「良い」サービスマンの定義とは
良いサービスマン、良いソムリエ。
この「良い」という言葉には、様々な解釈が考えられます。
例えば、誕生日を笑顔で、素敵な演出で祝ってくれたサービスマンであれば、祝われた側にとっては良いサービスマンでしょう。
味の好みにぴったりのワインを出してくれたら、良いソムリエと言えるかもしれません。
このように、「良い」と言っても色々ですが、今回は、私なりの視点での「良いサービスマン・ソムリエ」とはどういうことか、をお伝えしてみたいと思います。
サービスクオリティーとドリンクの単価は正比例する
私は「良いサービスマンの定義、良いソムリエの定義はありますか?」と聞かれことがあります。
私の現場レストランでの経験を含めて、「良いサービスマン・ソムリエ」とは、という問いに答えるならば、「高いワインを沢山売る事のできるサービスマン、ソムリエが、良いサービスマンであり、良いソムリエです。」と即答しています。
私はサービスの現場に行かなくても、そのレストランやバーのドリンクの客単価を見れば、サービスのクオリティーが分かります。
なぜか。
それは、サービスクオリティーとドリンクの単価は正比例する傾向があるためなのです。
なぜ比例関係にあるのか
では、なぜサービスのクオリティーと客単価が正比例するのか。
その背景をご説明します。
人は高額な物を購入しようとする際、慎重になります。
その時、購入する判断基準は何ですか?
皆さんも考えて頂くと、「信頼」というキーワードは外せないのではないでしょうか?
家や車などの高額商品も、安いにこしたことはありませんが、安いよりも最終的には商品、アフターサービスなどの信頼だと私は考えます。
ですから、最終的に「ちょっと高くなっても信頼できる方がいい」と言う考え方が、判断基準としては比重が大きくなるのでしょう。
トヨタ車が人気なのも、信頼という点が大きいですよね。
高野氏の著書「絆が生まれる瞬間」の中で、興味深い米国のホテル業界のデータが記載されています。
それは、顧客満足度の高さと、ホテル滞在中に顧客が消費するお金との相関関係を示したものです。
・非常にハッピーで満足している場合、平均より23%も多くお金を使う
・普通にハッピーな場合、平均よりも7%多い
・満足・不満足どちらでもない場合、平均よりも1%以上少ない
・満足していない場合、平均の87%しか使わない。
この傾向は至極当然ですよね。
では、その信頼はどうやって得るのでしょうか?
私はリッツでは、「愛を持ってサービスをしなさい。」「お客様に寄り添ってサービスしなさい。」と教えられました。
初対面でも高額の商品を売ることのできるソムリエやセールスマンの持つ焦点こそ、著書の中で高野氏が言う、「お客様第一主義」なのです。
愛のあるサービスか業務的なサービスか、サービスを受けるお客様はスグに分かってしまいます。
高額な商品を、信頼なしで購入できるのかと言うと、やはり難しいでしょう。
なお、ここでは高額商品を前提としていますが、これは価格が並の商品であっても、傾向としては変わらないと思います。
お店やスタッフとの信頼関係があるかないか、自分に寄り添ったサービスを提供してくれているか。そういった部分が、「また行きたいお店」「良いサービスが受けられるお店」として、記憶に残っていくはずです。
まとめ
「高いワインを沢山売る事のできるサービスマン、ソムリエが、良いサービスマンであり、良いソムリエです。」
このように書くと誤解が生じるかもしれませんが、決して高いワインを勧めまくる、ということではありません。
お客様に寄り添ったサービスを提供することで、信頼関係を築き、喜んで高いワインをオーダーいただけるようなサービスマン・ソムリエが、良いサービスマンであり、良いソムリエではないでしょうか。
しかし、実際にこの「良い」という定義は、業種、価格帯などによっても変わってきます。
そんなときに、会社としてお店として、統一された価値基準がなければ、そもそも良いサービス自体を提供し続けることは難しい。
だからこそ、その基準を浸透させることのできるクレドは強力なツールなんですね。