ザ・リッツ・カールトン・ベーシック9番 / クレドサクセス実践ブログ
クレドを支えるベーシック
リッツ・カールトンのクレドに書かれていたベーシックに焦点を当ててみましょう。今は、バリューと名を変えて存在しているそうです。
私の在籍中には、クレドカードには、クレド、サービスの3ステップ、モットー、従業員への約束、そして、20個のベーシックが書かれていていました。
クレドカードの内容は、何度も何度も読み返しました。
もちろん、ラインナップ(リッツ式朝礼)の際に、読み上げて、読み上げたところについて、参加しているスタッフ全員でディスカッションしていましたが、この20個のベーシックの役割、書かれてある内容よりも、その奥にある意図を考えてみましょう。
今回、なぜベーシックが存在し、その意図を考えるに至った経緯は、クレドを作成するうえで、ベーシックはとても重要だと理解しているにもかかわらず、クレドが作れても、次にクレドを支えるベーシックを作る事に頭を抱える事が多いからです。
しかし、リッツのベーシックをお手本として、そのベーシックの意図を理解していけば、その意図に添ってベーシックが作られていくからです。
では、今日はベーシックの5に書かれている内容の奥にある意図を考えていきましょう。
ザ・リッツ・カールトン・ベーシック9番
9.お客様や従業員同士のニーズを満たすよう、従業員一人一人には、チームワークとラテラルサービスを実践する職場環境を築く役目があります。
先ずラテラルサービスですが、一言で言うと部署間を超えたチームワークにより実行できるサービスの事です。
例えば、宿泊されているお部屋で、「シェイカーを使ったオリジナルのカクテルを作って欲しい。」と、お客様からフロントへ要望があったとします。
もちろん、フロントのスタッフは、カクテルを作るスキルを持ち合わせているわけではありませんし、バーテンダーもお客様のお部屋まで必要なお酒や氷、道具を持って行き、準備するルームサービスのスキルはありません。
そこで、お客様から要望を受けたフロントスタッフは、ルームサービスとバーの責任者に連絡をとりフロントスタッフが、お客様の情報を説明します。
記念日なのか、彼女のためのカクテルなのか、家族のためなのか、お酒は強めでも大丈夫なのか?ノンアルコールカクテルの方が喜ばれるのか、メッセージ性があった方がいいのか?あるのならどんなメッセージを込めるのか?
そして、バーテンダーがカクテルを考え、もちろん、その場でどんなイレギュラーな対応もできるようにお酒だけでなく、グラスの種類だけでも数種類用意します。
そして、そのような細かな気配りを支える土台がルームサービスのスタッフです。
タイミングよくカクテルを提供できるように、他のお客様のオーダーとの兼ね合いを考え専用エレベーターを使いこなし、バーテンダーが仕事をしやすいようにルームサービススタッフならではのアシストをします。
こういった部署間を超えたチームワークをラテラルサービスと言います。
ラテラルサービス
日頃から頻繁にコミュニケーションが取れていれば造作もない事です。
そう、リッツでは、他部署のスタッフ同士、部署間を超えてとても仲が良かったのです。
だからこそ、即座に部署間を超えてチームワークを発揮する事が出来ました。
他部署同士がなぜ仲が良かったのか?
様々な仕組みがリッツにはありましたが、その仕組みを今回、ご説明させていただくと、とても長くなるので、またの機会にご説明いたします。
他部署同士が仲良くなる仕組みがあり、その仕組の最終的な目的がラテラルサービス。
そのラテラルサービスを当たり前の様にスタッフ達は実行に移している仕組みこそベーシック9番なのです。
ラテラルサービス、あなたの会社でもクレドがあれば、実践できます。
夢ではなくなりますよ。
【編集後記】
クレドを研究している友松です。
本日の清水先生のコラムはいかがでしたか?
ラテラルサービスのお話でした。
どんな会社でも組織が分かれれば多少の軋轢は生まれるもの。
半沢直樹の銀行しかり、下町ロケットの帝国重工しかり。でも下町ロケットの佃製作所は、社長の号令で一致団結、みんなで協力してましたね。
あんまり会社内の交流は描かれていませんでしたが、良好な関係であったように思います。
あれはドラマの話ですが、清水先生からリッツ時代の話を聞いていると、ケンカは日常茶飯事だけど、相手を憎み、罵っているわけじゃなくて、お前の考えていることは『クレド』にそっているのか? というところからケンカが始まっていたとのこと。
だから、ケンカしているようだけど内容は、よりよくするための意見交換だったりしたそうです。
ケンカが終わっても後腐れなし。
同じ部署ではこんな感じなので、上司とも先輩とも、同僚、部下、後輩、みんな仲がよかったそうです。
他部署とは、短期間だけどスタッフの交換をしてお互いの仕事を取り入れたり、社員食堂や喫煙室で交流、誕生日をお祝いするなどなど、個人同士も部署間も仲良くなるため仕組みがいたるところに組み込まれています。
私は他部署に仕事を断られて、上司と相談してよその会社に仕事を依頼したことがあります。それが社長に知られることとなり大問題になったことがあります。
たぶん、リッツのような仕組みがあれば、そんな問題は起こらなかったはず。
それに、会社の仲間で協力しあって仕事をするなんてすばらしいじゃないですか。
著者/清水健一郎
清水健一郎 ザ・リッツ・カールトン日本進出第一号ホテル、
ザ・リッツ・カールトン大阪のオープニングスタッフとして入社。身をもってクレドを実践する。
リッツ卒業後、数社のホテル、小規模飲食店をクレドによって立て直し、クレドがリッツ以外で経営に役立つことを証明する。
その後、オーナーサービスマンとして飲食店を開業。自ら経営者となる。
2013年に、これまでの経験を活かし出版した書籍が、ビジネス書では異例の2万5千部の販売を記録するヒットに。
失敗しない、小予算でできるクレド導入法を開発し、クレド導入を考える経営者や管理職の方へ無料レポートやクレド導入マニュアルを提供している。