著者:清水健一郎
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腕を上げるなら質問したらいい。メソッド向上に必要な事。リッツ・カールトンのラインナップ他

前回のコラムを読んでいただいて、「では、どうやってメソッド(腕)を上げていけばよいのか?」と思われた方々もおられると思います。

正直、その方法は無数にあります。

 

一番大切なのは、「謙虚に続ける」だと、私は信じていますが、「メソッドを上げていくポイントは?」と聞かれると、いくつかに絞られてきます。

 

その中で私が大切にしていのは「質問」です。

もちろん、後輩、先輩、上司、部下に対しての質問だけでなく、物に対しての質問や方法や手順に対しての質問も大切だと思っています。

 

私のコラムでは度々ご紹介させていただいているリッツ式朝礼「ラインナップ」

ラインナップとは、毎日、就業前に行うミーティングの事で、よく一般企業の朝礼に近いものと思われていますが、中身は大きく違っています。

 

朝礼は会社、上司からのインフォメーション(業務報告)が中心なのに対して、ラインナップはインフォメーションから始まり、クエスチョン(質問)そして、ディスカッション(討論、議論)に至りますが、ラインナップの中心はディスカッションです。

 

例えば、伝説的なサービスエピソードは、「ワオ・トーリー」と呼んで全世界のリッツのラインナップでインフォメーションされます。

そして、ラインナップリーダーが「あなた達なら、この場合どんなアイデアを出しますか?どう実践しますか?」とクエスチョン、ラインナップに参加しているスタッフでディスカッションして、明確なアイデアを出し、各々の現場ですぐに使える様に変化させ、さらに進化させてしまう場がラインナップです。

 

では、物に対しての質問や方法や手順に対しての質問ですが、

例えばサーモンのマリネ(塩や香辛料又は、付けたれなどに付け込んだ料理)を作ります。

 

レシピを調べるとサーモンを〇〇グラム用意とありますが、飲食業に従事している私らからすると、サーモンは、

タスマニアサーモン?

ノルウェーサーモン?

アトランティックサーモン?

北海道のしゃけ?

どれを使う?

 

ちなみに私はタスマニアサーモンを使いますが、その理由があります。

塩も粗塩が〇〇グラムと書いてあるだけで、なぜ種類が数かる塩のなかで粗塩を使うのか?なぜ〇〇グラム使うのか?が、書かれていません。

精製塩、焼き塩、フルールドセル、岩塩などなどあります。

 

その粗塩をサーモンの身に軽く振っていきます。

なぜ軽く振るのか?

すりこむように使わないのか?

まぶすように使わないのか?

それぞれに理由はありますが、レシピには軽く振るとしか書かれていません。

 

なぜ、それを使うのか?

なぜ、その使い方をするのか?

その様な使い方をすれば、結果はどうなるのか?

なぜその結果を求めたのか?

その結果で相手(僕の場合、食べてもらえるお客さん)にどう感じてもらいたいのか?

 

表現したい味のゴールがあり、全てゴールから逆算してタスマニアサーモンにして、粗塩をつかって、その粗塩も軽く振る。すりこむように使わない。と、言う工程なのです。

その結果で相手(僕の場合、食べてもらえるお客さん)にどう感じてもらいたいのか?

 

レシピには書いてない事ばかりです。

このように、上司、先輩から言われた事、レシピ本に書かれた事だけを行ってもメソッドは向上しません。

質問を持って初めて、気づき学びがありメソッドが向上し始めるのではないでしょうか?

 

【編集後記】

クレドを研究している友松です。

本日の清水先生のコラムはいかがでしたか?

 

アインシュタインが、質問について語った有名な名言があります。

「もし自分が死にそうな状況になって、助かる方法を考えるのに

1時間あるとしたら、最初の55分は、適切な質問を探すのに費やすだろう」

 

清水先生の今回のコラムと共通する部分が多いと思います。

答えはすでに自分の中にあるなんて言う人もいますし、質問が具体的であればあるほど、質問の答えも具体的になります。

 

「では、どうやってメソッド(腕)を上げていけばよいのか?」

 

この答えが、自分で質問で、それは周りの人へ質問することもありますが、物言わないものに対しても、マニュアルや本などの文章にも使います。

今回のコラムで、レシピに対して清水先生が例として行っていた質問ですね。

 

私も注意しなければならないのですが、なぜそうなっているのか、なぜそんな指示なのか、書いた人はどういった意図でこれを書いたのか、用意したのか、自分に投げる質問はたくさん出てきますが、これがメソッドを読み取り、腕を上げていく方法の一つなのですね。

 

質問がうまくできているか、できていないかの判断は、やった結果が具体的でなければ、質問が具体的ではなかったということなのだろうなと今は思っています。

 

私は一人で仕事をすることが多いので、自分で自分に質問することが当然多くなるのですが、コラムにもあったように朝礼をラインナップ化して、仲間とディスカッションをすることで成長が加速しますね。

 

清水先生もリッツ・カールトンに在籍して1年も立たずに、ビュッフェのルールを完成させています。

あんな一流ホテルで新人にそんな責任のあることを任せる、また、作ってしまえるなんて普通は考えられないことです。

 

ラインナップで質問を取り入れて、ディスカッションすると、スタッフの成長が加速することがよくわかりますね。

リッツ式朝礼、ラインナップの導入方法はステップ3、ステップ5で詳しく解説しています。

 

 

 

著者/清水健一郎

清水健一郎 ザ・リッツ・カールトン日本進出第一号ホテル、
ザ・リッツ・カールトン大阪のオープニングスタッフとして入社。身をもってクレドを実践する。
リッツ卒業後、数社のホテル、小規模飲食店をクレドによって立て直し、クレドがリッツ以外で経営に役立つことを証明する。
その後、オーナーサービスマンとして飲食店を開業。自ら経営者となる。

2013年に、これまでの経験を活かし出版した書籍が、ビジネス書では異例の2万5千部の販売を記録するヒットに。
失敗しない、小予算でできるクレド導入法を開発し、クレド導入を考える経営者や管理職の方へ無料レポートやクレド導入マニュアルを提供している。

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