著者:清水健一郎
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リッツ・カールトンのいう「第二の我が家」はこのことだった / 伝説の創業者が明かす リッツ・カールトン 最高の組織をゼロからつくる方法 ホルスト・シュルツ(著)

今回の章を読み進めていくと、リッツ・カールトン在籍時代とリッツ・カールトン退社後のサービス現場の思い出が蘇ります。

リッツ・カールトン在籍中、上司、先輩から耳にタコができるくらい

「お客様の身になって考えることを追究する」

これを言われました。そして、

「お客様の望みは必ずしも明らかではない」

ことに対して頭を抱えていたものです。
対してリッツ・カールトン退社後、派遣社員としてホテルで働いている際は、お客様の身になって考えることを追究する事を疎ましく思われる事が多々ありました。

「余計な事をするな」
「君しかできない仕事をされると、君がいない時に他のスタッフが困る」

つまり、
「職場に波風立てるな」ということです。
先ずは、お客様の身になって考えることを追究する事に専念できる職場、会社で下積み時代を経験させていただいた事に感謝です。

話は少しズレますが、今回のこの章を読み進めておられる経営者やリーダー達の大きな悩みの一つではありますし、読み進めていかれる際に、

「うちの会社もそうしたいのはやまやまなんだけど、うちの会社の従業員達ときたら・・・」
「そんな職場環境を作る事が出来なくて困っているんだけど・・」

と思って読み進めていくことがストップしてしまう方々もおられるのではないかと思います。
職場環境づくりに苦労されておられる経営者、リーダーの方々には、クレド6ステップ導入マニュアルのなかに職場環境づくりの方法を書いていますので、本書と合わせてお読みいただけたらと思います。だれにでもできる簡単な方法をご紹介しています。

それでは本書を読み進めていきましょう。
ここで、私のとても好きなお話が紹介されています。
それは、

ホテルに泊まることについてたずねられた対象者たちが、「自分の家にいるような気分を味わいたい」と何度か繰り返した。

そこで、「え?」と思われる方も多いのではないでしょうか?
実は私もリッツ・カールトン大阪開業当時、リッツ・カールトンが言う「リッツ・カールトンホテルは第二の我が家」の意味が理解できませんでした。

ホテル館内は、大理石の床、大きなペルシャ絨毯やシャンデリア、まるで貴族の屋敷の様な重厚感漂う雰囲気で、とてもリッツ・カールトンが言う「第二の我が家」とは程遠く「我が家ではなく完全に非日常ではないか? それとも貴族の我が家か?」と思ったものです。

しかし、そうではなくサービスの部分、ホスピタリティという形がない部分を「第二の我が家」と表現したのです。
どう言う事かというと、あなたの想像される「我が家」とは、どのようなものですか? 例えば私は、妻と二人の息子、家の中では子供が遊んでいてたまに大声が飛び交います。

息子の大声が聞こえたかと思うと、今度は妻が息子たちに大声で「うるさい!」と怒鳴っています。
そして、たまに私に向けて妻の大声が響きます。「手伝って!」と。
これが清水家の日常です。

私としては、このような日常の中で、愛や幸せを感じる事はおおいにできますが、癒しを感じる事は、さほど・・・・です。
ゆったりできませんね。
疲れる事はあっても疲れを癒す事は、そんなにできるわけではないのは、世のお父さん、お母さんは、想像に難しくないと思います。

つまり家族のいる我が家は、リッツ・カールトンのいう「第二の我が家」ではないのです。
では、リッツ・カールトンのいう「第二の我が家」とはいったいどのような「我が家」なのでしょうか?

あなたが実家を出て就職し、一人で生活していたとします。
年に1度か2度、実家に帰った際、心の底から実家のありがたみを感じませんか?

  • 綺麗に掃除された自分の部屋。
  • 何も言わず当たり前のように出てくる自分の好物料理。
  • 適当に脱ぎ捨てたはずの衣服が洗濯され綺麗に折りたたまれて枕元に置かれる。
  • 何よりも誰にも気を遣う必要もなくリラックスできる。

だれのおかげでしょう?
そう、実家にいる母親こそ世界共通、人類史上最強最高のホスピタリティの実行者ですね。

何か問題があれば、すぐに母親のところへ行った。「ママ!大変だ、靴下がない!」すると母親はどうしてくれたか?「こっちにおいで」と言って、愛情いっぱいに抱きしめてくれたはずだ。母親は問題を解決するために何をすればよいかを、正確に知っていた「では、上司と相談してみます。とは言わなかった。

「では、上司に相談してみます。」のところ、私吹き出してしまいました。

「お客様の身になって考えることを追究する」
「お客様の望みは必ずしも明らかではない」
上記について時に難しく考える事も人生には必要かもしれませんが、原点はいたってシンプルです。
だって、世界共通であり人類が誕生した時からのホスピタリティの原点は、母親ではないでしょうか?

誰もが知っている有名な焼肉屋さんの社長は、従業員に対して「オカン(おふくろ)の気持ち、オカンの目線で考えて接客をしなあかん」とテレビでおっしゃっておられました。
その社長は、自社のホームページで

今後も『全てのお客様がハッピーになれる焼肉屋さん、焼肉界のリッツカールトン』を目指して頑張りますので食べに来てくだちゃ~い!

たむらけんじ
(炭火焼肉たむらホームページより引用)

なんだか、嬉しくなります。

 

【編集後記】

クレドを研究している友松です。
本日の清水先生のコラムはいかがでしたか?

「 第二の我が家 」は目からウロコでした。
家族といっしょの時間が癒やしの時間…それは建前ですね。(汗)
そりゃあ、家族との時間は大切な時間ですし、子どもってすぐに大きくなって親から離れていくわけですから、ワーワーギャーギャーってうるさいなと思っても、もう二度と戻ってはこないとても貴重な時間です。

でもそれは第二の我が家ではないわけです。
それをホルスト・シュルツさんは知っていたんですね。
清水先生の「オカン理論」もわかりやすく、おもしろく、納得しました。

 

伝説の創業者が明かす リッツ・カールトン 最高の組織をゼロからつくる方法

この記事を書いた人

 

著者/清水健一郎

清水健一郎 ザ・リッツ・カールトン日本進出第一号ホテル、
ザ・リッツ・カールトン大阪のオープニングスタッフとして入社。身をもってクレドを実践する。
リッツ卒業後、数社のホテル、小規模飲食店をクレドによって立て直し、クレドがリッツ以外で経営に役立つことを証明する。
その後、オーナーサービスマンとして飲食店を開業。自ら経営者となる。

2013年に、これまでの経験を活かし出版した書籍が、ビジネス書では異例の2万5千部の販売を記録するヒットに。
失敗しない、小予算でできるクレド導入法を開発し、クレド導入を考える経営者や管理職の方へ無料レポートやクレド導入マニュアルを提供している。職場の信頼関係はクレドで作られる

 

記事/友松はじめ

クレド勉強会 友松はじめ

勤務していた食品通信販売会社の業務に関連するセールスマーケティング書籍の他、心理学、自己啓発、加速学習等、あらゆるジャンルの本を1 日1~2 冊のペースで読むようになり、3,000 冊以上を読破。
本から得た情報を担当していたインターネット通販に活かし、売上げを月商数万円のレベルから月商1,000 万以上、年商1億のサイトに育てる

現在は、自身の経験を基にしたビジネス読書法講師、読書法を使った読書会ファシリテーターとして、活動中

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