著者:清水健一郎
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クレドとは何か

日本的クレド経営のすすめ
著者 服部吉伸
第二章 クレドとは何か

「クレド」と検索してみると、信条、信じて疑わない事。と、出てきます。
今回の章では、ジョンソンエンドジョンソン、リッツ・カールトンのクレド、アメリカホンダの経営理念を使って、各々のクレドもしくは経営理念について説明されています。
(この3社のクレド、経営理念の気になる方は、ネットで検索していただけるか、今回の著書をご購読ください。)
私が読み進めていって、この3つのクレド、経営理念の根本にあるものは一つなのではないか?と、思う節があり、そして、なぜクレドが必要なのか?クレドが会社に何を与えるかなど、説得力のあるお話をされていると感じました。
では、なぜクレドが必要なのか?クレドは会社に何を与えるのか?そして、私が確信を持ったこれらのクレド、経営理念の根本にあるものとは何なのか?についてコラムを進めていく事にします。

説明はジョンソンエンドジョンソン、アメリカホンダ、リッツ・カールトンの順に紹介されており、ジョンソンエンドジョンソンのクレドエピソードを語る際に外す事のできない1982年に発生したタイレノール事件が紹介されています。

何者かが同社の頭痛薬タイレノールに毒物を混入。服用者7人が死亡してしまった。同社はその際、クレドに立ち返り事態収拾を図った。具体的にはマスコミを通じた情報開示、全商品の回収、パッケージの再開発などを行った。多大な損失を覚悟の上、取るべき行動はジョンソンエンドジョンソンのクレド「我が信条」に添って行動されたのだと思います。
その結果、それまで以上の高い信頼を顧客から得る事に成功した。と、言うものです。
迅速な対応ができたのは、迷う時間が少なかったため、それはクレドが判断基準として働いた結果ではないでしょうか。

そして、アメリカホンダの経営理念は、非常に分かりやすい文書で書かれ、明確だと著者も仰っていますが、特に私が気になったのは、

操業の優先順位
工場のあらゆる作業において、ホンダ・オブ・アメリカはつぎの優先順位にしたがう。
(1)安全
(2)品質
(3)生産性
(40ページより引用)

凄く単純で好きです。
人によっては、「もっと具体的に書いた方が良い。」と思われるかもしれませんが、具体的に書く必要ななく、むしろこれくらいザックリと書いていた方が良いと私は思います。
上記のホンダ・オブ・アメリカの操業の優先順位を使って、リッツ・カールトンの例でご説明すると、毎日、各部署で行われるリッツ式朝礼(ラインナップ)で、1人のスタッフが一度クレドを読み上げ、読み上げた節を上司、先輩から質問されることで、スタッフがクレドについて考える癖がつき、クレドが浸透していきます。
では、上記のホンダ・オブ・アメリカの操業の優先順位を使って、

上司「安全とは、職場でどういった状況を言いますか?あなたは日頃なにに気をつけて安全確保を行っていますか?後輩にどのように教育し実践してもらいますか?」と、ザックリ書いてあるために、どの職場でも落とし込める事ができますし、無限の解釈ができ、新たな発想が出てくることで社員も会社も理念も成長する事ができるのだと私は思います。

クレドの目的について著者は言います。

企業組織が挙げて、顧客志向を行うと同時に、全社員が情熱・思いを創意工夫へと転化して、ていねいで、真摯で、暖かく、愛があり、仕事に向かって仕事を行い、うわさや人の足を引っ張る、陰湿な社内での駆け引き、策謀、陰謀などをなくしていくことができるものである。
企業体質の改革と最高の顧客志向を行い、それを通じて他社との差別化を作り出し、業積の向上によって、組織全員が高い処遇を獲得する、つまり、精神的にも、経済的にも充実した状態を作り出すことがクレドの目的である。
(52~53ページより引用)

そして、私が気づいたクレド、経営理念の根本にある一つのものですが、今回、紹介された会社3つの共通はアメリカの会社であること、そして、アメリカは皆さんもご存知の通り人種のるつぼです。様々な人種が入り混じる国であるため、一つの会社の中にも様々な文化を持った人種がいます。そんな、人々を一つにするためのツールではないでしょうか?
ここで、私の大好きな漫画「キングダム」に登場する“法の番人”と言われる法の専門家李斯と秦国の丞相昌文君とのやり取りをご紹介させてください。

以下漫画「キングダム」より引用

李斯「とにかく中華を治める法とはこれほどバラバラの異文化を持つ六国の
人間たちを1つにするものでなければならぬ・・・。
ここで逆にお前に1つ聞こうか、昌文君。

そもそも法とはなんだ?言ってみろ昌文君。

昌文君「法とは・・・。刑罰をもって人を律し治めるものだ」
李斯 「馬鹿な。刑罰とは手段であって法の正体ではない」
昌文君「で、では法とは何なのだ李斯!」

李斯 「法とは願い!国家がその国民に望む人間の在り方の理想を形にしたものだ!統一後、この中華の人間にどうあって欲しいのか、どう生きて欲しいのか、どこに向かって欲しいのか、それをしっかりと思い描け!それが出来ればそこから自ずと法の形が見えてくる」

まさにクレドだ!
実際、紹介されている3つの会社の一つリッツ・カールトンで、クレドを実践してきた私にとって、クレドに書かれている事は、李斯の言う「国家(会社)がその国民(社員)に望む人間の在り方の理想を形にしたものだ!」そのもの。
最近、一番目から鱗が落ちたエピソードでした。

 

【編集後記】

クレドを研究している友松です。
本日の清水先生のコラムはいかがでしたか?

私が今まで働いていた会社では、何もルールが無いとは流石に言いませんが、従業員の資質に頼っていたり、経営者がルールだったり…。
今の私から見るとノールールに限りなく近かったなと思います。

それでも会社が回っていたのは日本人のもともと持っている資質によるものが大きかったんじゃないかと思っています。
人としてルールを守る人が大半でしたが、中には自分さえ上司や経営者に評価されればいいという考え方の人もいて、部下に「シネ」「バカ」「ヤクタタズ」と反論ができない立場で叱責していたりする人が過去にいました。

私は彼とは関係のない部署だったのでやられたことは無いですが、社長と彼と私の3人で山陰地方に出張にいったときは、社長へのアピールの出汁に使われていたのを今では懐かしく思います。(ホントですよ)

ちなみにその人は、そのまま出世して執行役員になっていたりします。
会社は見る目があるのか無いのか考えるところはありますが、清水先生が書いているようにクレドを導入してクレドを浸透させていくことができれば、従業員にも経営者にも、そして会社にも大きなメリットがあるように思います。

クレドがあれば、私のサラリーマン生活で最悪の人物だった彼も、クレド通りの行いをして少しは矯正されていたかもしれません。(汗)
なぜならクレドは会社が社員に望む人間の在り方を理想したものだから。

 

この記事を書いた人

著者/清水健一郎

清水健一郎 ザ・リッツ・カールトン日本進出第一号ホテル、
ザ・リッツ・カールトン大阪のオープニングスタッフとして入社。身をもってクレドを実践する。
リッツ卒業後、数社のホテル、小規模飲食店をクレドによって立て直し、クレドがリッツ以外で経営に役立つことを証明する。
その後、オーナーサービスマンとして飲食店を開業。自ら経営者となる。

2013年に、これまでの経験を活かし出版した書籍が、ビジネス書では異例の2万5千部の販売を記録するヒットに。
失敗しない、小予算でできるクレド導入法を開発し、クレド導入を考える経営者や管理職の方へ無料レポートやクレド導入マニュアルを提供している。職場の信頼関係はクレドで作られる

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