クレドを導入しているからこそ実現する、リッツのラテラルサービス
心のこもったおもてなしを実現するサービスの手帳
元ザ・リッツ・カールトン大阪営業統括支配人/林田正光
第5章 「協力するサービス」実践のヒント
「個人プレーではご満足いただけない。サービス業だからこそチームを」
時にサービスは個人プレーによるものだと考えてらっしゃる方、中には同じサービス業の方でもそう考えてらっしゃることもあります。
そんな方々には、独特な雰囲気があり私は、接客させていただかなくても来店と同時に同業者だと分かります。
リッツ在籍時、リッツの噂を聞いて大勢のホテリエの方々がリッツのサービスを見に来られていたため、同業者の方が来店されると一瞬でわかるようになりました。
そんな、「サービスは個人プレー」と考えてらっしゃる方々が、リッツでサービスを受け、
自身の職場でリッツのサービスについて、どの様なコメントをされているのか、私はリッツを卒業してから実際、本人達から聞くことになります。
元リッツのサービスマンということを隠し、派遣社員として様々なホテルで働いたからです。
「接客してくれたスタッフが若くてぎこちなかった。」
「ワインについて質問してみたけど、自分の方が知識がある。」
「先読みのサービスと聞いていたが、飲物を注文する際に手を上げて呼んだ。手を上げる前に注文を取りにこなくては。」
などなど、リッツは名ばかりで、たいしたことない。と、いうコメントばかり聞きました。
実は、私からすると、どのコメントも葉ばかり見て木を見ず、木ばかり見て森を見ず、と、言うコメントなのです。
どのコメントも接客を受けたスタッフ個人のサービスばかりに焦点が向いているのです。
林田さんが言うように、「サービスはチームワークです。」
サービスに力を入れている会社の多くは、このような部署横断的なサービス「ラテラルサービス」に自覚的です。
個人でサービスを磨くことはもちろん、チーム、あるいはお店や会社全体のサービスを磨くことを心がけましょう。
私はリッツのサービスの本当のすごさは、部署横断的なサービス「ラテラルサービス」にあると思うのです。
このラテラルサービスを見ることが、森全体を見る事です。
私に対して、「リッツは名ばかりで、たいしたことない。」と言った同業者の方々の共通点は、森全体どころか、葉一枚しか見ていないのです。
そのような方々、そのような方々が勤められている会社では、間違いなく森全体のサービスつまり、ラテラルサービスを実践することなど不可能なのです。
なぜ、リッツ・カールトンにクレドが存在するのか?
理由は一つではありません。
間違いなくラテラルサービスが実践できるのはクレドが存在するからなのです。
著者/清水健一郎
清水健一郎 ザ・リッツ・カールトン日本進出第一号ホテル、
ザ・リッツ・カールトン大阪のオープニングスタッフとして入社。身をもってクレドを実践する。
リッツ卒業後、数社のホテル、小規模飲食店をクレドによって立て直し、クレドがリッツ以外で経営に役立つことを証明する。
その後、オーナーサービスマンとして飲食店を開業。自ら経営者となる。
2013年に、これまでの経験を活かし出版した書籍が、ビジネス書では異例の2万5千部の販売を記録するヒットに。
失敗しない、小予算でできるクレド導入法を開発し、クレド導入を考える経営者や管理職の方へ無料レポートやクレド導入マニュアルを提供している。