著者:友松はじめ
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世界のエリートがやっている最高の休息法 / 久賀谷亮(著)

世界のエリートがやっている最高の休息法 / 久賀谷亮(著)

■読む前の予想

「すべての疲労は脳が原因」を読んで、疲労の正体は脳疲労なんだと知りました。
その時に有効な脳疲労回復の方法の一つとして、鳥の胸肉に含まれるイミダゾールペプチドという成分の摂取を行うことで、自律神経を傷つける活性酸素の発生を抑え、疲労を溜めないようにすることで疲労を軽減する。または回復する。ということを知りました。

しかし、本書でも疲労は脳が原因としながらも、瞑想法を使った脳疲労回復法を紹介していて、なんというか、眉唾というか、迷信というか、まじないというか、エビデンスのある方法をもとにして書かれた疲労回復の本を読んだ後だからこそ、なおさら、強く疑いの目を持ってこの本を2~3か月傍観してました。

買う気はなかったのですが、いつまでたってもどこの書店でも平置きされていたり、オススメ本として紹介されていたりしていたので、もう我慢できなくて買ってしまいました。

精神科医の先生が書いている本であるので、迷信の類ではないとは思いますが・・・。

- 目次 –

はじめに ── 科学的に正しい「脳の休め方」

まずはこれだけ!脳の疲労を解消する7つの休息法
1 とにかく脳が疲れているとき ── マインドフルネス呼吸法
2 気づくと考えごとをしているとき ── ムーブメント瞑想
3 ストレスで体調がすぐれないとき ── ブリージング・スペース
4 思考のループから脱したいとき ── モンキーマインド解消法
5 怒りや衝動に流されそうなとき ── RAIN
6 他人へのマイナス感情があるとき ── やさしさのメッタ
7 身体に違和感・痛みがあるとき ── ボディスキャン

マインドフル・モーメント ──「最高の休息法」の物語
Prologue ニューヘイブンの隠者
Lecture0 先端脳科学が注目する「脳の休め方」
Lecture1 「疲れない心」を科学的につくるには? ── 脳科学と瞑想のあいだ
Lecture2 「疲れやすい人」の脳の習慣 ──「いま」から目をそらさない
Lecture3 「自動操縦」が脳を疲弊させる ── 集中力を高める方法
Lecture4 脳を洗浄する「睡眠」×「瞑想」 ── やさしさのメッタ
Lecture5 扁桃体は抑えつけるな!── 疲れを溜め込まない「不安解消法」
Lecture6 さよなら、モンキーマインド ── こうして雑念は消える
Lecture7 「怒りと疲れ」の意外な関係性 ──「緊急モード」の脳科学
Lecture8 レジリエンスの脳科学 ── 瞑想が「折れない心」をつくる
Lecture9 脳から身体を治す ── 副交感神経トレーニング
Lecture10 脳には脳の休め方がある ── 人と組織に必要な「やさしさ」

Epilogue 思いやりのメッタ

おわりに ── DoingからBeingへ

■気になるポイント3つ

・休息とは、身体を休めることではないの?
・DMN デフォルト・モード・ネットワーク
・マインドフルネス

・休息とは、身体を休めることではないの?

「忙しいときも忙しくないときも、いつも疲れている」
「どれだけ休んでも、眠っても、なんとなくダルい」
「集中力が続かない。いろんなことがきになってしまう」
そんな人は、身体ではなく、脳が疲労しています。
たいていの人は、「休息=身体を休めること」だと思い込んでいます。

そう。そうなんですよ。身体がダルかったり痛かったりするから、そう思うのですが、脳が悲鳴を上げていて、限界にきているから身体を使ってダルさや痛みを出して休息をとらせようとするんです。
そういう時に素直に休まないで、栄養ドリンクなど飲んで疲れが取れたように錯覚して、さらに働くから、うつになったり、過労死したりするんです。これは、「すべての疲労は脳が原因」を読んで知ったことです。
脳を休ませないと疲労の根本解決にはならないんです。

もうすでに、疲労の考え方の常識が変わりつつあります。
私も疲労を解消したいなら、脳の疲労をとる努力に切り替えたほうがいいと考えるようになりました。
まずは、「休息とは、身体を休めることではない」ということを知らなければなりません。

・DMN デフォルト・モード・ネットワーク

疲労について知るには、デフォルト・モード・ネットワーク(DMN)を知る必要があります。

脳は「何もしない」でも、勝手に疲れていく

私たちの脳は全体重の2%しか重量がないのに、消費エネルギーは全体の20%も使っています。
この20%のエネルギーのほとんどが、DMNという脳の回路に使われているのだそうです。

では、DMNとは何かというと、

DMNとは、内側前頭前野、後帯状皮質、楔前部(けつぜんぶ)、下頭頂小葉などから構成される脳内ネットワークで、脳が意識的な活動をしていないときに働くベースライン活動です。自動車のアイドリングをイメージしてもらうとわかりやすいでしょうか。

私たちが意識していないところ、たとえば臓器を動かしたり呼吸をしたり、歩くときにバランスをとったりなどなど、数えきれないほど体の管理を脳は行ってくれています。
なので、何もしないでというよりも、私たちが意識しなかったり、意識できなかったりするところで脳はフル活動をしているわけですよ。

このDMNは、脳の消費エネルギーのなんと60%~80%を占めていると言われています。つまり、ぼーっとしていても、このDMNが過剰に働き続ける限り、脳はどんどん疲れていくわけです。

ということなんですね。
疲労を知るうえで、このDMN(デフォルト・モード・ネットワーク)の存在も知っておく必要があります。

・マインドフルネス

マインドフルネスは脳の疲労回復のキーワードになります。
マインドフルネスとはなにかというと、「瞑想」です。
はい、だんだんと雲行きが怪しくなってきましたね。

「なんだ瞑想かよ。あやしい。」

ちなみに、うちの家族に、本を読み終わったあとに、説明したんですが、疲労回復のキーワードが瞑想と聞くと途端に興味が無くなったようでした。
で、本書を読むにあたっては、エビデンス、つまり科学的根拠があるのか?ということが大事になってくるのですが・・・。
だってね、疲労回復に関して、世の中には科学的根拠が怪しいものがたくさんあるじゃないですか。
たとえば、温泉は疲労に効くっていわれてるけど実はさらに身体を疲労させることが分かっていますし、ジョギングだって、ウォーキングだって・・・。ま、それはいいとして。(汗)

本書では、エビデンスのある内容が書かれています。
つまり、脳疲労に「瞑想」が有効だという科学的根拠があるわけです。

先ほどの引用

DMNとは、内側前頭前野、後帯状皮質、楔前部(けつぜんぶ)、下頭頂小葉などから構成される脳内ネットワークで、脳が意識的な活動をしていないときに働くベースライン活動です。自動車のアイドリングをイメージしてもらうとわかりやすいでしょうか。

で出てきた、内側前頭前野、後帯状皮質は、瞑想(本書ではマインドフルネス)で、機能が低下することが分かっています。つまり、脳疲労が抑制できるわけです。

脳疲労には、瞑想が有効なんです。

■まとめ

本書は、脳疲労を解消させ、そして疲労しにくい脳に作り変えることを紹介した本です。
以前読んだ、「すべての疲労は脳が原因」とは疲労に関するアプローチが違いますが(共通する部分ももちろんあります。)、疲労の原因は「脳」であることは共通しています。

脳の疲労を取らなければ本当の疲労回復ではないことも本書を読んでより確信しました。
いつも疲労に悩まされていて、睡眠をとっても、サプリメントの飲んでも、栄養ドリンクやエナジードリンクを常飲しても、解決しない人に特にお勧めしたい本です。
疲労への考え方が間違っていたことに気付けると思います。あわせて「すべての疲労は脳が原因」も読んでほしいけど、最初に読むとしたらこっちかな。

脳の疲労を取るための7種類の方法が分かりやすく書かれています。
そして、その方法をよりイメージしやすいように、物語が描かれています。

怒りを覚えやすく、いつもイライラする
同じ考えがいつも堂々巡りする
原因不明の痛みに悩まされている

など、こういった症状に対応でき、かつ、そうなり難い脳に作り変えてくれるとのこと。
ひとつひとつの方法は、これでいいの?と思えるくらい、本当に簡単です。
読み終わったらすぐに実践できます。

疲労回復に関しては、あまりにも迷信が多いと感じます。
正しい知識をつけて早く疲れ知らずの身体になって、死ぬまで元気に活躍したいですね。

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