ザ・リッツ・カールトン ミスティークに必須のシステムの考案者は20代前半のスタッフ
クレドが「考えて動く」社員を育てる!- 一枚のカードで成果を上げる「奇跡の改革」
日本クレド(株)代表取締役 吉田 誠一郎
今回の著書は、
「クレドが『考えて動く』社員を育てる!-一枚のカードで成果を上げる『奇跡の改革』です。
ザ・リッツ・カールトン ミスティークに必須のシステムの考案者は20代前半のスタッフ
第4章 クレドを全社員にどう浸透させるか、どう活用するか
企業理念浸透部門
著書の中でジョンソン・エンド・ジョンソンには、クレド・オフィス、
日本語で「企業理念浸透部門」が存在しているそうです。
もちろん、リッツ大阪にもありました。
そこにはクオリティリーダー(桧垣さん)と呼ばれる方がおられました。
毎日、アトランタの本社から送られてくる、コミットメント・トゥ・クオリティと言う
ラインナップ(リッツ式朝礼)の進行表のような書類をリッツ大阪用に手を加えて
全部署に配布していただいたり、各部署のクオリティリーダーのリーダーとして、
クレド浸透、システム改善などなど、様々なクオリティアップのために尽力を尽くしておられました。
私の印象的なエピソードは、私の著書に書かせていただきましたが、
私の宿泊部の先輩、増澤さんのエピソードです。
増澤さんは、20代前半でリッツ宿泊部のウォーム・ウエルカム・プロジェクトに参加していました。
リッツに宿泊されたお客様が、始めに体験されるミスティーク(不思議体験)は、
初めて宿泊されるお客様が、玄関のドアを潜るとすぐに、目の前に「待ってました」かのように
タイミング良くベルマンがお出迎えのご挨拶をするのですが、
初めて会うホテルのベルスタッフに名前で呼ばれ、ご挨拶されます。
もちろんお客様は、驚いて喜ばれますが、
「なぜ、私の名前を知っているのか不思議に思います。」
そして、リッツのミスティークとして、お客様に記憶されます。
実は、小型のイヤホンとマイクの無線を身に付けたドアマンが、お客様をお出迎えする際、
荷物のタグを見てお客様のお名前を確認したり、ご予約のお名前をドアマンがお客様に確認して、
無線を使ってホテル館内のベルマンに名前を伝えていたのです。
ですから、ベルマンは、ドアマンから「今、○○様、ホテル入られます。」と連絡を受け、
お客様のお名前を呼んでタイミング良くお出迎えができるシステムなのですが、
このシステムの提案者であり導入者は、当時まだ20代前半だった私の宿泊部の先輩、増澤さんでした。
増澤さんは、当時ウォーム・ウエルカム・プロジェクトの一人で、ホテルに宿泊されるお客様に、
ドアマン、フロントスタッフと2回もお名前を確認する作業と、お客様がホテル館内に入館されてから、
お客様のホテル入館に気づき、お出迎えのご挨拶の為にベルマンがお客様に近づく作業を
一連の流れで、お客様をお迎えできないかを考えて出したアイデアがイヤホンと小型マイクの無線だったそうです。
増澤さんいわく、
「あのシステムを提案してから、導入するまですごいスピードだったよ。
とにかく、リーダーも『それいいね。』となったら、『早速、導入は任せたから、
全てやってくれ。』と言われて、そのあと皆が後押ししてくれたんだ。」
さっそく、増澤さんは無線のサンプルを取り寄せ、総支配人に無線を使ったお出迎えのメリットを
レクチャーし即採用、今では、リッツ・カールトンのウォーム・ウエルカムになくてはならない
大切なシステムになり、リッツ大阪だけでなく、
今では全世界のリッツで用いられるようになったそうです。
私達の仲間内では、このシステムの事を「増澤」と呼んでいたこともありました。
著書の中で吉田氏が書かれておられる事とまったく同じです。(以下抜粋)
組織の実質的な責任者であるチーフクレドオフィサーを筆頭に、部門リーダーが執行部として全体の活動方針を決定し、進捗をチェックします。
その下位に現場の活動推進者が必要になります。
つまり店舗、営業所、部門、チームなどには、必ず一人は実際にクレド活動を推進する社員が必要です。
彼らが現場の社員をけん引していく役割を担うのです。
今回、ご紹介させていただいた増澤さんのアイデアもクレドから生み出され、
クレドによって同僚が理解し後押し、そして、実現したシステムです。
著者/清水健一郎
清水健一郎 ザ・リッツ・カールトン日本進出第一号ホテル、
ザ・リッツ・カールトン大阪のオープニングスタッフとして入社。身をもってクレドを実践する。
リッツ卒業後、数社のホテル、小規模飲食店をクレドによって立て直し、クレドがリッツ以外で経営に役立つことを証明する。
その後、オーナーサービスマンとして飲食店を開業。自ら経営者となる。
2013年に、これまでの経験を活かし出版した書籍が、ビジネス書では異例の2万5千部の販売を記録するヒットに。
失敗しない、小予算でできるクレド導入法を開発し、クレド導入を考える経営者や管理職の方へ無料レポートやクレド導入マニュアルを提供している。