リッツ・カールトン風「失敗のススメ」
私はリッツの修業時代を含め、いまでも多くの失敗をします。
リッツ修業時代、私は同期の中では一番仕事ができず、一番失敗の多いスタッフだったと確信しています。
しかし、失敗の数々も振り返った時、
「失敗しといてよかったな。」
「あの失敗のおかげで今がある。」
と思う毎日です。
そんな私なりの「失敗のススメ」を、今回はご紹介します。
失敗することは問題じゃない。失敗を恐れることのほうが、はるかに問題。
「失敗することは問題じゃない。失敗を恐れることのほうが、はるかに問題。」とは、「「また、あなたと仕事したい!」と言われる人の習慣」からの引用ですが、この言葉に私は強く反応してしまいました。
この本にもあるように、私も含め、人が失敗を恐れるのは、自分が評価される基準が減点方式だからでしょう。
失敗や間違いを犯すたびにマイナスが増え人事考課につながる。
だったら失敗しないように仕事をしよう、と思うのは至極当然です。
しかし、私が出会った人を引き付ける魅力を持った方々、優れた上司ほど過去の失敗の経験をお持ちでした。
それだけ、チャレンジしてきた証拠であり、失敗を乗り越えた経験を持ち、その経験から学んだ知恵をお持ちだったのです。
それに比べて若いうちにあまり失敗をせずに、歳をとってから失敗した人は、失敗に対する免疫ができていないためか、精神的な病気になる人を何人も見てきました。
ですから、「若い時の苦労は買ってでせよ」と言うのは、こういうことだと思います。
もう一つ失敗と言う経験から得られる大切な事があります。
それは、失敗がリーダーを育てる。と、私は思うのです。
私が出会った優秀なリーダー達は、心の底から部下、後輩から慕われていました。
その度、私は分かってはいますが、こんな質問をします。
「皆さんが、あなたを慕うのは、あなたがよほど優秀な人で、あなたが失敗をしらないからですよね。だって、『あなたの指示に従っていれば失敗しない。』と、信じる事ができるからあなたの指示に従えるのでは?」
その返事の軸は、毎回、皆さんほとんど一緒でした。
「自分が過去様々な失敗をしてきたから、失敗しないように指示はできる。
でも、いつも失敗しない仕事を与えているわけでなく、『乗り越えられるかな?乗り越えて欲しいな。』と、言うレベルの仕事を与える時もある。
もし部下が失敗をしても対処してやれるし、何よりも私自身失敗した経験が多いから、失敗した部下の気持ち、うまく行かなくて悔しい思いを心底わかってやれる。
だから、『失敗しても諦めない。』と言うのを伝える事ができる。私を慕ってくれるのは、そんなところだと思うよ。」
と、こんな感じの返事が返ってきます。
高野氏が著書の中で言う「ホスピタリティも実は同じなのです。よかれと思ってしたことが、思わぬ誤解を生むこともある。それでも失敗を恐れずに相手に寄り添うことをあきらめないこと。そこには必ず心の成長があるのです。」
失敗=成長であり、リーダーとは高野氏の言うにはホスピタリティと失敗が必要だと思います。