20のベーシックが12のサービスバリューに変わった話 / 友松クレド研究
THE NEW GOLD STANDARD
ゴールド・スタンダード/ジョセフ・ミケーリ(著)
こんにちは。
クレドを研究している友松です。
今、ゴールド・スタンダードという本を読んでいます。
この本は翻訳本です。
そしてリッツ・カールトン本社を中心にキーマンになっている人たちにもインタビューした、まさに舞台裏を教えてくれる、とても楽しい本です。
今回は3章の「適合性を高める」の続きです。
あのベーシックがサービス向上の足かせに?
2006年の前半までは20のベーシックがありました。
2006年7月3日から、12のサービスバリューズに変わりました。
2005年11月、リッツ・カールトン社長のサイモン・クーパーさんは、ベーシックについて従業員に直接意見をきくために世界中を旅したそうです。
当時の社員数は3万4000人で、社長はその半数の1万7000人と直接ベーシックについて聞いてまわったそうです。すごい。
ベーシックは、リッツ・カールトンにクレドカードが出来たときからあるサービスの心得のようなもの。
リッツ・カールトン大阪のオープニングスタッフでクレドコンサルタントの清水先生も著者の中で言っていますが、社会人として大切なこと、サービスなどベーシックから学んだといいます。
たしかに、ベーシックは初めて仕事を学ぶのには適しているのだけれど、仕事を覚えたあと、サービスの経験値が上がったスタッフはお客様に対してベーシックをそのまま使わなるということでした。
もともと、なぜベーシックを変えたほうがいいのでは?となったキッカケはベーシックをベースにおこなわれるリッツ・カールトンのサービスを単調なサービスと感じたり、サービスされることを望まないお客様に遭遇することがあったそうです。
それでサービスの提供方法を変える必要があるんじゃないの?
ということになり、変えるならベーシックだよね、ってことになったようです。
本を読んでいると、中堅どころのスタッフさんは、ベーシックをベースにしながら柔軟なサービスをおこなっていたようですが、やっぱりゴールド・スタンダードを忠実に守ってこそのリッツ・カールトンですから、ベーシックが足かせになって、せっかく能力の高いスタッフさんのポテンシャルを全開にできなかったのかなと感じました。
創業から少しずつ変化してきたゴールド・スタンダードとはいえ、ベーシックをガラッと変えるのには相当なエネルギーが必要だったようですが、ベーシックからサービスバリューズ変更に対して反対したのは以外にも経営者・幹部の方が多く、スタッフさんの間では、全スタッフさんのなんと9割がベーシック変更に賛成していたそうです。
サービスバリューズに変わったあと
サービスバリューに変わったあと、サービスバリューをベースにスタッフそれぞれがより自由な内容でサービスができるようになったそうです。
バーカウンターでビールを瓶で提供してグラスを出さないサービスをおこなった話が事例として出ていました。
このバーテンダーのサービスの内容は、他のお客様からの苦情によって発覚したサービスでした。
苦情を言ってきたお客様は、ビールにグラスを出さないとは何事か! と自分の事ではないけれどお怒りになった。
でも、事情をバーテンダーに聞いてみると、お客様がグラスを希望しない人だったからだということがわかった。
Aというお客様にはすごく喜ばれるけれど、Bというお客様はすごくお怒りになる。
むずかしいところだと思うんですが、だからこそスタッフさんのポテンシャルを信じて、そのスタッフさんが動きやすいようにサービスバリューズに変更したんですね。
今までもリッツ・カールトン関連の本はいろいろ読んできて、ワオストーリーと言われるサービスの事例も読みましたが、もしかしたらそのいくつかの事例は、すでにサービスバリューズに変わったあとのものかもしれないと思いました。
サービスバリューズはスタッフさんとお客様の交流に焦点をあてて作られたと書かれていました。
サービスバリューズになって、スタッフさんのサービス内容に自由度が加わったことは、いい意味でお客様がリッツ・カールトンで感じるサービスが一定していない、毎回はじめての体験になるということなのだろうと思います。
つまりサービスバリューズでサービスの適合性も向上したってことですね。
まとめ
今回は適合性の続きでした。
ベーシックからサービスバリューズへの変更の経緯、変更するまでの内容について書かれている本は、このゴールド・スタンダードだけじゃないでしょうか。
とても興味深かったです。
次回からは4章を読んでいきます。
リッツ・カールトンの人材の採用の内容についてです。
リッツ・カールトンの採用する人材についての事例として『お客様のために飛行機を止めた』ことが紹介されていましたが、この事例ってもしかして『伝説コンシェルジュが明かすプレミアムなおもてなし―お客様の望みをすべてかなえる方法』の著者、前田佳子さんの事じゃないの?と思って、前田さんとは他人なんだけどうれしくなりました。
もうひとつの事例、5階に用があったけど、6階に上がるお客様がいたので、自分は5階のボタンを押さず、お客様が6階に降りたのちに5階のボタンを押したというエレベーターの話も紹介されていました。
こうした、すごすぎる、そしてステキなサービスがおこなえる人材はリッツ・カールトンだから採用できるんじゃないの?
お給料が他のホテルより良いんじゃないの?
何か、私たちが知らないリッツ・カールトンの採用の秘密があるのかもしれない。
ということで、次回からその秘密を勉強していきたいと思います。
記事/友松はじめ
クレド勉強会 友松はじめ
勤務していた食品通信販売会社の業務に関連するセールスマーケティング書籍の他、心理学、自己啓発、加速学習等、あらゆるジャンルの本を1 日1~2 冊のペースで読むようになり、3,000 冊以上を読破。
本から得た情報を担当していたインターネット通販に活かし、売上げを月商数万円のレベルから月商1,000 万以上、年商1億のサイトに育てる
現在は、自身の経験を基にしたビジネス読書法講師、読書法を使った読書会ファシリテーターとして、活動中