著者:清水健一郎
Pocket
LINEで送る

今回のコラムは、

平成28年1月にクレド導入にチャレンジされている会社のクレドオフィサーの方々が、

東京からはるばる私に会いに彦根に来てくださった際、

クレド、サービス、リーダーシップに関して私に様々な質問をされましたが、

 

その中でも、

「リッツ・カールトンで、接客以外で一番思い出に残ったことはなんでしょうか?」

と、言う質問に対して、私がお話しさせていただいた事を今回、コラムにしました。

では、お話しさせていただきます。

 

苦しい経験をきっかけにホスピタリティを学ぶ

それはやはり、私の著書でも書かせていただきましたが、

私が22歳の時、腰痛椎間板ヘルニアになって会社を9か月も休業させていただいたエピソードです。

 

そこで、著書には書けなかった話も含めて今回、お話しさせていただきました。

腰椎椎間板ヘルニアになって、激痛はもちろんその他にも様々な事に苦しみました。

 

そのなかでも22歳という若さで腰を痛めたため、私と同じ年齢である同期達にヘルニアの痛み、

苦しみを理解してもらえなかったことは、私にとって悪循環を生み出す種になっていました。

 

腰椎椎間板ヘルニアは、外傷がなく見た目は元気な体です。

病院で診断していただいても、風邪や骨折と言った明確な病気、怪我ではないので、

「会社を休みなさい。」と、言っていただくことはできず、「長年付き合っている持病」のような扱いをされてしまいます。

 

ですから激痛を感じているにもかかわらず、

「治療に専念するために会社に休暇をいただけばよいのか?」

「では、どのくらいの休暇が必要なのか?」

病院でもはっきりした指示をもらえなかった私は、まったく自分ではどうすればよいのかわからなかったのです。

 

激痛に顔をゆがめていても、

同じ21歳、22歳の同期たちは、ヘルニアの痛みに耐えている私に、

「仕事してくれよ。」

「ホントにそんなに痛いのかよ?」

と、目線を送ってきました。

 

そのため、やせ我慢をして仕事を続けたため、ついには立つ事もできなくなってしまったのです。

そして、著書に書かせていただいたように、9か月の休業を取ることになったのです。

その時、「このヘルニアの痛みは、ヘルニアになった人でないとわからない。」

と、心底思いました。

 

一時期、同じ職場の同期達に腹立たしさを感じた事もありましたが、ホテルが開業し皆が必死だったのです。

私もそうです。私も必死になっていたメンバーの一人だったため、

激痛に耐え仕事を続け、結果的には休業、入院、手術までいってしまったのです。

 

しかし、休業中、体が回復するに連れて、決意した事がいくつかありました。

そのうちの一つが、

 

「腰痛の痛み、苦しみは誰よりも経験した。今後、自分の後輩、同僚が腰痛で苦しんでいたら、一番に気遣える人になろう。自分と同じ苦しみをあじわせてはいけない。」

「相手の立場に立って考え行動する。相手の気持ちを察して行動する。」

 

この考え方は、ホスピタリティの神髄です。

このように苦しい経験からホスピタリティを学び実践することを使命として授かった。

と、私は前向きにそう思うようになったのです。

 

 

著者/清水健一郎

清水健一郎 ザ・リッツ・カールトン日本進出第一号ホテル、
ザ・リッツ・カールトン大阪のオープニングスタッフとして入社。身をもってクレドを実践する。
リッツ卒業後、数社のホテル、小規模飲食店をクレドによって立て直し、クレドがリッツ以外で経営に役立つことを証明する。
その後、オーナーサービスマンとして飲食店を開業。自ら経営者となる。

2013年に、これまでの経験を活かし出版した書籍が、ビジネス書では異例の2万5千部の販売を記録するヒットに。
失敗しない、小予算でできるクレド導入法を開発し、クレド導入を考える経営者や管理職の方へ無料レポートやクレド導入マニュアルを提供している。

  • このエントリーをはてなブックマークに追加