「え、私の仕事に文句でもあるんですか?」とは言わせない。 ベーシック5 / クレドサクセス実践ブログ
クレドを支えるベーシック
リッツ・カールトンのクレドに書かれていたベーシックに焦点を当ててみましょう。今は、バリューと名を変えて存在しているそうです。
私の在籍中には、クレドカードには、クレド、サービスの3ステップ、モットー、従業員への約束、そして、20個のベーシックが書かれていていました。
クレドカードの内容は、何度も何度も読み返しました。
もちろん、ラインナップ(リッツ式朝礼)の際に、読み上げて、読み上げたところについて、参加しているスタッフ全員でディスカッションしていましたが、この20個のベーシックの役割、書かれてある内容よりも、その奥にある意図を考えてみましょう。
今回、なぜベーシックが存在し、その意図を考えるに至った経緯は、クレドを作成するうえで、ベーシックはとても重要だと理解しているにもかかわらず、クレドが作れても、次にクレドを支えるベーシックを作る事に頭を抱える事が多いからです。
しかし、リッツのベーシックをお手本として、そのベーシックの意図を理解していけば、その意図に添ってベーシックが作られていくからです。
では、今日はベーシックの5に書かれている内容の奥にある意図を考えていきましょう。
ザ・リッツ・カールトン・ベーシック5番
5.すべての従業員は、自分のポジションに対するトレーニング修了認定を受け、毎年、再認定を受けます。
人は仕事に慣れてくると知らず知らずのうちにブレてきます。
よく、「慣れたころに失敗をする。」と言われますが、「慣れ」が良い意味での「慣れ」ではなく、「油断」になるためだと思います。
最初は、たった1度の角度でブレても、一年経つと誤差が大きくなっています。
つまり、その誤差を生み出す1度のブレを定期的に修正する必要があるのです。
それが、リッツでは毎年のトレーニングです。
もし、この様なトレーニングが、あらかじめ存在していて従業員全員が認識していると、いざトレーニングと言う時、従業員は、すんなり抵抗なくトレーニングを受け入れます。
「今年も定期的なトレーニングと、その修了認定がある」
と、当たり前のことと受け止めてくれます。
しかし、いきなり
「これから仕事のブレや、誤差を修正するトレーニングを入れるぞ」
となれば、
「え、私の仕事に文句でもあるんですか?」
と、抵抗してしまいます。
あなたの会社の従業員のブレ、そこから生じる誤差を修正するためにベーシック5の導入を考えてみてはいかがでしょうか?
【編集後記】
クレドを研究している友松です。
本日の清水先生のコラムはいかがでしたか?
前もって、ベーシックで宣言しておくと良いですね。
従業員も、認定のテストがあるんだと思えばそのつもりで、クレドカードに書いてある、クレド、サービスの3ステップ、モットー、従業員への約束、20個のベーシックを意識するはず。
実際、清水先生に話を聞いてみると、意識はしていたようです。
でも1年も先の事、意識し続けることって難しいと思うのですが、私が考えるに、これは毎日のラインナップがあるからうまくいっていると言えるのではないでしょうか?
ベーシック5番だけじゃなくて、清水先生の在籍当時はベーシックが20個もあったわけで、本当、そうきましたか? そのベーシックでそんな質問をしてきますか? という内容のディスカッションもあったようです。
特に、上司から部下へ、先輩から後輩へのラインナップよりも、同僚同士のラインナップ中のディスカッションは終わらなかったそうです。時間が決まってますから終わらせるのですが、時間制限が無かったら終わらないだろうと思ったそうです。
ラインナップがあって、毎日クレドカードに書いてある内容についてディスカッションするのですから、私個人としては、確認のための認定制度はいらないんじゃないかな? と思いますが、ベーシックに書いてあるので意識しないわけにはいかないです。
意識しないわけにはいかないし、毎日クレドカードを開いて読んでもいるので、目に入ります。
「君は来年の認定制度、どんな結果になると思いますか?」
「間違いなく合格します!」
「ほう、合格するためにどんな事をしていますか?」
などなど、ラインナップでこんなディスカッションもアリですね。
こんなディスカッションも想像できます。
「君は来年の認定制度、どんな結果になると思いますか?」
「合格する自信がありません」
「ほう、どうすれば合格すると自信が持てますか?」
どちらのディスカッションもいいラインナップになりそうです。
今回はベーシック5番のお話しですが、ラインナップがあるから5番も成立する気が私はします。
著者/清水健一郎
清水健一郎 ザ・リッツ・カールトン日本進出第一号ホテル、
ザ・リッツ・カールトン大阪のオープニングスタッフとして入社。身をもってクレドを実践する。
リッツ卒業後、数社のホテル、小規模飲食店をクレドによって立て直し、クレドがリッツ以外で経営に役立つことを証明する。
その後、オーナーサービスマンとして飲食店を開業。自ら経営者となる。
2013年に、これまでの経験を活かし出版した書籍が、ビジネス書では異例の2万5千部の販売を記録するヒットに。
失敗しない、小予算でできるクレド導入法を開発し、クレド導入を考える経営者や管理職の方へ無料レポートやクレド導入マニュアルを提供している。