著者:清水健一郎
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ザ・リッツ・カールトン・ベーシック6番とは?

クレドを支えるベーシック

リッツ・カールトンのクレドに書かれていたベーシックに焦点を当ててみましょう。今は、バリューと名を変えて存在しているそうです。

私の在籍中には、クレドカードには、クレド、サービスの3ステップ、モットー、従業員への約束、そして、20個のベーシックが書かれていていました。

 

クレドカードの内容は、何度も何度も読み返しました。

もちろん、ラインナップ(リッツ式朝礼)の際に、読み上げて、読み上げたところについて、参加しているスタッフ全員でディスカッションしていましたが、この20個のベーシックの役割、書かれてある内容よりも、その奥にある意図を考えてみましょう。

 

今回、なぜベーシックが存在し、その意図を考えるに至った経緯は、クレドを作成するうえで、ベーシックはとても重要だと理解しているにもかかわらず、クレドが作れても、次にクレドを支えるベーシックを作る事に頭を抱える事が多いからです。

しかし、リッツのベーシックをお手本として、そのベーシックの意図を理解していけば、その意図に添ってベーシックが作られていくからです。

では、今日はベーシックの5に書かれている内容の奥にある意図を考えていきましょう。

 

ザ・リッツ・カールトン・ベーシック6番

6.カンパニーの目標は、すべての従業員に伝えられます。これをサポートするのは、従業員一人一人の役目です。

会社の目標に対して冷めた従業員と言うのは、珍しくないように思います。

 

「あ、また社長がめんどくさいこと言ってる。」

「私達には関係ない。」

「また仕事が増える。」

など、私もリッツ退職後、そんな従業員を大勢見てきました。

 

私がリッツ在籍中には、目標に向かってスタッフ一人一人が仕事をしていました。

これは、ベーシック6があるからですが、何よりもベーシックの6が職場の目標、スタッフ一人一人の目標を明確にしていたからです。

 

例えば、社長が「この分野で日本一になる」と、言う目標を立ててスタッフに宣言したとします。

しかし、スタッフ、特に末端のスタッフほど、「で、私は何をすればいいの?」場合によっては、最初から「私には関係ない。」と、決めつけるスタッフがいても不思議ではありません。

 

しかし、リッツのベーシック6は、会社の目標は、すべての従業員に伝えられ、これをサポートするのは、従業員一人一人の役目だと言う事を明確にしています。

例えば、私が経験したラインナップ(リッツ式朝礼)でのやり取りをご紹介させていただくと、

 

先輩:「清水、会社の目標は理解しているな?」

清水:「大阪でナンバーワンのクオリティを持つホテルになる事です。」

先輩:「じゃあ、今日、清水はどんな仕事をすれば、どんな仕事を心掛ければ、大阪でナンバーワンのクオリティを持つホテルになる。清水は目標にたいして、今日、どんなサポートをする?」

清水:「はい、お客様がお座りになられる際、私が椅子を引いて座っていただきます。お飲み物のおかわりを頼まれる前にお伺いに行きます。お客様のニーズの先読みを心掛けます。それが、会社の目標のサポートだと思います。」

 

と、言うやり取りを行っていました。

あなたの会社の末端の従業員達は、

  • レンガを積む事が仕事になっていませんか?
  • レンガを積んで強固な城を作る事が仕事になっていませんか?
  • レンガを積んで強固な城を作り王様を守る事が仕事になっていませんか?
  • レンガを積んで強固な城を作り王様を守り、国を守る事が仕事になっていませんか?
  • レンガを積んで強固な城を作り王様を守り、国を守り自身の家族を守る事が仕事になっていますか?

あなたの会社の目標は、伝わっていますか?

そして、その目標を従業員達は、サポートしてくれていますか?

 

【編集後記】

クレドを研究している友松です。

本日の清水先生のコラムはいかがでしたか?

 

毎日の自分の仕事は、会社の目標に繋がっています。

しかし、毎日それを意識して働いている従業員はどれだけいるでしょうか?

 

「こんな仕事をして何の意味があるんだろう…」

 

そう思いながら仕事をしている従業員も少なくはないでしょう。

そういうとき、ベーシックの6番

 

6.カンパニーの目標は、すべての従業員に伝えられます。これをサポートするのは、従業員一人一人の役目です。

 

このベーシックがある。

そして6番があるだけでなく、毎日ラインナップ(リッツ式朝礼)で取り上げられて、今回取り上げられたコラムのように、ディスカッションすることで、自分の仕事にも意味を考えて行なうことができるようになります。

本当は、どんな仕事でも会社内の仕事には意味があるんですけど、なかなか上手くいかないのが今までの会社の風景ですよね。

 

本来は意味があるのだけれど、意思統一ができていなかったところに、クレドを導入することで、ひとりひとりの従業員が、自分の仕事に焦点をあてて意味を考えながら仕事ができるようになるはずです。

これだけ効果が見込めるのに、クレドを導入するために新たな費用も必要ないというのも助かりますね。

 

著者/清水健一郎

清水健一郎 ザ・リッツ・カールトン日本進出第一号ホテル、
ザ・リッツ・カールトン大阪のオープニングスタッフとして入社。身をもってクレドを実践する。
リッツ卒業後、数社のホテル、小規模飲食店をクレドによって立て直し、クレドがリッツ以外で経営に役立つことを証明する。
その後、オーナーサービスマンとして飲食店を開業。自ら経営者となる。

2013年に、これまでの経験を活かし出版した書籍が、ビジネス書では異例の2万5千部の販売を記録するヒットに。
失敗しない、小予算でできるクレド導入法を開発し、クレド導入を考える経営者や管理職の方へ無料レポートやクレド導入マニュアルを提供している。

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