著者:清水健一郎
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クレドを支える価値観と働く目的、仕事における幸せとは?

1枚の「クレド」が組織を変える!/実島 誠(著)を読んでいます。
今、自身の仕事に幸せを感じている方は、社会全体の何パーセントくらいでしょうか?
私はリッツを退社して、派遣社員としていくつものホテルで働かせていただきましたが、自身の仕事に幸せ、働きがいを感じて働いておられたスタッフは、両手の指を折って数えられるほどでした。

そのせいか、どのホテルも人の出入り(入社、退社)が激しく、慢性的な人手不足だった記憶があります。
もちろん、働きがいを感じているスタッフの多い職場ほど、離職率が低かったのは、誰にでも想像できるのではないでしょうか?
では、そんな「働きがい」「仕事における幸せ」について、今回の著書を読み解いていきましょう。

クレドを支える価値観と働く目的、仕事における幸せとは?

「働きがい」「仕事における幸せ」を感じて仕事をされておられる方々は、私の経験上、大きな会社で責任のあるポストについておられる方だったり、親会社だったりしました。逆に「責任のあるポストについていない。と、自身で思われている方々や子会社の方々ほど、「上からの言われた通りに仕事をこなすだけ」「決定は上次第」と、言う人達ばかりだった様に思います。
つまり、決定権は自分達にないと、考えている人達ばかりです。

この人達の共通点は決定権の有無だけでなく、前回のコラムでご紹介させていただいた3つの働く目的の1にあたる経済性、つまり給料のために働いておられる方がほとんどです。
「自分の生きがいよりもまず生活」「夢では食っていけない」確かにその通りです。
では、「働きがい」「仕事における幸せ」を感じて仕事をされておられる方々はどうかと言うと、あなたの周りの人を見てください。働く目的の3にあたる社会性を実感して働いてらっしゃる方ばかりではないでしょうか?

では、社長や職場責任者の皆さんが、スタッフに向かって「社会性を持って働いてください」「会社、社会に貢献するために働いてください」とお願いしたとします。
スタッフの気持ちはどうなるでしょう?
私がスタッフなら、「何言ってるんだ?」とか「ふざけた事を言うな!」と、会社に対して、まちがいなく苛立ちを覚えます。
経営者、リーダーが先頭に立って、「働きがい」「仕事における幸せ」を示すべきだと私は考えています。
リッツカールトンで、下積み時代の私はと言うと、間違いなく「働きがい」「仕事における幸せ」を感じて仕事をしていましたし、私の多くの同期も私同様に「働きがい」「仕事における幸せ」を感じて仕事をしていました。

その根底にあったのは、リッツカールトン初代社長 ホルスト・シュルツ氏の
「企業が犯す最大の罪は、従業員にビジョンなき仕事をさせることだ」
と言う哲学だと確信しています。

リッツカールトンの従業員が「働きがい」「仕事における幸せ」を感じているか、定期的に従業員満足度調査を行って、確認していました。
以前紹介させていただいた著書 「伝説の創業者が明かす リッツ・カールトン 最高の組織をゼロからつくる方法」にも、世界中にホテルを展開するうえで、リーダーが抑えておくべきポイントの一つに従業員満足度がありました。

現場主義のシュルツ氏も、多くのホテルを隅々まで目をいきわたらせる事は不可能だと考え、では各ホテルの何に注目すべきかを紹介されておられましたが、その一つが従業員満足度で、ビジョンなき仕事をさせているホテルでは、従業員満足度が下がり、せっかくコストをかけて教育したスタッフ達も会社を離れ、それにともなって顧客満足度が下がり、売上が下がる。と、言うものでした。

つまり、従業員にビジョンを持ってもらう。今、行っている仕事は、ビジョン達成のためだと理解してもらう。そして、そのビジョンは社会性、自分だけでなく仲間のため、会社のため、社会のために役立っていることを理解してもらうことにより「働きがい」「仕事における幸せ」を感じてもらう事に繋がっていると私は思います。

著者の実島氏も

仕事とは働く人のためにあるものではなく、顧客や会社といった「自分以外の他人に貢献する」ことがその本質です。
どうすれば、顧客や会社の役にたてるか、喜んでいただけるかという他者視点で仕事をすることによって、仕事に創意工夫が生まれ、よりよい商品・サービスが提供でき、それによってまず顧客や会社がよくなります。
(中略)
「お金のため」、「自分のため」という目的はいったん置き、「他人のため」という大きな目的をもって仕事をするほうが、結果として働く人は幸せになれるということです。(50ページより引用)

ビジョンがあったとしても、スタッフに伝わっていない、ビジョン実現の一端を担っている実感を持ていないのであれば、それは、経営者、リーダー達の問題でもあるのです。

 

【編集後記】

クレドを研究している友松です。
本日の清水先生のコラムはいかがでしたか?
NLPの中にメタ・プログラムというスキルがあります。
人間には無意識で選択している思考と行動のフィルターが全部で14個あり、さらにそのフィルターの中にパターンがあります。

そのパターンの選択した結果が現在の思考や行動になっているというものなんですが、簡単に説明すると、人の行動も思考も、使いやすいから何も考えなくても利き手を使うのと同じように思考と行動も使いやすいものを私たちは使っているということなんだそうです。

そのフィルターの中に「管理方向のフィルター」というのがあって、その中の「他者管理型」というパターンは、会社や上司から言われたことをやるのに生きがいを感じたりしますので、そういう人をメタ・プログラムで診断して配置してマネジメントを受け持ってもらうというのも方法のひとつだと思います。

でも、親会社だから、子会社だから…。
でやる気が高まったり、低くなったりするということは焦点があたっている場所が低いように思いました。
与えられた環境の中でも「やりがい」「生きがい」を感じられるようにするには、そのグループに目標が必要だし、個々人にも職場内での目標が必要で、その目標に向かって何かをやっているのを周りが見逃ざすに、褒めて、労って、共感して、応援して…とやっていると、今までと同じはずの環境が「やりがい」「生きがい」を感じられる場所になってくるはずです。

だって、「やりがい」「生きがい」を感じられない環境は、自分が勝手にレッテル貼りした自分の感情で出来上がっているだけですから、自分の気持ちしだいでガラッと変わります。
NLPでは「フィッシュカード」というのが講座中に配られて、周りの受講生さんを褒めたり、労ったり、共感したり…とメッセージを書いて贈ります。
最初はものすごく照れくさいんですけど、だんだんと人間関係がよくなり、講座中のセミナールームの雰囲気がよくなってきて、楽しく、そして自分にとって大切な場所に変化していくから不思議です。
《つづく》

 

記事を書いた人/清水健一郎

清水健一郎 ザ・リッツ・カールトン日本進出第一号ホテル、
ザ・リッツ・カールトン大阪のオープニングスタッフとして入社。身をもってクレドを実践する。

リッツ卒業後、数社のホテル、小規模飲食店をクレドによって立て直し、クレドがリッツ以外で経営に役立つことを証明する。
その後、オーナーサービスマンとして飲食店を開業。自ら経営者となる。

2013年に、これまでの経験を活かし出版した書籍が、ビジネス書では異例の2万5千部の販売を記録するヒットに。
失敗しない、小予算でできるクレド導入法を開発し、クレド導入を考える経営者や管理職の方へ無料レポートやクレド導入マニュアルを提供している。

 

編集/友松はじめ

勤務していた食品通信販売会社の業務に関連するセールスマーケティング書籍の他、心理学、自己啓発、加速学習等、あらゆるジャンルの本を1 日1~2 冊のペースで読むようになり、3,000 冊以上を読破。

本から得た情報を担当していたインターネット通販に活かし、売上げを月商数万円のレベルから月商1,000 万以上、年商1億のサイトに育てる

現在は、自身の経験を基にしたビジネス読書法講師、読書法を使った読書会ファシリテーターとして、活動中

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