著者:友松はじめ
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すべての疲労は脳が原因

すべての疲労は脳が原因 / 梶本修身(著)

自宅近くにある小さな書店で、タイトルに引かれてペラペラめくってみると、ワーキングメモリを鍛えるとか書いてあった、疲労は脳が原因だとか、栄養ドリンクで疲労が回復するとか、全部ウソとか書いてある。
疲労を克服して、長時間活動したいと考えていたところでもあったので、ぜひ読みたいと思って購入しました。

■読む前の予想

脳と疲労というこで、睡眠法とか、秘密の栄養素とかの紹介があって、疲れないで徹夜ができるような体になるための情報が入っているんじゃないか?もしもそうなら、もっといろんなことができるな。と若干不健康な期待を持って本を読み始めました。

2016年の4月に出たばかりの本ですが、もう7万部突破ということで、疲れに関して関心を持っている人が多いことが容易に想像できます。(日本人の6割が疲労を感じているらしいです。)
私も疲労が溜まってるわけじゃないですが、悩み始めてからでは遅いので、今回本書を読める機会を得ることができてよかったです。どうも、疲労について迷信と言うか、非科学的なことがまかり通っているようなので、
この本で一気にそういった迷信が解消できたら、それだけでも大きな価値があります。

- 目次 -
はじめに疲労を科学することとは
第一章疲労の原因は脳にあり
第二章疲労の原因物質とは
第三章日常的な疲労の原因はいびきにあった
第四章科学で判明した脳疲労を改善する食事成分
第五章「ゆらぎ」のある生活で脳疲労を軽減する
第六章脳疲労を軽減するためにワーキングメモリを鍛える
あとがきにかえて

■気になるポイント3つ

今回、この本で気になったポイントはこの3つです。
・疲労が発生する仕組み
・最新エビデンスによる疲労を回復する方法
・ワーキングメモリ

疲労が発生する仕組み

書評で書いてしまうと、読む楽しみが減るので書きませんが、運動や仕事、様々な悩みでストレスを感じて疲れるなど、なぜ疲れるのか、その疲れはどんな仕組みによって体にあらわれるのか?

我々は日常で疲れを感じると、「今日の会議では精神的に疲れた」「肉体疲労がきつい」などとよく言いますが、その疲労はどこから来ているのか、どこが疲れているのかを突き詰めると、自律神経の中枢がある脳にその源があると言えるのです。

こういったことが、今まで分かっていたつもりで、実は何にも分かっていなかったことが分かりました。
呼吸や食事や運動や、それこそ心臓の動きから細胞にいたるまで、私たちの意識ができない細かいところまでの管理を日中だけではなく、寝ている間も24時間働き続けているのが自律神経だったんです。
この自律神経の疲労が、本当の私たちの疲労だったんです。

私が思っていた疲れの知識は、恥ずかしながらすべて迷信でした。
これが分かることで、毎日の生活で疲れないための対策をとることができます。

最新エビデンスによる疲労を回復する方法

疲れの発生原因が分かったことで、その疲れを回復する方法を知る必要があるのですが、疲労回復の方法は睡眠でした。長時間の睡眠をとる必要があるわけではなく、睡眠の質が重要であるようです。
たとえば、睡眠の浅い眠りは長時間寝ても意味がなかったり、就寝前にスマホをみるのも悪かったりするようです。

本書には、いくつか睡眠の質を高める方法もありました。
なぜ睡眠が疲労回復の唯一の方法かというと、先ほど自律神経の疲労が、本来の疲労といいました。
実は、睡眠中は日中と違い、自律神経の仕事量がグンと減るんです。つまり自律神経も睡眠中は仕事が楽になるんです。その間に回復させるわけですね。

疲労回復に、栄養ドリンクや、温泉宿や、うなぎは関係ありませんでした。
栄養ドリンクでシャキッとするのは、入っている栄養成分ではなくて、なんのことはない、ただカフェインの覚醒作用だったんです。体は疲れているのに、シャキッとしてしまうのは、疲労にマスキングをしてしまう行為なので、大変危険なのだそうです。注意しましょう。
なのでもう、私は栄養ドリンクは、人からいただいたら飲みまずが、自分では買わないでしょう。

疲労回復は睡眠と分かりました。でも、疲れが溜まりすぎると、この睡眠時間内では解消されない場合ももちろん出てきます。これが、疲れが溜まるということなんですが、起きても疲れが取れないという状態が続くと、重篤な病気になるリスクが高まります。
過労死の原因もこの負のサイクルが原因のひとつのようです。

疲労回復の理想は、睡眠中に自律神経の疲労を回復することなんですが、回復できない場合はどうしたらいいのか?日本人の60%が何らかの疲れを感じている今、この本から知りたい情報はそこだと思います。

その方法、つまり、疲労回復のための物質が書かれていました。
ありますよ。解決方法が。迷信ではなくエビデンスのある物質です。ある食べ物に含まれている物質で、サプリメントもあります。
若干高価ではありますが、疲労回復後のパフォーマンスを考えると、十分サプリメント代は回収できるはずです。
では、その物質とは何なのか?詳しくは本書を読みましょう!(笑)
私は早速試します。

ワーキングメモリ

実は、ワーキングメモリという単語が書いてあったので、この本を読もうと思ったのですが・・・。
最初にワーキングメモリのことが書いてある章を読みました。
しかし今ひとつピンと来なくて、本書を最初から読んでみたんですが、すべて読んでみて疲労とワーキングメモリの関係が分かりました。(医学系は読んでないもので。)

ワーキングメモリは、日常生活に欠かせない、脳の機能です。
私達は毎日、無意識にワーキングメモリの機能を使っているんです。
ワーキングメモリの機能を簡単に説明すると、会話なんかが分かりやすいと思います。
たとえば、今聞いたことを一時的に記憶して、次に聞いたことと比較検討して、しゃべる。

相手の話したことを聞いたそばから忘れていたら会話ができませんよね。
ワーキングメモリの記憶できる容量はすごく少ないんですが、この機能があるおかげで日常生活を行うことができるわけです。

それから、複数の仕事を平行して行うということもワーキングメモリの機能です。
ただ、別の本で読んだのですが、ワーキングメモリの機能が低下してくると、なんとなく頭全体に薄い膜がはったような感覚がしたり、集中力が続かない、好奇心が無くなる、新しいことへのチャレンジをしなくなる、なにより、意欲がなくなる、ということがおきてきます。なにもしない老人のようですね。

著者によると、脳疲労とワーキングメモリには関係がありそうだけれど、まだまだ解明されていない部分が多いとのこと。しかし、脳の疲労に強い脳を作るためには、このワーキングメモリを鍛えることが重要なのだそうです。
私も、ワーキングメモリの衰えを感じて鍛えなおした経験があるので(今も継続中)、脳疲労とワーキングメモリの関係は今回よく分かりました。

■まとめ

すごく幼稚な感想なんですが、読んでよかった。というのが最初の感想です。
・疲労の本当の正体とは?
・疲労からの回復方法とは?
・疲労を溜めない生活習慣とは?
こういったことが、すごく分かりやすく理解でき、頭に入りました。
疲れない体になって長時間本を読んだり、仕事したりできたらいいなと思って、そういった方法も書いてあるんじゃないかなと思いましたが、そこは少しちがっていました。^^;

しかし、疲れる仕組みや、疲れが溜まる仕組みが理解でき、また、その疲れが一日のどこで解消されているのかということが分かり、また、その解消される時間内に一日の疲れを完全に消すためには何をやったらいいのかということまで理解できました。

そして、研究によって発見された疲労回復に効果の実証された物質も知ることができました。

今も、なにかしら疲れを私も感じていて、それが慢性化しているところはあると思います。
慢性化しているから、それが普通と思って気付かない状態なんだろうと思うと、早く本書に書いてある方法を実行したいと、この書評を書きながらウズウズしています。

私の年齢的に考えると、完全回復は難しいのかも知れませんか、今よりも必ず軽くなることは分かるので本当に楽しみです。

しかも、疲労回復には、疲れにくい脳を作ることも大切だということも分かりました。
ワーキングメモリですね。
疲れにくい脳を作るには、ワーキングメモリを鍛えることが大切ということなので、ますます読書に力が入ってしまいます。

この疲労をなんとかしたい。と思っている人には是非読んで欲しいですね。

すべての疲労は脳が原因 (集英社新書 829I)
すべての疲労は脳が原因 (集英社新書 829I)

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