クレドは普遍的な価値観 1枚の「クレド」が組織を変える!/実島 誠(著)
こんにちは。
クレドコンサルタントの清水です。
私は今までクレドについて勘違いされている方々を多く見てきました。
例えば、クレドの効果やクレドの正しい使い方、そもそもクレドとはなんなのか? を知らずにクレドを自身の経営するお店や会社のために作ってクレド経営に失敗されてきた方々です。
そんな方々の共通点は、自身が作ったクレドを自慢げに見せて色々と語ってくださるのですが、私の話は全くと言っていいほど聞こうとはしませんでした。
さんざん自身の話を私にした後に、「どうですか我が社のクレドは?」と、聞かれては、私も指摘といいますか、「もっと、こうするといいんじゃないですか?」と言う提案も、相手には否定的なコメントとして取られてしまって後味悪くなるのが目に見えてますからね。
一時、メディアなどで、リッツ・カールトン大阪のサービスが、世間で話題になり、多くのお客様がリッツ大阪にご来館され、自身の会社にもクレドを導入しようと、勢いで決めた方々は、当時少なくなかったように思います。
私がロビーラウンジで働いていると、お客様からクレドの事をよく質問されましたし、クレドカードをプレゼントさせていただきました。
しかし、クレドの正しい知識も持たずにクレドを作った経営者の多くが、クレド経営、クレド導入を失敗で終わっていました。
今回の著書は、そんなクレドの基礎知識を順序良く、しかも、とても分かりやすい内容で紹介されている印象を受けました。
「クレドの導入が上手くいっていない。」
「クレドの効果が出ているのか、出ていないのかわからない。」
と、頭を抱えてらっしゃる経営者の皆様には、必見の書だと私はおススメさせていただきます。
では、今回の読書コラムで、そこらへんを読み解いていきましょう。
まず「クレドは普遍的な価値観」を著者の実島氏が、自身が代表を務めておられるトリプルグッドのクレドの一節を紹介し説明されているのですが、とても分かりやすく、とても納得できる内容だったので、少し紹介さしてください。
私たちは、お客様からのクレームを歓迎します。クレームは失敗の糧であり、メンバーを成長させるチャンスです。決して言い訳をせず、誠心誠意対応します。(40ページより引用)
こんな素晴らしい一節が会社のクレドカードに書かれていれば、スタッフも前向きにクレール対応に当たれますし、すぐに新卒社員も成長させてしまいます。
お客様からのクレームを歓迎する会社の心構えが素晴らしいですよね。
リッツ・カールトンのラインナップ(リッツ式朝礼 前回のコラムで細かく紹介させていただいております。)にすると、こんな感じのやりとりでしょうか?
例
ラインナップリーダー「お客様からクレームを頂いた際、一番やってはいけない事は何ですか?」
スタッフ「言い訳です。お客様の怒りに油を注ぐようなものです。」
ラインナップリーダー「では、どのように対応すればよいですか?」
スタッフ「自分に落ち度がなくても、自分のものとして受け止め、お客様のどんなクレームであれ、まずお客様の目を見て話を誠心誠意聞く事です。そして、お客様がなぜ怒っているのかを理解した事をお客様に示します。そうする事でお客様の気持ちを落ち着かせる事ができます。それから、問題が何なのか明確にして、改善策をお客様に示して納得していただけるようにします。そして、お客様と問題を解決し喜んでいただくようにする事で、お客様との今後の関係、絆を作りあげていけるようにします。つまり、自身の成長とお客様との関係を作り上げるチャンスにします。」
と、いった感じでしょうか?
怒っている人って、とにかく話を聞いてあげる事が大切なんです。
場合によっては、それだけでお客様の機嫌がよくなって解決。という事も何度も経験しました。
話を聞く事を途中で中断させ、お客様を論理的に納得させようとする事は、お客様を論破する。
つまり、喧嘩に勝つような行為で、お客様は納得せざるを得ない状況になったとしても、必ずホテル、お店、今回なら税理士事務所(トリプルグッド税理士法人)の事を好きになる事はありません。
「あの人の言う事は、いつも正しいけど嫌い」と、言う存在になりかねません。
誠心誠意対応するとは、相手を納得させたる。論破する事とは違うのです。
最後は人としての優しさが問われます。
そんな優しさを兼ね備えたスタッフを育て上げる事も普遍的な価値観でありクレドなのです。
顧客にとって、会社にとって、社員にとって、会社にとってなど、すべてのステークホルダーにとってよい状態をつくるための普遍的な価値観がクレドの考え方です。(41ページより引用)
「クレーム=成長とお客様との関係を作り上げるチャンス」と、言う価値観を全スタッフが共有する事ができますね。とても素晴らしい。
リッツ在籍中の事を思い出します。
リッツ・カールトンのクレドにも、クレーム対応でトリプルグッドさんと同じ様な一節がありますが、ぶっちゃけ、ここだけの話、リッツ・カールトンのクレドカードに書かれた内容よりも素晴らしい。と、私は感じました。(笑)
【編集後記】
クレドを研究している友松です。
本日の清水先生のコラムはいかがでしたか?
リッツ・カールトンのクレドカードに書かれている内容より素晴らしいとか。(汗)
それはそれぞれ個人の見解として、私もこの本を読んだのですがまず内容よりもリッツ・カールトンのクレドを参考にしてご自身の会社にクレドを導入して成功させていることに驚きました。
だって清水先生から今回のコラムの冒頭に書かれていた世間の状況は聞いていましたから。
それに清水先生とインタビューをしながら記事も書いていますが、リッツ・カールトンのクレドだけを読んでも、表面しかわからないわけでそこに書かれた意図を読み取るのはとてもむずかしいのではないかと思うわけです。
この本の著者だけでなく、同じようにリッツ・カールトンのクレドを参考に自分の会社にもクレドを導入して成功している企業さんは私達が知らないだけで何社もいらっしゃるんだろうなと思います。
クレーム対応の話が今回取り上げられていましたが、クレドにハッキリとクレーム対応への姿勢が書かれていることはそこで働く従業員にとってとても心強いものだと思います。
だって方針がコロコロと変わらないんだから。
クレームは初動がとても大事です。
初動が待ちだってしまったら、窓口のスタッフが上司に報告に行くときには、大変な状態になってしまうことも多いでしょう。
全体像をクレドでスタッフに示して、詳細はリッツ・カールトンの朝礼『ラインナップ』でスタッフひとりひとりに教えていく。
そんなスタイルがクレドを浸透させていくもっとも速い方法だなとあらためて感じます。
《つづく》
記事を書いた人/清水健一郎
清水健一郎 ザ・リッツ・カールトン日本進出第一号ホテル、
ザ・リッツ・カールトン大阪のオープニングスタッフとして入社。身をもってクレドを実践する。
リッツ卒業後、数社のホテル、小規模飲食店をクレドによって立て直し、クレドがリッツ以外で経営に役立つことを証明する。
その後、オーナーサービスマンとして飲食店を開業。自ら経営者となる。
2013年に、これまでの経験を活かし出版した書籍が、ビジネス書では異例の2万5千部の販売を記録するヒットに。
失敗しない、小予算でできるクレド導入法を開発し、クレド導入を考える経営者や管理職の方へ無料レポートやクレド導入マニュアルを提供している。
編集/友松はじめ
勤務していた食品通信販売会社の業務に関連するセールスマーケティング書籍の他、心理学、自己啓発、加速学習等、あらゆるジャンルの本を1 日1~2 冊のペースで読むようになり、3,000 冊以上を読破。
本から得た情報を担当していたインターネット通販に活かし、売上げを月商数万円のレベルから月商1,000 万以上、年商1億のサイトに育てる
現在は、自身の経験を基にしたビジネス読書法講師、読書法を使った読書会ファシリテーターとして、活動中