著者:清水健一郎
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ゴールドスタンダード。
それは、リッツにとっての理念と価値観の凝縮された、リッツの魂とでもいうべきものです。

現在のリッツのゴールドスタンダードはこちら
ザ・リッツ・カールトン ゴールド スタンダード

この「ゴールドスタンダード」に該当するものを、それぞれの会社やお店が持つことによって、大きな変化が起こります。

それは、どういったお客様に愛され、必要とされる会社なのか、とか、スタッフや関わる人たちが誇りを持って仕事ができる環境など、「私たちの存在意義はどういったもので、私たちはどういった価値を誰に、どこに、どうやって提供するのか」という決意ができる、ということ。
もちろん、他にも数えきれないほどのメリットがあります。

そして、ジョゼフ・ミケーリ氏が書いた一冊、

には、そのゴールドスタンダードに関して非常に大切なことがたくさん書かれています。

その中でも、非常に役に立った箇所を紹介させてください。

働く人間の誇りをどう考えるか

役立った言葉。
それは、リッツ初代社長のホルスト・シュルツ氏の言葉。

「他の高級ホテルが業界のリーダーだった時期がありました。それがいまではどうでしょうか。なぜその地位から追われたのでしょうか。彼らはひとつ下位の顧客層にまで手を伸ばし、最高位のお客様を失ったのです。市場を拡大するために商品の質を落とし、会社の出張先に使うホテルの選択に影響力や決定権を持つお客様を手放してしまったのです。」

リッツ・カールトンで下働きをし、町場の飲食店でオーナーとして10年、今、シュルツ氏のこの言葉が身に染みて良く理解できます。

私は、文化的な事、その他、職人達の仕事と言うのは、市場に合わせすぎるとレベルが下がると常々考えています。
(もちろん、市場から商品を考える、売り方を考える、というのは当たり前すぎるレベルで必須です。)

歌がうまいからといって、必ずしもCDが売れるわけではありません。
TV番組の内容が素晴らしいからといって、絶対に視聴率が稼げるわけでもありません。
マーケティング活動が必要ですね。

しかし、売上だけを考えて作詞作曲していては、視聴率だけを考えて番組を作っていては、制作に従事していた職人達の情熱は冷めてしまいます。
それはきっと、お客様に伝わってしまうでしょう。

先ほどのシュルツ氏の話だと、敷居を下げ、それに伴ってサービスにも段階を作ってしまったが故に、サービスクオリティの下限が下がり、それにともなって、働く人間の士気も下がり、その姿を見た最高位のお客様を手放す結果に繋がってしまったということが想像できます。

私達飲食業もそうです。
売上だけを考えた料理ばかりを会社が作らせていたのでは、職人の心がすさんでしまい会社を去ってしまうことも、自身の仕事を辞めてしまう事もあるのです。

このバランスを、リッツは非常に素晴らしく浸透させ、機能させています。
スタッフのそれぞれの仕事に誇りを持たせ、ホテルとして、「リッツでないとダメだ」とおっしゃってくださるお客様にご利用いただく。
両立ができています。

これを実現している背景にあるものが、ゴールドスタンダードなのです。

企業努力なくして成功はない

現リッツ・カールトン社長サイモン・クーパー氏は、この本の中で

「従業員が大切にされ、価値ある人間として尊重される環境で質の追求を目指すうちに、より良い人間になったような気がします。企業が一丸となって質の向上に取り組めば、全員が成長するのです。」

もちろん、前述のとおり、質の向上を純粋に考えたからといって、成功する企業ばかりではありません。

成功に必要なのは企業としての努力であり、そして、リッツ・カールトンの企業努力は、間違いなくトップレベルです。
知っていただく、買っていただく、喜んでいただく、また来ていただく。何が欠けてもいけません。

初代社長シュルツ氏の有名な言葉「サービスは科学だよ」というものもまた、リッツが成功したのは偶然ではなく必然であり、企業努力のたまものだということを示していますね。

そして、その証拠として、リッツ・カールトンは様々な成功のノウハウを持っていて、またそのノウハウを伝えていけるノウハウを持っています。

すでにゴールドスタンダードはリッツ・カールトンの伝統になって定着しているのです。

本書の最後に著者のジョゼフ・ミケーリ氏は

「本書で学んだリッツ・カールトンの成功への旅路から、あなたの企業も新しいゴールドスタンダードを実践し、長期にわたる成功を手に入れてほしい。」

そんな成功ノウハウの中核であるクレド、そのクレドを社内に浸透させるために必須なのはゴールドスタンダードなのです。

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