著者:清水健一郎
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価値観が変わらなければ効果はない。クレドが自律社員を育てる。

第二章 クレドを支える価値観と働く目的
価値観が変わらなければ効果はない
クレドが自律社員を育てる

今回の読書コラムは、クレドの最大の効果、「スタッフの意識改革」「スタッフに新たな価値観を持ってもらう」「自身で考えて行動できる自律したスタッフを育てる」に焦点をあてて、お話されています。

スタッフ教育に力を入れても、自身の考えた通りの人が育たなかったり、途中で退社してしまったりと、うまくいかない事の方が多いのではないでしょうか?
そんな、大変な経験をされて、スタッフの雇用や教育に疲れたかたは、クレドの最大の効果を聞いても

「そう簡単に人を育てることなんてできない」
「中途採用者が今まで培ってきた価値観を変える事などできるはずがない」

と考えてしまいがちですが、クレドを使えば全てのスタッフとはいかなくても、クレドを使わなかった場合よりは、断然うまくいきます。
そして、クレド経営を行ったことで、「この会社の価値観好きだな」と思える人が入社を希望し、「この会社の価値観には合わないな」と考える求人者は、入社を避け、社員は、退社する決断を早めるため、人件費が大幅にコストカットできます。

そんなクレド効果を読み解いていきましょう。

今回の著書の中でも

人間は誰しもこれまでに大事にしてきた自分なりの価値観を持っていますので、その根本的な価値観が変わらないと、行動はかわりにくいものです。(42ページより引用)

と、あります。

大前提として、基本的に人は変化を嫌います。
変化を起こそうとする人を排除しようとするのです。
言い方が悪いと思いますが、信じられないことにダメダメで変化が必要な職場や組織ほど、変化や変化を起こす人を排除しようとするのです。

学園ドラマ、例えが古いのですがスクールウォーズのようなドラマを思い出してみてください。

実力のある監督が来ても、選手のやる気がない。というのでは監督がいくら戦略を練って伝えても戦略は実行できず試合に勝てません。
弱いチームのままです。

また、やる気のない職場やチームというのは、環境を良くしようとする人や要素を排除しようとする傾向にあります。
よく、弱小チームの立て直しに現れる主人公の監督や、学園ドラマの第一話で問題児ばかりのクラスに熱血教師が赴任してくる時、やる気のない選手や学生を中心に周囲から敵対視され反発をくらうのと同じです。

著書の中では

ルールを決めて「これを守りなさい」という具合の強制になってしまいます。行動をルールで縛ったとしても、強制力が効いているときは守られますが、強制力がなくなると、たちまち守られなくなってしまいます。」(42ページより引用)

ですから、経営者、上司、監督、担任教師など、監督する立場におられる方にお伝えしたいのは、一日も早くルールではなくクレド導入をおすすめします。

私の様に新卒の時にクレドと出会い、クレドを通じて育てて頂いた者からすると、自分で考えて行動するのは、ごく当たり前なのですが、前回のマニュアルでも触れたように、ルールやマニュアルでスタッフの仕事を管理して効率化を図ったように思っていても、自分で考えて行動するスタッフを育てる事の逆を行ってしまっているのです。

社会人一年目の時、よく上司、先輩、そして同期にも言われたことは、「考えろ」でした。もちろん、考えてから上司、先輩に相談してから行動に移していました。そのため、いまでも仕事が忙しい時の口癖は「考えろ」です。スタッフにも言いますが、9割以上が自分自身に言っています。
そのためスタッフも考える癖がついています。

考える癖がついたスタッフこそ、自律したスタッフです。
リッツカールトン大阪在籍中のことを思い出すと、自律し過ぎたと言いますか我の強いスタッフばかりで、頻繁にスタッフ同士で喧嘩をしていたように思います。

しかし、スタッフ同士、「どうすれば、もっと仕事が効率よくできるのか?」「サービスのクオリティを上げるには?」などと言う課題で喧嘩するので、知らず知らずのうちに仲直りできているだけでなく、喧嘩をして自分自身を相手にぶつけたためか、より一層絆が強まっていました。良い喧嘩ができて幸せな会社だったと思います。

一番の思い出は、紅茶のサービスの仕方を、先輩の若林さんと何時間もぶつけ合った事です。
私は、「お客様のために紅茶のカップは、紅茶が冷めないように温めたカップで提供する。」若林さんは、「本場英国の紅茶サービスを、お客様に楽しんでいただくためのロビーラウンジなのだから、本場のやり方、紅茶のカップは常温で提供する。」と言うものでした。

正解はと言うと、両方正解です。
どちらも間違っていません。

ただ、お互いの意見が違ったために何時間も「なぜ、温めるのか?」「なぜ温めないのか?」そのサービス時のトークの仕方まで語り合った若い頃を思い出します。
社長、職場のリーダーの皆さん、社内がこんなスタッフばかりになったと想像してみてください。
熱い職場ですよね。

著者の実島氏も言うように

クレドを活用すれば、知識やスキルだけでなく、社員の価値観を育成することができ、自律した社員を育てることができます。(45ページより引用)

ただ、個性の強いスタッフが増えるのは確実なので、ご注意ください(笑)

 

【編集後記】

クレドを研究している友松です。
本日の清水先生のコラムはいかがでしたか?

人は10人集まれば、とうぜん10パターンになるわけで、NLPを習った時、先生から教えていただいた「天才性」を思い出しました。
これはどんな人にも天才性を持っているということなんですが、話し始めると長くなってしまうのでここまでにします。(汗)

職場がスタッフそれぞれの個性が活かされた場所になればとても素晴らしいことだと思うんですが、出る杭は打たれるといいますか、個性とか自主性とか出しにくい場合が多いと思うんですがいかがでしょうか。

そんな環境なのに、スタッフ一人ひとりの能力に頼るシーンも多かったり。
でもそれは基準が無いからだと考えます。
清水先生の今回のコラムに書かれているようにクレドがあることで会社の目指すべき方向が定まりますから、クレドに書かれていることを自分ならどう表現するかと考えるようになるので、個々人の個性が活かされますよね。

NLPのワーク、ニューロ・ロジカル・レベルの中に価値観・信念と自己認識というのがありますが、ここがクレドであるとすると、スタッフの能力も行動も働く環境もどんどん良い方向に変わっていく気がしています。

 

《つづく》

 

記事を書いた人/清水健一郎

清水健一郎 ザ・リッツ・カールトン日本進出第一号ホテル、
ザ・リッツ・カールトン大阪のオープニングスタッフとして入社。身をもってクレドを実践する。

リッツ卒業後、数社のホテル、小規模飲食店をクレドによって立て直し、クレドがリッツ以外で経営に役立つことを証明する。
その後、オーナーサービスマンとして飲食店を開業。自ら経営者となる。

2013年に、これまでの経験を活かし出版した書籍が、ビジネス書では異例の2万5千部の販売を記録するヒットに。
失敗しない、小予算でできるクレド導入法を開発し、クレド導入を考える経営者や管理職の方へ無料レポートやクレド導入マニュアルを提供している。

 

編集/友松はじめ

勤務していた食品通信販売会社の業務に関連するセールスマーケティング書籍の他、心理学、自己啓発、加速学習等、あらゆるジャンルの本を1 日1~2 冊のペースで読むようになり、3,000 冊以上を読破。

本から得た情報を担当していたインターネット通販に活かし、売上げを月商数万円のレベルから月商1,000 万以上、年商1億のサイトに育てる

現在は、自身の経験を基にしたビジネス読書法講師、読書法を使った読書会ファシリテーターとして、活動中

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