著者:清水健一郎
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クレドと働く目的の関係とは?

今、1枚の「クレド」が組織を変える!/実島 誠(著)を読んでいます。

今回の読書コラムは、クレドと働く目的の関係について語られています。
クレド導入の目的をスタッフが社長、店長にきいた際、漠然と「売り上げがよくなる」「会社のサービスクオリティが上がる」と、答えていたのであれば、スタッフ側からは積極的にクレド導入に賛同してくれないのは、想像に難しくないのではないでしょうか?

前回のコラムでもお話させていただいたように、会社の状態(売上、スタッフ間の人間関係)が良くないほど、その会社にクレド導入、つまり変化を起こす事は困難になる、と説明させていただきました。
では、どのようなポイントを押さえてクレド導入に踏み出せば良いのか?
それが今回の焦点だと思います。
では、そんなクレドと働く目的について読み解いていきましょう。

人が仕事をする理由はそれぞれありますが、根本的な事は、実はそんなに多くないと、私も思っています。
著書の中で実島氏が紹介されている3つの働く目的は

3つの働く目的
1つ目は、経済性。
2つ目は、自己実現性。
3つ目は、社会性。
(46ページより引用)

と、あります。

経済性は、給料、お金ですね。
自己実現性は、自身の夢の実現だったりします。
社会性は、仲間、他人の夢実現のお手伝い。そして、それを喜びにします。

これは、なぜ1、2、3とあるのか?
私個人的な考えとしては、経営者がスタッフ達に対して守る順番のように思います。

まず給料、「お金のために働いてもらう」と、言うわけではありません。
とにかく生活を安定してもらわなければ、スタッフ達自身の夢も、社会貢献も実現する事ができません。

そして、スタッフ達の夢、自分(スタッフ達)のために働きます。
「将来、起業したい」その自己実現のために働きます。
そのため、少々、給料が少ないと感じていても、上司や先輩、会社に不満を多少持っていたとしても、「この会社でスキルを身につけて、将来は独立するために、まだ会社にはいよう」と考え自己実現のために努力します。

社内で出世、起業したら、こんどは「スタッフを育てたい」「会社を育てたい」「地域に必要にされる会社に育てたい」と、ステップアップしていくのです。
しかし、「君のスキルアップのためだ」と言って、低賃金で働かせている。

世間からよく見られようとして、現場がスタッフ不足にもかかわらず、スタッフを地域の奉仕活動に参加させる。
だいたい、このような会社のスタッフたちは社長や管理者たちの地に足つかない理想から振り回されているイメージがあります。

などなど、このように時に会社の社長、管理者がスタッフに対して、この順番を間違うとスタッフは会社から離れて行くことは想像に難しくないのではないでしょうか?

そこで、著者の実島氏は

仕事における幸せとは?(48ページより引用)

に、ついて言及されています。

私は、リッツを退社して働いた職場で、月の給料が5万円という時がありました。
私の著書に少し書かせていただいた「詐欺師上司」と仕事をした時に経験したエピソードです。

最初は、「自分のスキルアップのため」「自分自身を大きく変えたい」と、自分に言い聞かせていたのですが、当時、仕事が大好きで、「お金」よりも「働きがい」を最優先していた当時の私でさえも、心が病んできた事を思い出します。

お酒が少しでも入れば、職場のやる気のない人、仕事ができない人、さらにはお店のオーナーの悪口を大声で話してしまう始末で、自分でも良くない事をしている自覚があるにも関わらず、止める事ができなくなっていました。
そして「感謝」「恩返し」と言う、人が生きていくなかで大切な事すら考えられない状態になっていたと思います。

ストレスの怖さを、身をもってしる経験になりました。
そのせいで、当時、私から離れていった人達も少なくはありませんでした。
しかし、そんな中、当時の私、本来の私、その全ての私を理解したうえで、私から離れることなく接してくれた親友達に助けられました。

詐欺師上司から離れ、親友の1人が経営している飲食店にお世話になる事になり、経済性にも自己実現性にも満たされ、社会性ですら使命感を持てるようになりました。
少し余談ですが、そんな充実した時間は1年もなかったのですが、その短い間に私とその親友は人生の伴侶とめぐり逢い、お付き合いを始めたり、親友は新たなビジネスに乗り出していったりできました。

私は一年後、その親友の飲食店を買い独立し飲食店のオーナーになることができました。
経済性、自己実現性、そして、社会性が必要であり、そのバランスが見事に成り立った結果だったと思います。

先程も言いましたが、この順番は最低限、経営者、雇い入れる側が、雇い入れる側に対して守らなければならない順番であって、私のようにリッツ・カールトンに新卒入社したスタッフの様に、入社した時点から3番目の社会性を意識する。
意識させる事は大変大きな結果を生み出します。

著書の中でも著者の実島氏は(以下抜粋)

「お金を」とるか、「働きがい」をとるか、のような二極論で考えるべきものではありません。仕事を通じて経済的にもみたされるような状態をいかにしてつくり出すかが、企業としては求められます。(49ページより引用)

と、おっしゃっています。
それが見事にリッツカールトンのクレドに、この3つを抑えて作られているのです。

 

【編集後記】

クレドを研究している友松です。
本日の清水先生のコラムはいかがでしたか?

お金は大事です。
お金が、その働きの価値の指標であると考える人もいるでしょう。
そう考えない人もいるでしょう。
趣味ならば、お金を指標としなくても賛同者が集まるとか、ファンが増えるとかSNSのネットワークが広がるとか、そういった結果で喜びややりがいを感じることができるでしょう。

清水先生の今回のコラムにも書かれていましたが、仕事をお金で評価することも大切だと思います。
給料が業界の相場…というんでしょうか、よくわかりませんが、その相場よりも著しく低い場合は、どんなに仕事にやりがいがあってもスタッフは去っていくでしょう。
しかし給料が少し低くても、やりがいを感じられる自己実現性があればスタッフも辞めずに働いてくれるのではないでしょうか?

NLPでは、信念・価値観がその人の能力、行動、環境を支配するとNLPでは考えますが、この信念・価値観の部分にクレドを位置づけることで仕事の間に、経済性、自己実現性、そして社会性が育つと私は考えます。

そしてクレドを導入して業績があがれば、スタッフに還元して欲しいなとは思います。
経済性、自己実現性、そして社会性。
どれも大事ですし、それを実現する方法のひとつがクレドですよね。

 

《つづく》

 

記事を書いた人/清水健一郎

清水健一郎 ザ・リッツ・カールトン日本進出第一号ホテル、
ザ・リッツ・カールトン大阪のオープニングスタッフとして入社。身をもってクレドを実践する。

リッツ卒業後、数社のホテル、小規模飲食店をクレドによって立て直し、クレドがリッツ以外で経営に役立つことを証明する。
その後、オーナーサービスマンとして飲食店を開業。自ら経営者となる。

2013年に、これまでの経験を活かし出版した書籍が、ビジネス書では異例の2万5千部の販売を記録するヒットに。
失敗しない、小予算でできるクレド導入法を開発し、クレド導入を考える経営者や管理職の方へ無料レポートやクレド導入マニュアルを提供している。

 

編集/友松はじめ

勤務していた食品通信販売会社の業務に関連するセールスマーケティング書籍の他、心理学、自己啓発、加速学習等、あらゆるジャンルの本を1 日1~2 冊のペースで読むようになり、3,000 冊以上を読破。

本から得た情報を担当していたインターネット通販に活かし、売上げを月商数万円のレベルから月商1,000 万以上、年商1億のサイトに育てる

現在は、自身の経験を基にしたビジネス読書法講師、読書法を使った読書会ファシリテーターとして、活動中

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