著者:清水健一郎
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ベーシック1

クレドを支えるベーシック

今日から少しリッツ・カールトンのクレドに書かれていたベーシックの事に焦点を当ててみましょう。今は、バリューと名を変えて存在しているそうです。

 

私の在籍中には、クレドカードには、クレド、サービスの3ステップ、モットー、従業員への約束、そして、20個のベーシックが書かれていていました。

クレドカードの内容は、何度も何度も読み返しました。

 

もちろん、ラインナップ(リッツ式朝礼)の際に、読み上げて、読み上げたところについて、参加しているスタッフ全員でディスカッションしていましたが、この20個のベーシックの役割、書かれている内容よりも、今回からは、その奥にある意図を考えてみましょう。

 

その意図を考えるに至った経緯は、クレドを作成するうえで、ベーシックはとても重要だと理解しているにもかかわらず、クレドが作れても、次にクレドを支えるベーシックを作る事に頭を抱える事が多いからです。

しかし、リッツのベーシックをお手本として、そのベーシックの意図が理解していけば、その意図に添ってベーシックが作られていきます。

では、ベーシックの1から順に書かれている内容の奥にある意図を考えていきましょう。

 

ザ・リッツ・カールトン・ベーシック

1.  クレドは、リッツ・カールトンの基本的な信念です。全員がこれを理解し、自分のものとして受けとめ、常に活力を与えます。

私がリッツ退社後に派遣社員として、いくつかのホテルに勤務した際、既にクレドを持っておられるホテルが存在していました。

 

しかし、クレドは全く機能しておらず、主任、マネジャークラスのスタッフにクレドの内容について質問しても、なにが書かれているのか知らない。そして、書かれている内容をどう実践すればよいのかを質問しても誰も答える事ができませんでした。

 

まるで、学生時代に学校から渡された学生手帳のような存在だったのです。

この様な状態を打破するための一つが、このベーシック1なのです。

 

私がリッツ在籍中、ラインナップで先輩、上司から質問されると、一番こまるベーシックが1だったと記憶しています。

例えばこうです。

 

先輩:「清水、ベーシック1を理解してるか?」

私:「はい」

先輩:「じゃ、先ずクレドカードを見ずに暗唱してみろ。」

からはじまります。

 

そして、ベーシック1を暗唱できると

先輩:「では、クレドを暗唱してみろ」にレベルアップ、そして、「では、清水、クレドに書かれている『心のこもったおもてなし』って、どんなおもてなしだ?」

清水:「お客様が喜ばれるように、お客様のニーズを先読みして行動するサービスです。例えば、コーヒーのおかわりをお願いされる前に聞きに行く。とかです。」

 

この様なやり取りを厳しい先輩と上司を交え毎日やっていました。これがラインナップです。

この様なやり取りを毎日しているのですから、リッツ・カールトンの基本的な信念であるクレドを全員がこれを理解し、自分のものとして受けとめ、常に活力が与えられないわけありません。

 

つまり、ベーシック1の意図は、スタッフ全員がクレドを理解し活用する。

そのためのベーシック1なのです。

あなたの会社のクレドが出来上がった次に、やはり活用し続けるために必要な項目としてベーシック1が絶対不可欠なのではないでしょうか?

 

【編集後記】

クレドを研究している友松です。

本日の清水先生のコラムはいかがでしたか?

 

ベーシックって、今はバリューって言われているんですね。

さて、ベーシック1ですが、私も直接清水先生からお話しをうかがい、ラインナップもしてもらいました。

 

クレドは、リッツ・カールトンの基本的な信念です。全員がこれを理解し、自分のものとして受けとめ、常に活力を与えます。

 

読むだけでは響かない場合もありますが、実際にラインナップ形式でやってみると、いろいろと見えてきます。

まぁ…、見えてくるものは今回のコラムで清水先生が言っていることなのですが、ラインナップを受けてみると腑に落ちます。

 

クレドが学生手帳の校則のようなものという例えは、まさに言い当て妙だなと思いました。

ベーシック1は、クレドカードに書かれた事を全員が理解するんだよ、ここで仕事をする上で自分に染み込ませないといけないんだよと。

 

常に活力は…、私の理解ですが、従業員一人ひとりが、『クレドに命を吹き込む』ってことかなと思います。だって、そのままにしていたら学生手帳に書かれた校則になってしまうわけですからね。

 

一人ひとりが、クレドに命を吹き込むことでクレドが行きてくるってことです。

命を吹き込むというと抽象的だけど、つまりはラインナップで毎日、クレドカードの内容をディスカッションして、自分ではどうするか? を考え、仕事に迷ったら、クレドカードを読み返して、自分ならどうするか? と考えることが、クレドを活かす、クレドを活用する、クレドに命を吹き込むってことになりますよね。

 

ベーシック1は、ベーシックのスタートにふさわしい内容です。

 

著者/清水健一郎

清水健一郎 ザ・リッツ・カールトン日本進出第一号ホテル、
ザ・リッツ・カールトン大阪のオープニングスタッフとして入社。身をもってクレドを実践する。
リッツ卒業後、数社のホテル、小規模飲食店をクレドによって立て直し、クレドがリッツ以外で経営に役立つことを証明する。
その後、オーナーサービスマンとして飲食店を開業。自ら経営者となる。

2013年に、これまでの経験を活かし出版した書籍が、ビジネス書では異例の2万5千部の販売を記録するヒットに。
失敗しない、小予算でできるクレド導入法を開発し、クレド導入を考える経営者や管理職の方へ無料レポートやクレド導入マニュアルを提供している。

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