これ、いったいどうやったら売れるんですか 身近な疑問からはじめるマーケティング
これ、いったいどうやったら売れるんですか 身近な疑問からはじめるマーケティング
永井孝尚(著)
■読む前の予想
消費者の趣味嗜好、生活様式が多様化したことで、売れない時代になってます。
売れないというよりも、ターゲットにうまくリーチできないために売れないというのが正しいのかもと思うのですが、こんなタイトルをつけられたら買って読むしかありません。
「これ、いったいどうやったら売れるんですか?」と私も誰かに質問したいです。
ということで、この問いに答えたのが本書だろうということで、60万部突破のベストセラー作家の新刊に期待して購入しました。
- 目次 -
第1章 腕時計をする人は少ないのになぜ腕時計のCMは増えているのか?
─「バリュープロポジション」と「ブルーオーシャン戦略」
第2章 人はベンツを買った後どうしてベンツの広告を見てしまうのか
─「顧客」と「ブランド」
第3章 雪の北海道でマンゴーを育てる?
─「商品戦略」と「顧客開発」
第4章 あの行列のプリン屋が赤字の理由
─「価格戦略」
第5章 なぜセブンの隣にセブンがあるのか?
─「チャネル戦略」と「ランチェスター戦略」
第6章 女性の太った財布には、何が入っているのか
─「プロモーション戦略」と「マーケティングミックス(4p)」
第7章 きゃりーぱみゅぱみゅは、なぜブレイクしたのか?
─「イノベーター理論」と「キャズム理論」
第8章 古本屋がふつうの本屋より儲かる理由
─「マイケル・ポーター5つの力」と「競争戦略」
■気になるポイント3つ
・お客さんは何にお金を出しているのか?
・レッドオーシャンとブルーオーシャン
・5つの力と競争戦略
お客さんは何にお金を出しているのか?
お客さんがお金を出す「理由」を新しく創りだすことで、スマホや携帯では真似できない新しい商品を生み出したのだ。
お客さんがお金を出す「理由」を創り、新市場を生み出したのである。
私たちは日々、お金を払って買い物をしていますが、いったいお客さんは何にお金を出しているんでしょうか?
それは、もちろん、ほしい「物」「サービス」を買うためにお金を出しているわけですが、本当は目の前に見えるものではなく、「物を買う理由」にあります。
これをマーケティングの世界でバリュープロポジションというそうです。
自分の会社以外にも競合の会社がいますが、お客さんがほしいもので、かつ自分の会社だけが提供できるものを見つけることが、売れる商品やサービスを作るための絶対条件のひとつだそうです。
それが見つけられない、つまり、他と一緒のような物しか提供できないようであれば・・・
レッドオーシャンとブルーオーシャン
コモディティ化してライバル同士が過当競争する市場を多くのサメが集まって獲物を食い合う真っ赤な血で染まった海にたとえて「レッドオーシャン」と呼ぶ。
似たようなものを販売している会社同士なら、ターゲットも同じなのでそりゃもう、文字通り食い合いですよね。価格競争にもなるでしょうから、じり貧です。
周りを見渡すと、レッドーシャンの中で血で血を洗うようなビジネスをしている中小企業って多い気がしますね。
レッドオーシャンの中にずっといると、会社の体力は消耗し、最悪の場合、倒産してしまう。これを防ぐには、過当競争の市場、つまり真っ赤な海から一刻も早く脱出し、ライバルがいない海を見つける必要がある。このライバルがいない市場のことを、「ブルーオーシャン」と呼ぶ。血で汚されていない真っ青な大海原、つまり未開拓の新市場ということだ。
先ほどの、バリュープロポジションを使えば、ライバルのいない市場であるブルーオーシャンに辿りつくんですね。マーケティングの本には、ブルーオーシャンを見つける方法が書かれた本がたくさんでていますから、片っ端からとりあえず読んでみたらいいのに。と思ってしまいます。
本を読まない経営者、一般社会人が多いので、読むだけでもかなりのビジネスチャンスだと思うんですけども。
5つの力と競争戦略
私は競争が嫌いである。世の中にはどう逆立ちしても勝てない強いライバルが多い。だから私は競争は避けて、常に「自分しかできないことは何か」を考えて、「不戦勝」を狙いたいと考えている。
私も競争は嫌いなので、すごく共感しました。戦わずして勝つ。(戦ってないので勝敗はないんですけどね。)その視点ややり方を本書で学ぶことができました。
ポーターの競争戦略も、同じ考え方だ。「競争するなら、勝てる競争をすべし」というのが、ポーターの基本的な考え方である。勝てない競争には、ムダな時間とコストがかかり、儲けも減る。「5つの力」は、勝てない競争を避けて、常に勝てる状況をつくり出すことで、儲けに繋げる考え方だ。
本書でポーターの5つの力を知りました。ブックオフやまんだらけを例にあげた内容が書かれていますが、町の個人経営の古書店の話もあり、この5つの力はもう少し深く掘り下げて学んで実際に使いたいと思いました。
マイケル・ポーターの「5つの力」や、3つの「競争戦略」が大いに役立つ。競争戦略は競争を避けるための戦略だ。ムダな競争はお金も人も時間もかかる。競争を避ければ、余力をお客さんに提供する価値を高めることに投入できる。だから儲かる。
ここの情報を知ることができただけでも購入した価値が私にはありました。
■まとめ
この本は、難しいマーケティング手法を、私たちがよく知る出来事を例にとりながら、平易に理解できるように書かれたマーケティングの入門書のような本です。
著者の身近な出来事からマーケティング理論を語るところがいくつもあり、とても親近感をもって読み進めることができます。
バリュープロポジション
ブルーオーシャン戦略
カスタマーライフタイムバリュー
商品戦略・顧客開発・価格戦略・競争戦略・・・
その外にもいろいろ出てきましたが、内容が簡単なのですぐに読めてしまいます。
もちろん、それぞれのマーケティングについても大まかに理解することができます。
これはいいですね。
そして、本書を入門書として読んだ後は、
マーケティングの概要が頭の中に作られるはずなので、参考文献で紹介されている
マーケティングの初級・中級・上級書を読んでいけば、仕事に必要以上(笑)の知識が頭に入ることでしょう。
はじめてマーケティングに触れる方の入門書として本書を手に取るのもいいですし、多岐にわたるマーケティングの種類を知ったり、自分の仕事に今必要なのはどんなマーケティングなのかを知るにもいいと思います。
そして、知った後は、本格的に参考文献に紹介されている本を読みこんでいけばいいのではないでしょうか。
個人的には、マイケルポーターの5つの力と競争戦略をもっと深めたいと感じています。