイトしたことがありましたが、キッチンでフライドチキンを揚げてましたので…。
あ、ひとつ思い出しました!
思い出したことは、今でも守っていることでした。

それはアルバイトに採用されてから数日間受けた研修のビデオでした。
カウンターで注文を受けるときの研修シーンです。

おじいちゃん:「唐揚げを1つくれんかの?」
女性スタッフ:「はい、からあげでございますね」

正式な商品名はフライドチキンです。
当時は19才だったかな、とてもいいことだしバイト以外でも使おうと思ったのを思い出しました。
実際今でも使っています。

「顧客は、思いやりのある態度で接してほしいと思っている。実際、この3番目の要望は、前の2つを合わせたものよりも大きい。この希望に応えることができれば、ほかに問題があってもカバーすることができる」

親切で思いやりのある対応ができるようになることは、スタッフとしても人しても成長することができますね。

 

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この記事を書いた人

 

著者/清水健一郎

清水健一郎 ザ・リッツ・カールトン日本進出第一号ホテル、
ザ・リッツ・カールトン大阪のオープニングスタッフとして入社。身をもってクレドを実践する。
リッツ卒業後、数社のホテル、小規模飲食店をクレドによって立て直し、クレドがリッツ以外で経営に役立つことを証明する。
その後、オーナーサービスマンとして飲食店を開業。自ら経営者となる。

2013年に、これまでの経験を活かし出版した書籍が、ビジネス書では異例の2万5千部の販売を記録するヒットに。
失敗しない、小予算でできるクレド導入法を開発し、クレド導入を考える経営者や管理職の方へ無料レポートやクレド導入マニュアルを提供している。職場の信頼関係はクレドで作られる

 

記事/友松はじめ

クレド勉強会 友松はじめ

勤務していた食品通信販売会社の業務に関連するセールスマーケティング書籍の他、心理学、自己啓発、加速学習等、あらゆるジャンルの本を1 日1~2 冊のペースで読むようになり、3,000 冊以上を読破。
本から得た情報を担当していたインターネット通販に活かし、売上げを月商数万円のレベルから月商1,000 万以上、年商1億のサイトに育てる

現在は、自身の経験を基にしたビジネス読書法講師、読書法を使った読書会ファシリテーターとして、活動中

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