著者:清水健一郎
Pocket

個性がぶつかり合う集団の管理能力
総勢600名、一流の陣容を整えてオープン

リッツ・カールトン大阪オープン当時、私は新卒入社だったので、様々な事を「ホテルオープンというのは、こんなもん」。と考えていました。
一般的なホテルオープン時のスタッフの数なども分かっていませんでしたし、リッツ大阪オープンのために集まってきたホテリエの面々も、それぞれがいかに強烈なスタッフばかりだった事もまだ分かっていませんでした。

リッツ大阪は客部屋数300部屋も満たなかったにもかかわらず、採用人数は600人を超え、しかもオープニングスタッフも業界では有名な強烈な方々ばかり。
その中でも、なんといってもリッツ・カールトン大阪オープンのために集まったトレーナーの方々は、リッツ・カールトンカンパニー初代社長ホルス・シュルツ氏をはじめとして副社長の方々、世界中で評価の高いリッツ・カールトンの支配人級ホテリエ達が大集合しました。

当時の私ときたら「へぇ~副社長って、たくさんいるんだ」。と、思う程度でした。
シュルツ氏と直接会話もさせていただいて、熱い握手を交わし食事もご一緒させていただきました。

今から思うと、「なんてもったいない事をしていたんだ!」と悔やまれてなりません。
なぜならもっと聞きたい事、学びたい事など、当時、新卒スタッフだった私には、リッツ・カールトンカンパニー初代社長ホルス・シュルツ氏との食事の時間が、いかに貴重な体験をさせて頂いているのかを理解できていませんでした。

そして、リッツ・カールトン大阪オープンに向けて準備が進んでいき、オープンを迎えます。
そんな中、林田さんがおっしゃる
『個性がぶつかり合う集団の管理能力』
を強烈に体験する事になります。

『仕事のできる職人たちは個性が強い』というのは理解できます。
しかし、新卒スタッフ達でさえ皆、個性が強かったのです。
聞けば「就職活動で内定を頂けたのはリッツ・カールトンだけ、他社からは一つも内定を頂けなかった」。という新卒スタッフ達ばかりでした。

いまでは同期達と話をすると、そんな話題が必ずと言っていいほど出てきますが、本当に当時は、そんなスタッフばかりだったのです。
リッツ・カールトン大阪オープニングスタッフの採用について書かれている書籍(林田正光氏、高野登氏、四方啓暉氏)は、いくつもありますが、その事について皆さん声をそろえて「経験よりもキャラクター、素質、重視で採用した」。と書かれていますが、ポジティブにとらえていただけると幸いです。

しかし、そんな個性の強いスタッフ達ばかりだったおかげで、リッツ・カールトン大阪オープンはうまくいったと私達、当時の新卒スタッフ達は確信を持っています。
そこで、多くの人は、なぜ、強烈なキャラクターを持ったスタッフ達ばかりでホテルを成功に導けたのか? と疑問に思うことでしょう。

林田さんが書かれている
『個性がぶつかり合う集団の管理能力』
ですね。

皆さんは『個性がぶつかり合う集団』と聞いて、どんな集団を思い浮かべますか?
集団とはいかなくてもチーム、例えば…ONE PIECEの麦わらの一味ですかね。
みんな強烈な個を持っています。

そして、自分自身の分野は、誰にも負けない自負があるスペシャリスト達です。
そんなスペシャリスト達が集まって一つのターゲット、目標を達成します。
その姿に人は魅力を感じます。

麦わらの一味
主人公でなくてもチームの仲間一人一人にそれぞれの魅力を感じませんか?

世界一の剣豪を目指す者、世界中の魚を捕獲できる海オールブルーを目指す料理人、世界初の世界地図を作り上げる夢を持つ航海士などなど、各々の夢を持ち、夢を現実のものにするために一味の一員になり仲間と共に前に進んでいます。

なぜリッツ・カールトンのサービスやスタッフ、会社に人々は魅力を感じるのか?
それは、麦わらの一味のようにリッツのホテルスタッフ一人一人も使命感を持ち生き生きしているからではないでしょうか?

将来は店を持つためにリッツで修行をしている料理人やバーテンダー、ソムリエ。
人を育てる事を自身のライフワークにしようとしている各部署のリーダー達。
海外で活躍してみたいと思う海外就職希望者達。

それぞれの夢は違っていましたが、各々の夢達成のためにリッツでがんばる人達。
皆さん、会社のために仕事にはげんでいましたが、やはりエネルギーの根源は、自身の夢の達成のためだったと思います。

会社の目標やターゲットは仲間とともに共有し達成するために日々がんばるわけですが、各々の夢は各々が明確に持って夢に生きている。
だから魅力的なのです。

そんなスタッフ達にお客様達は、接客サービスをしてもらいたくなるものなのです。

「施設や料理は一度その豪華さに慣れてしまえば、次第に感激は薄れていくものでしょう。ところが心からからのおもてなしやサービスには空きが来ることはありません。受けるたびに新鮮が感動に包まれるものです」。

ホルス・シュルツ氏の有名な名言に「リーダー(経営者)が、スタッフにビジョンなき仕事をさせるのは罪」

つまり、スタッフ一人一人が夢を持ち、その夢を受け入れるだけの器があり仕組みがある会社こそがリッツ・カールトンでした。

もちろんその仕組みはクレドです。
今回のコラムだけではクレドの全貌を皆様にご紹介する事は難しいので、その他のコラム、もしくはマニュアルもご覧ください。

 

【編集後記】

クレドを研究している友松です。
本日の清水先生のコラムはいかがでしたか?

今回はリッツ・カールトンに在籍していた清水先生だからこそ聞ける貴重なお話でした。
あのリッツ・カールトン大阪のオープニングスタッフ達がよそのホテルでは不採用だったという話はチョットだけ驚きました。
私が今読んでいる『ゴールド・スタンダード』という本の中で、クレドに適合できる人材を何度も何度も面接して選び抜いているという話を知りました。

面接の資格をもった一般スタッフもいるそうですよ。
だから一般スタッフも面接に加わるんです。
そうやって選びぬかれた人たちが他のホテルで採用されていないなんて…ね。

リッツから採用の方法、採用してからの教育方法を大いに学ぶ必要があるかもしれないと今回の清水先生のコラムを読んで思いました。
磨けば光る。
磨き方を知っているリッツ・カールトン、すごいです。

 

著者/清水健一郎

清水健一郎 ザ・リッツ・カールトン日本進出第一号ホテル、
ザ・リッツ・カールトン大阪のオープニングスタッフとして入社。身をもってクレドを実践する。
リッツ卒業後、数社のホテル、小規模飲食店をクレドによって立て直し、クレドがリッツ以外で経営に役立つことを証明する。
その後、オーナーサービスマンとして飲食店を開業。自ら経営者となる。

2013年に、これまでの経験を活かし出版した書籍が、ビジネス書では異例の2万5千部の販売を記録するヒットに。
失敗しない、小予算でできるクレド導入法を開発し、クレド導入を考える経営者や管理職の方へ無料レポートやクレド導入マニュアルを提供している。職場の信頼関係はクレドで作られる

 

ブランド作りの教科書

  • このエントリーをはてなブックマークに追加