クレド、バリュー、ミッション、ビジョンとはなんだろう? わかるようでわからない疑問を解決
クレドってなんだろう? とクレドに興味をもった方はクレドについて検索して調べはじめると思います。
このページを読んでくださっている読者の方もそういう方ではないでしょうか。
クレドを調べ始めると、バリューやミッションやビジョンというキーワードも目にすることになります。
バリューやミッションやビジョンですが、マーケティング用語のひとつとして日々の仕事の会話の中で何度も使ったことがある方もいらっしゃると思います。
しかし本当の意味をしっかりと説明しようと思うと結構難しいなと思ったことはないでしょうか。
特にミッションとビジョンの意味を混同していたり、意味が逆になって理解している場合も多いようです。
クレド、バリュー、ミッション、ビジョンですが調べてもよくわからないことはないでしょうか?
記事を書いている私もそうでした。
そこで今回の記事ではクレドに興味を持って調べはじめた方たちの多くが感じる、クレド、バリュー、ミッション、ビジョンの意味を解説していきます。
そして記事の後半ではクレドの作り方も紹介していきますので、どうぞ最後まで楽しんで読んでみてください。
クレドとはなんだろう?
クレドを検索すると検索結果のほとんどのページでクレドはラテン語で『信条』という意味です、
と出てきます。
ビジネスでクレドが使われ始めたのはアメリカです。
アメリカですから、なぜラテン語のCredoではなく英語の『Belief』にしなかったのでしょうか?
その理由をカンタンにご紹介します。
クレドがビジネスの世界で注目されるようになったのは2001年です。
アメリカのエネルギー会社エンロン社がおこした不正会計事件がキッカケになりアメリカの企業はコーボレート・ガバナンスを重視するようになりました。
コーボレート・ガバナンスは会社の経営陣が不正をしないように監視する仕組みです。
コーボレート・ガバナンスが急に注目を浴びはじめたのは、エンロン社の不正会計事件がよほどのインパクトがあったからだろうと想像できます。
そのとき『クレド』を導入して成功している企業が2社アメリカにありました。
リッツ・カールトンとジョンソン・エンド・ジョンソンです。
ジョンソン・エンド・ジョンソンはアメリカ中を恐怖のどん底に落とし入れた毒物混入事件『タイレノール事件』を『我が信条』というクレドによって解決しています。
我が信条はもちろん、ジョンソン・エンド・ジョンソンのクレドです。
おそらくこれは私の想像ですが、経営陣の不正を監視するためにコーポレイト・ガバナンスに注目しなければならなくなったビジネス界が、コーポレート・ガバナンスと同等、まははそれ以上の解決策としてクレドにも注目するようになったのではないかと考えています。
また、なぜ信条を英語の『Belief』ではなく、ラテン語の『Credo』で呼ばれるようになったのか、その理由は原点回帰という意味が込められているともいわれています。
Credoはビジネス用語ではなく、キリスト教で使われている宗教用語ですから普遍的な経営をCredoにもとめたのかもしれませんね。
クレドはビジネスの世界では企業理念を従業員が理解しやすく使いやすくしたものとして使われていることが多いようです。
行動指針に似たものがクレドだと考えるとさらにわかりやすいと思います。
バリューとはなんだろう?
バリュー(Value)は日本語に訳すと『価値』です。
モノの価値に使われることがありますが、ビジネスの世界でのバリューは、企業が目指す『共通の価値観』という意味になります。
つまりバリューは会社のミッションやビジョンを達成するために必要な価値観のことをしめしているので、このバリューが共有できていないと会社の方向性がバラバラになってしまいます。
クレドも会社や従業員の方向性を同じにする効果や目的があるので同じ使われ方をする場合も多いですね。
ミッションとはなんだろう?
ミッションの意味は存在理由です。
なにをするのかではなく、なぜするのかがミッションです。
ザ・リッツ・カールトンには3つのミッションがあるそうです。
- 世界一を目指す会社としてのミッション
- ホテルとしてのミッション
- 各部署のミッション
そしてここからが会社全体でミッションを達成するために大切なポイントです。
ミッションを達成するためにリッツ・カールトンでは各部署でミッション・ステートメントを作って掲げているそうです。
各部署で話し合い、どうやったら自分たちの部署でミッションを達成できるか、そのための方法が書かれたものがミッション・ステートメントです。
ミッション・ステートメントは各部署によって異なった内容になっています。
ビジョンとはなんだろう?
ビジョンは、その会社の理想の姿、なりたい姿です。
ビジョンは未来像ですから具体的であればあるほど従業員にも理解されやすくなります。
クレドが注目される理由
消費者ニーズの多様化でどんな会社でも商品やサービスの差別化がたいへん難しくなってきています。
そこで求められるのは柔軟でスピーディーな現場対応です。
自分で考えて行動できる従業員の育成が企業が存続、繁栄していくために必要だと考える経営者は少なくないはずです。
クレドは行動指針としての役割ももっています。
そのためクレドを軸にした経営は、自分で考えて行動する従業員の育成に役立ちます。
そしてクレドを導入することで経営者と従業員は同じゴールに向かって進むようになるため、従業員の育成はもちろん業務や売上の改善にも効果が期待できるということでクレドが注目されています。
クレドを作るメリットは8つ
クレドに興味のある方、クレドを作って実際に会社で運用したいと考えている方にとって具体的なクレドのメリットを知りたくない人はいないでしょう。
そこでここではクレドの具体的なメリットをカンタンに紹介したいと思います。
- 企業理念に基づいたブレない経営ができる
- 自ら考えて行動(仕事)ができるスタッフが育つ
- スタッフが育つことで、経営者がいなくても動く組織ができる
- 先輩が後輩を育てる風土が育ちスタッフ同士の信頼関係ができるので離職率が減る
- クレドによって企業文化が作られるので、その価値観に共感する人材が集まるようになる
- 企業文化ができることで会社のブランドイメージも向上、競合他社との競争力がつく
- 従業員が共通の目標を持つことで、組織のチームワークが良くなる
- 仕事の目的が明確になるので、スタッフのやる気が向上する
いかがでしょうか?
クレドを作ることで良いことばかりが会社に起こるようなイメージがしますね。
これはクレドを導入することで導入した会社に必ず起こる良い変化の一部です。
まだまだここに書ききれない変化がクレドによって起こる可能性はあります。
しかし、勘違いしてほしくないこともあります。
クレドを作っただけでは会社も従業員も変わらないということです。
クレドを作って会社に導入したらクレドを運用できるようにいくつか準備しなければならないことがあります。
クレドを作ったのに会社が変わらない経験をしている。
またはそんな話をきいたことがある。
など、クレドを作って失敗した会社の特長は、クレドを作って従業員にクレドカードを持たせただけなのです。
つまり『クレドを作っただけで終わり』というパターンです。
クレドを作るなら、従業員がクレドを使わなければ意味がありません。
クレドが運用されるためには成功するクレドの作り方があります。
クレドを作るときに注意すること
クレドを作るときの注意点を説明します。
クレドを作ると決めたらまずは『従業員に説明する』ことです。
あとからクレドの作り方を説明しますが、経営者や経営陣だけでクレドを作って従業員にクレドカードを配布する方法では、せっかく作ったクレドに従業員が共感することはありません。
ましてやリッツ・カールトンやジョンソン・エンド・ジョンソンの従業員のように仕事に使ってくれることもありません。
クレドの失敗で一番多いのがこのパターンだといわれています。
ですから『クレドという新しい文化』を全従業員が受け入れることのできる土台を作ること、そしてクレドが従業員の中に真に浸透するための仕組みの導入が必要なのです。
その仕組を作る過程で従業員の中から、あなたの会社のクレドを一緒に作るにふさわしいクレド作成の選抜メンバーが生まれます。
それからクレドを作るうえでもう一つ大切なことがあります。
それは『経営者もクレドを守ること』です。
従業員にだけクレドを守らせて経営者はクレドを守らずクレドに反する発言や行動をしたとしたら会社の組織はどうなるでしょうか?
クレドに崇高な内容もいいのですが、経営者であるあなた自身も責任をもって守れる内容でないとクレドを作る意味がありません。
そしてクレドはバージョンアップが可能です。
最初に作るクレドが初期型とするとクレドを使う側がレベルアップしたら、それにあわせてクレドもバーションアップしていけばいいのです。
そう考えると良いクレドができそうに思えませんか?
クレドの作り方
私たちが紹介するクレドの作り方、導入方法、運用方法は独特ですが、ただクレドを作るだけでなく、クレドを作る前から全従業員が新しいことを前向きに受け入れられるような意識改革を行います。
つまりクレドを導入するための土台作りを行うのです。
これは『クレドを作ったのに会社が何も変わらない』ということが起こりにくいクレドの作り方になります。
クレドを作りたい、自分の会社や組織にクレドを導入したいと考えている方はぜひ、クレド作成や導入の参考にしていただけたらと思います。
職場の意識改革
クレドが会社に無い組織にとって、クレドは新しいチャレンジになります。
新しいチャレンジをしている会社組織も多いと思いますが経営者の熱い思いとは裏腹に、従業員たちは『社長がまた何かわけのわからないモノを職場に導入しようとしている』と思い始めます。
従業員たちのこのような意識はクレド作成の大きな壁になります。
クレドを作成して成功した会社の事例をみてクレドを作ったのにまったく会社に変化が起こらないのは、クレドの内容ではなくクレドを導入する手順に問題があります。
クレドを作って、従業員たちにクレドを使ってもらうためには、クレドを受け入れる土台が必要です。
この土台は全従業員の意識です。
この土台ができていれば、クレド以外の導入もうまくいきます。
この土台を作るヒントは『ありがとう』の感謝の気持ちと、職場の仲間への『信頼』です。
職場に『ありがとう』の気持ちと『信頼』の気持ちを表現することができる仕組みを導入することで職場の意識改革は大きく進み始めます。
私たちはクレドの導入をしなくても、『ありがとう』と『信頼』が行き交う職場にするこのステップだけでも十分だと思うことがあります。
クレド作成メンバーの選出
クレドを作ってクレドカードを従業員に配ったのに会社は何も変わらないという理由のひとつは、クレド作成に従業員が関わっていないということがあげられます。
もしあなたの会社にクレドが導入されているのに何も変化が無いのなら、それは経営者だけでクレドを作ったということはないでしょうか?
クレドを導入できる土台ができていると、クレドを作るときに『クレド作成選抜メンバー』を選ぶことができます。
『ありがとう』と『信頼』が行き交う職場は全社員がそれを実行しやすい仕組みを導入して行います。
そしてどれだけ『ありがとう』と言われたか、どれだけ『ありがとう』と伝えたかなど数字で分かるようにします。
その数字の合計の上位者が、クレド作成選抜メンバーの候補になります。
なんとなく良さそうだからという曖昧で根拠が薄い選出方法ではないので、本当に使えるクレドを作るための頼れるメンバーを選ぶことができます。
また従業員からメンバーを選ぶため実際にクレドを作成した後は、選抜メンバーが率先してクレドの運用を行うことになります。
経営者・従業員へアンケートの実施
クレドの内容を決めるために、従業員にアンケートを実施します。
経営者と従業員は立場も仕事の内容も異なるため従業員にはアンケートを実施して、経営者にはインタビュー形式でヒアリングしていくといいでしょう。
アンケートを実施することで見えていなかった意見もでてきます。
不平不満の内容も出てくるかもしれませんが、会社を良くしたいと考えている従業員からの意見もたくさん出てくるはずですのから、そんな従業員の熱意を積極的に取り入れていきます。
アンケートの実施にはクレド作成選抜メンバーが中心になって行います。
アンケートの内容ももちろん大切ですが、アンケートを実施することで『クレドを作成する』ことを従業員一人ひとりに意識付けする効果も期待できます。
クレドの文章化
経営者へのヒアリングと従業員へのアンケートが終わったら、ヒアリングとアンケートの内容をもとにしてクレドのもとになる文章を考えていきます。
一般的にクレドを作ったら、その内容をクレドカードに記載します。
このときクレドカードにはクレドだけを記載すると思っている方もいますが、クレドカードには以下の内容を記載するとリッツ・カールトンのクレドカードのように充実した内容のカードになります。
- ビジョンの文章化
- ミッションの文章化
- ミッション・ステートメントの文章化
- クレドの文章化
- ベーシックの作成
クレドを文章化する他に、ビジョンとミッションは創業者、経営者にヒアリングを行い、経営理念や企業理念ももとにして文章化を行います。
ミッション・ステートメントは会社の各部署それぞれが、会社のミッションを実現するために自分たちの部署でできることを考えて文章化します。
そしてベーシックです。
ベーシックとはクレドを実現するための全従業員共通の行動指針だと考えてください。
リッツ・カールトンのクレドカードには『12のバリュー』が掲載されていますが、バリューの前は『20のベーシック』が掲載されていました。
掲載されている内容は、電話のとり方、接客方法など当たり前のことが書かれています。
この当たり前の内容がクレドを運用していくためにとても大切なポイントになってきます。
クレドカードを作る、全員に携帯させる
クレドカードに掲載する内容が文章化できたら、いよいよクレドカードの作成です。
クレドカードを職場のコピー機で印刷するのはやめましょう。
持ち歩くのが楽しくなり、家族や友人にも見せたくなるようなデザインと紙質のカードを作りましょう。
折りたたみができる仕様で、折りたたむと名刺の大きさにすると携帯しやすくなります。
紙も防水性や耐久性のあるマットコート系の紙にビニールコーティングしたものがいいでしょう。
それからクレドカードを差し上げる場合も考えて多めに印刷しておくといいですね。
まとめ
クレドは会社の共通の価値観、つまりバリューを全従業員と共有するためのツールのひとつといえます。
バリューは共通の価値観です。
会社の価値観を全従業員共通の価値観にするのにクレドは適しています。
クレドはミッションやビジョンとセットになったものですからクレドを作成することで会社のビジョンやミッションも含めて価値観を共有することが可能になる大変有効なツールです。
ですから、クレドを作ろうと考えたときには自分ひとりで考えるのではなく、今回紹介したように従業員も巻き込んで、プロジェクトとして進めていくことをオススメします。
会社全体でクレドを作ることが出来れば、クレド導入後にはコンプライアンスの遵守や人材育成、従業員の仕事へのモチベーションにも今までにないプラスの影響が現れてくるはずです。
記事/友松はじめ
クレド勉強会 友松はじめ
勤務していた食品通信販売会社の業務に関連するセールスマーケティング書籍の他、心理学、自己啓発、加速学習等、あらゆるジャンルの本を1 日1~2 冊のペースで読むようになり、3,000 冊以上を読破。
本から得た情報を担当していたインターネット通販に活かし、売上げを月商数万円のレベルから月商1,000 万以上、年商1億のサイトに育てる
現在は、自身の経験を基にしたビジネス読書法講師、読書法を使った読書会ファシリテーターとして、活動中