著者:清水健一郎
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ベーシック13_苦情

クレドを支えるベーシック

 

リッツ・カールトンのクレドに書かれていたベーシックに焦点を当ててみましょう。

今は、バリューと名を変えて存在しているそうです。

私の在籍中には、クレドカードには、クレド、サービスの3ステップ、モットー、従業員への約束、そして、20個のベーシックが書かれていていました。

 

クレドカードの内容は、何度も何度も読み返しました。

もちろん、ラインナップ(リッツ式朝礼)の際に、読み上げて、読み上げたところについて、参加しているスタッフ全員でディスカッションしていましたが、この20個のベーシックの役割、書かれてある内容よりも、その奥にある意図を考えてみましょう。

 

今回、なぜベーシックが存在し、その意図を考えるに至った経緯は、クレドを作成するうえで、ベーシックはとても重要だと理解しているにもかかわらず、クレドが作れても、次にクレドを支えるベーシックを作る事に頭を抱える事が多いからです。

 

しかし、リッツのベーシックをお手本として、そのベーシックの意図を理解していけば、その意図に添ってベーシックが作られていくからです。

では、今日はベーシックの13番に書かれている内容の奥にある意図を考えていきましょう。

 

ザ・リッツ・カールトン・ベーシック13番

13.お客様を一人として失ってはいけません。すぐにその場でお客様の気持ちを解きほぐすのは、従業員一人一人の役目です。苦情を受けた人は、それを自分のものとして受けとめ、お客様が満足されるよう解決し、そして記録します。

 

お客様からのクレーム、苦情処理と言うのは、サービス業だけでなく、どのような業種であっても永遠のテーマです。お客様は、良い経験よりも嫌な経験をした時、話を聞いてくれる人、友人、家族に話します。

そのため、苦情処理と言うのは時間との戦いです。

 

お客様を怒らせている時間が長いよりも短い方が良いですし、なによりもお客様を怒らせてしまって、もたもたしていたらお客様の怒りも増してくるのです。

ですから、リッツでは迅速な対応が要求されました。

ここで、リッツで学んだ苦情処理の方法にご興味ある方は、スキスタ「ピンチをチャンスに変え、リピーターを増やす苦情処理の方法 スタッフ一人一人が、特別なサービス実行にたいして覚悟を決めるようになる。」をご覧ください。

 

細かな手順を紹介しています。

この題名の様に、クレーム、苦情つまりピンチをチャンスに変える事が可能です。

しかし、その際に一番大切な事は、ベーシック13番にあるように「すぐにその場でお客様の気持ちを解きほぐすのは、従業員一人一人の役目です。苦情を受けた人は、それを自分のものとして受けとめ、お客様が満足されるよう解決し、そして記録します」

 

お客様からクレームを頂いたスタッフが、自分の事として受け止め、他人事にせずお客様の気持ちに寄り添う事が一番大切な事なのです。

 

「そんなの私に関係ない」

「私のせいじゃないのに」

という態度を取ると、お客様の怒りはさらに増します。

 

頂いた苦情を自分のものとして受け止め、お客様の話をしっかり目を見て真剣にうなずきながら伺うと、たいていのお客様の感情は収まってきます。

そして、二度と同じ失敗、クレームがホテル館内で発生しないように苦情処理カード(ゲスト・インシデント・アクション・フォーム)に記入し、全スタッフで情報を共有する事です。

 

あなたの会社の苦情処理、うまく機能していますか?

心が一番大切です。でも心だけではお客様をご満足させる事は出来ない時もあります。スタッフには、心と苦情処理のスキルが必要なのではないでしょうか?

 

【編集後記】

クレドを研究している友松です。

本日の清水先生のコラムはいかがでしたか?

今回のコラムにでてきた『スキスタ』は、スキマ時間を利用して学ぶ清水先生の教材で、ビジスタ会員になると、音声や動画教材を見たり聞いたりすることができます。

興味のある方は遠慮なくお問い合わせください。

 

私かちからだと、たくさんのお客様の中の一人のお客様の苦情です。

でも、お客様はそうではありません。

リッツ・カールトンのどのスタッフでも、お客様からいただいた苦情を共有して二度と同じ思いをさせないように、そして違うお客様にも同様の苦情を感じさせないようにすること。

 

ネットがある今なら可能な仕組みのようにも思えますが、ネットがなかったときから苦情処理カードを使って、大阪のホテルだけでなく全世界のリッツ・カールトンで共有していたんですね。

 

 

著者/清水健一郎

清水健一郎 ザ・リッツ・カールトン日本進出第一号ホテル、
ザ・リッツ・カールトン大阪のオープニングスタッフとして入社。身をもってクレドを実践する。
リッツ卒業後、数社のホテル、小規模飲食店をクレドによって立て直し、クレドがリッツ以外で経営に役立つことを証明する。
その後、オーナーサービスマンとして飲食店を開業。自ら経営者となる。

2013年に、これまでの経験を活かし出版した書籍が、ビジネス書では異例の2万5千部の販売を記録するヒットに。
失敗しない、小予算でできるクレド導入法を開発し、クレド導入を考える経営者や管理職の方へ無料レポートやクレド導入マニュアルを提供している。

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