悩みどころと逃げどころ / ちきりん 梅原大吾(著)
悩みどころと逃げどころ / ちりきん 梅原大吾(著)
▼いつかは忘れたけれど、ヤフーニュースだったか、日本初のプロゲーマーが誕生。というニュースをみたことがあって、そんな職業があるんだーと思って驚いたのを思いだしました。今回の本は、福岡市中央区薬院駅内にある積文館書店ブックセンタークエスト薬院店で購入。又吉直樹さんの新刊を手に取ったとき、隣に平置きしてた本が、この「悩みどころと逃げどころ」でした。
実は、少し立ち読みして、気になって気になって仕方が無かったので、翌日だったか、少し悩んで買いました。
■読む前の予想
▼悩んだ理由はカンタンで、私、本は読書法を使って読むため、必要な情報が取れればいいんです。
なので、そんなにじっくりと読まないことが多いんです。
しかし、この本、対談形式だから普通に読んだほうがいいよね。ということは考えなくてもわかる。
普通に読むと、読んだ後は満足感だけになることもあるので、どうしようかな。と考えて、一日買うのが遅れました。
高学歴エリート街道(だった)社会派ブロガーのちきりんさんと、高卒、学校では寝てた格闘ゲームで世界一のプロゲーマー梅原大吾さんとの対談。
水と油。
目次を見ただけでも、意見が対立?してる。
このお二人の対談から、生き方の新しい化学反応を見させてもらえることを期待して、今回は最初の1ページから読みました。
(どの本も基本はすべてのページに目を通してますよ。念のため。)
- 目次 -
第1章 学歴
「学校って行く意味ある?」ちきりん
「大アリですよ!」ウメハラ
第2章 競争
「寝てた僕が悪いんです」ウメハラ
「いえいえ、悪いのは先生です」ちきりん
第3章 目的
「なにより結果が大事!」ちきりん
「ん?結果よりプロセスですよ」ウメハラ
第4章 評価
「どうやったら人気が出るの?」ちきりん
「自分のアタマで考えてください」ウメハラ
第5章 人生
「興味を持つ範囲が広いですね」ウメハラ
「ウメハラさんが狭すぎるんです」ちきりん
第6章 職業
「やりたいことがあるのは幸せ」ちきりん
「いや、それ結構つらいんです」ウメハラ
第7章 挫折
「つらい時は逃げたらいいです」ちきりん
「えっ、逃げたらダメでしょ!?」ウメハラ
第8章 収入
「お金じゃないのよ」ちきりん
「それ、クチで言うのは簡単です」ウメハラ
最終章 未来
「目指せ、社会派ゲーマー!」ちきりん
「長生きして待っててください」ウメハラ
■気になるポイント3つ
私の中ではこの3つがポイントだったなと思います。
▼学校的価値観
決められた基準に合わせて、生徒を型にはめていく教育。この基準の中で高いパフォーマンスを出せる人が高学歴で大企業に入り、高収入を得られる学校エリート。
しかし、刻々と状況が変化している今の時代、つい先日のイギリスEU離脱とかもいい例ですが、40代で普通にリストラされる。その後、どうやって生きていけばいいか分からないって状況になるよ?
どうすんの?って考えさせられる場面が学校的価値観として何度も出てきます。
▼マーケット感覚。
プロゲーマーと社会派ブロガー。
知っている人は知っているが知らない人からしたら、「あんた誰?」というニッチな市場で活躍する2人。
ただ、お二人とも、今、そのニッチな枠を超え、ひろく世の中に知られるようになってきています。
ひとつのことに突き抜けるとどうなっていくのか?
突き抜け方はお二人とも違いますが、本当に経歴も考え方も相反していて、読んでいておもしろい。
読んでいる自分も振り回されます。
梅原さんは、いちど世界一になってから5年間、介護や麻雀?、アルバイトなどを経て、自分はゲームしかない。と分かり、ゲームの世界に戻って、今の地位を築いた。
ちきりんさんは、高学歴。エリート街道まっしぐらからドロップアウト。匿名でブログを始め、社会派ブロガーとしての地位を築く。
梅原さんは違います(たぶん。汗)が、ちきりんさんは、意識して、マーケット感覚で今の地位を意図的に作っている。
(すごい!)
お二人のマーケット感覚を意識しながら読んでいくとさらにおもしろく読めるように思います。
▼勝ち組の人生論
勝ったから言える事。今の地位だから言える事。そういう発言もチラホラあります。
しかし、ちゃんとお二人とも分かって発言していますのでなんの嫌味もありません。(笑)
むしろ、刺激になります。素直な気持ちで読みましょう。
■まとめ
読み終わって、梅原大吾に驚いています。
▼自分で考え、自分に厳しい基準を作り、自分でそれを超えていく。
そして誰も見たことがない高みに登っていく。
そういう人っているんですね。
私、今、ちょっと驚いています。
▼普通であれば、人が作った基準に対して、その中で一生懸命いい結果を出そうとがんばるじゃないですか。
基本、それが当たり前だと思うんです。
すでに、ここで「当たり前と思う」と、思ってしまうのは、学校的価値観に影響されている。(汗)
とは言っても、この社会の中で生きていくなら、ある程度は仕方の無いことです。
そこは、梅原さんも、学校は出ておいたほうがいい。何もやりたいことが無いなら特に・・・ということを言っていたのが、自分の置かれている立ち位置と世の中をちゃんと客観的に見ているんだなと。
▼梅原さんの、あがいて、苦しんで、自分を高めることについて、少しひっかかってます。
私は、読書の仕事が中心です。
自分の中の基準も持ってます。
でも、それって、本当に自分で考えて作ったものなんだろうか?
と、本書を読んで思ってしまいました。
▼私、セミナーでもフェイスブックでも直接お話する時も、
「今の私を作ったのは、まぎれもなく読書です。たくさんの本のおかげです。もし、仮に本を読まずに今まで生きてきたとしたらと思うとぞっとします。」と言ってます。(汗)
本から、いろんな言葉や考え方や知識をもらって、日常で活かしてきた私にとって、自分で考えてはいても、考えるときのトリガーはほとんどすべて本の情報です。
▼「本を読む本」の翻訳者でもある外山滋比古先生は、
著書「思考の整理学」の中で、
—
知識には既知と未知の知識がある。
未知の知識は、いくら理解しようとしても自分にとって
未知の知識なので、理解することができない。
—
と、言っていました。
私はその意見にすごく影響を受けています。
▼つまり、自分をもっと成長させるためには、今の自分で深く深く考えても、今の自分の経験と知識しか無いのでいくら考えても今の自分以上にはなりようが無い。
だからこそ、本を読んで、新しい言葉や知識や考え方を自分の中に取り入れることで、今の自分に新しい言葉や考え方、知識が加わって、今よりも成長できる。
今よりも成長するためには読書が必要だ。
と、考えているんです。
それは、読了後の今も変わりません。
でも、この本を読んで、驚いています。
▼梅原大吾さんの学歴は高卒
29歳でスポンサー契約を結んで、日本初のプロゲーマーになった方ではありますが、学校では寝ていた。そうです。
勝負に勝つということと、勝つまでのプロセスのこと、自分達のゲーム業界の発展のこと、ライバルを育てようとする視野の広さなど、ゲームのことだけしか考えてこなかったとのことですが・・・・
自分で考え、
自分の基準を作り、
自分で深く深く考えて、あがいて、苦しんで、
自分で考えてきたことで、今の自分を創ってきている。
自分で、自分の経験や知識だけをたよりに、高みに昇ることってできるんだなと知りました。
人間って、真剣に、自分に厳しく、一つのことに打ち込んでいったら、本を読まなくても、突き抜けることができることを知りました。
もしかしたら、もっと、たくさんそんな人がいるのかもしれないけれど。
(成長している!と思っていても自分の殻の中で、成長してると思っているだけの人はすごく多そうだけど。)
▼そうは言っても、私は、梅原さんのようには出来ないし、やりませんけどね。
だって、私は今のやり方を信じているから。(だから、私と同じように困っている人に読書法を伝えたい。)
▼否定しているわけじゃないんです。
むしろ、すごく、人間の可能性を見た気がして、うれしい気持ちになりました。
梅原大吾さんの話ばかりでしたが、ちきりんさんとの対談、相反する人物二人の対談は、読んでいて、私も一緒になって、ちきりんさんに同意したり、梅原さんにも同意したり、また、それは違うだろう?と思ってみたり、とても頭を使う本でした。
▼お二人とも、大きな市場の中から見たら、小さな市場で限られたファンに支えられている人達ですが、勝ち組です。
市場は何を求めているか?自分の持っているものをどうすれば市場にあわせること、作ることができるのか。
そういうことを考えながら読んでみるのも楽しいと思います。