著者:友松はじめ
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勝つ人 13人のアスリートたち

 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
前から気になっていた武井壮。博多駅隣のバスセンタービルの紀伊国屋書店のスポーツコーナーで平置きされていました。帯の武井壮と目が合って、手に取りました。

■読む前の予想

本当は、自重トレーニングの本のチェックをしようと思って寄ったスポーツコーナーだったんですけど、手にとってザッと内容を確認すると、対談形式で、普通に読まないといけないな。とは思いましたが、昔は普通に読むのは遅かったけど、今は読書法を使わなくてもそこそこ速く読めるので、今回は最初から最後まで通読する本と決定。

武井壮は、自分で学習してオリジナルの理論で、陸上、ゴルフ、野球と結果を残してきた人だし、40歳を過ぎてマスター陸上のリレーで優勝しているのも知っていたし、テレビで若い陸上選手に指導している内容も聞いたことが無いような独自のものだったし、この人はものすごい知識や経験のある人なんだろうな。本もたくさん読んでいるんだろうな。と、本当に気になってました。
(この、武井壮を知っていたり、気になっていたことは、実は武井壮の戦略だったことを本書の最後で知るんですけどね。我々は彼に、まんまと乗せられているんです。)

その武井壮が、各界のアスリートと対談している内容なので、きっと、それぞれのアスリートがトップになった方法はもちろん、武井壮自信のトレーニング方や考え方、学習方法などが読めるはず。と思って購入しました。

- 目次 -
勝つ人一 [ サッカー ] 大久保嘉人の決定力
勝つ人二 [ 相撲 ] 琴奨菊の前進力
勝つ人三 [ 水泳 ] 平井伯昌の見抜く力
勝つ人四 [ ゴルフ ] 上田桃子の応える力
勝つ人五 [ 総合格闘技 ] 川尻達也の変わる力
勝つ人六 [ 競輪 ] 深谷知広の駆動力
勝つ人七 [ 陸上 ] 伊東浩司の接地力
勝つ人八 [ 野球 ] 伊藤智仁の球筋力
勝つ人九 [ ボクシング ] 八重樫東の背負う力
勝つ人十 [ 十種競技 ] 右代啓祐の肉体力
勝つ人十一 [ 総合格闘技 ] 岡見勇信の闘う力
勝つ人十二 [ 柔道 ] 野村忠宏の優り勝つ力
勝つ人十三 [ 百獣の王 ] 武井壮の倒す力(聞き手:畠山健介)

■気になるポイント3つ

読みながら、気になった点はこの3つです。
勝つ人のつくり方
武井壮のつくり方
この本の応用

勝つ人のつくり方

いつもは、ビジネス書を読むので、この本で、アスリートってスゲー!とか、あの名場面にはこんなエピソードがあったんだぁ(しんみり)とは、そういうものには一切興味はありませんでした。
もちろん、読み物としておもしろかったし、気分も盛り上がりましたよ。でも、いつもビジネス書を読んでいる私としては、実績を出したアスリートのトレーニング方法や考え方や学習方法のほうに興味がありました。

素質だけで強くなった人は、まったく興味がありません。
だって、参考にならないから。

いかにして、13人が、勝つ人になっていったのか?
ここに一番集中して読み進めました。
私が47歳ということもあるのですが、13人の中で一番興味を引かれたのは、
総合格闘技の川尻達也さん、柔道の野村忠宏さん、そして百獣の王・武井壮さんです。

普通、引退してもおかしくない年齢であるのに、今だ現役で、しかも今もピークに近い力を維持していたり、ある部分ではピークだった時期よりも優れていたりしている。
こういったオジサンになったときのフィジカル(肉体的)な強さは、若いときと同じようなトレーニングでは維持できないし、ケガもしてしまうようです。

それに、驚いたのは、若いときよりも、トレーニング時間が少ないということ。
ここに、量よりも質のある独自のトレーニング方法や理論が、それぞれの選手にはあり、全部ではないけれど、加齢の事実を正面から受け入れつつ、それにあらがわず、若いときよりも優れたパフォーマンスを出していく。これは、若い選手がいきなり同じことをやっても無理なようで、やはり、若いときにやれるだけやった、鍛えるだけ鍛えたという土台があって、はじめてできることのようです。

こういったことが、分かったこと、努力の方向性を知ることができたことは本書を読んだ収穫の一つです。

私や、この本を読む多くの人がアスリートではないと思いますが、(いや、スポーツコーナーに置いてあったから、アスリートが読むのかな?)、ビジネス書の視点で読むと、今言った、加齢を受け入れつつもパフォーマンスを出していくためのやり方がイメージできるなと思ったわけです。

たとえば、ビジネスマンなら、スタミナの問題はもちろん、記憶力の低下とか、同じ仕事の繰り返しによる思考の固定化とか、そういったものを壊して、パフォーマンスをだしていくための参考というか。

それから、詳しくは本書を読んで欲しいので、書きませんが、古くからある競技なので練習方法や考え方が古い。でもそれに誰も疑問を持たない。そんな中で、異なる競技の指導を受けたり、自分で学んだりして結果を出し続けているアスリートや、自分がやりたい種目よりも、今勝てる種目に自分を合わせて、16年間破られていない日本記録を打ち立てたアスリートの話とかも、ビジネスの現場に置き換えれば、参考になることがあると思うんですがいかがでしょうか?

武井壮のつくり方

40歳になっても、若いときの運動能力を維持しているそうで、13人のアスリートの中には、実際に武井壮の指導を受けた人も含まれていて、その方は日本記録を樹立しています。
芸能人として人気もあり、帰宅時間は深夜。早朝からの仕事も多いそうですが、毎日最低でも1時間のトレーニングをしているそうです。わずか1時間ですが、トレーニングの内容が独自、独特。

考え方は、
今日の自分よりも、明日の自分が最強。
自分の自己ベストを超えるための練習。
自分の体は自由自在に動かせること。

こういう話しが、いたるところに登場します。
本書だけで、武井壮の作り方がわかるわけではもちろん無いし、武井壮になりたいとも思いませんが、何かを学習し、身につける。そして、そのスキルを維持ではなく、伸ばすことのモチベーションにこの考え方が使えないかなと思ったわけです。
あと、マニアックなところでは、武井壮の短眠法なんかも気になってます。(やってみようかな。)
他ではなかなか聞かない考え方が新鮮で、すごく興味があります。
もっと知りたい。話しも聞きたい。と思いました。

この本の応用

たぶん、これが一番大事なんじゃないかなって思うんです。
今回は、最初から最後まで通読して読みました。もちろん読み物としておもしろかったですよ。
でも、こんな本こそ、目的を決めずに読んだら、「あーおもしろかった。」で終わりそうです。

アスリートや、武井壮を尊敬している人なら、そのまま活かせばいいと思うんですが、我々のようなアスリートではない人間の場合は、この本の内容から自分の環境に置き換えていかないといけないです。
私のように普通の人であるなら、自分の環境に応用できるエッセンスを抜き取ってやる!という気持ちで読み進めることを強くお勧めします。
ビジネス書なんだと思って読んだら、本書は得られるものがたくさんあるはずです。

■まとめ

13人の話しを読んで、総じて感じたのが、結果を出すために、ルールにこだわらないのと素直であること。
自分がはるかに年上であっても、結果を出している後輩から教えを請うアスリート、積極的に異なる競技
の場所へ出稽古に行くアスリート、自分を客観的に見つめて、今、自分が勝てる種目へ躊躇無く変更して結果を出したアスリートなどなど。

こだわらない姿勢と、素直さが無いと出来ない行動です。

どんな練習をしたかとか、どんなときが嬉しかったとか、辛かったとか、成功話や苦労話を中心に読むのも読み物としては楽しいけれど、勝つために13人がどんな思考をめぐらしていたか、どんな行動をとったのか、こういうところを見て、自分に当てはめて、自分のやっていることに変化を起こしたのか?

それを自分の材料にするのが大切だと感じました。

武井壮のことは知っていたし、陸上の十種競技で記録を持っているのも、マスターズのリレーで優勝したのも知っていたわけですけど、これは、武井壮の戦略だったんですね。

タイトルとったけど、競技がマイナーすぎて誰にも知られることがなくて。それが何よりもショックで、辛くて悲しくて寂しくて。タイトル取ったらスターになれると思ったんですよ。

今は、それは僕自身の勉強不足だったなってすごく反省していて。その競技を選んだのは自分だし。しかも競技している間も、勝ったあとも、世の中の人に「あの人のことを見たい」と思ってもらえるアピールを一切していなかった。僕のスポーツの力は、自分の能力だけだった。

武井壮が、ゴルフだったり野球だったり、そして芸能人になったのも、世の中の人に「あの人のことを見たい」と思ってもらえるアピールだったわけで、私は、まんまと武井壮に乗せられていたことが本書で分かり、参りました。

思ったように状況が変わらない。というのは、人や周りの責任ではなく、自分の責任なんですよね。

多くのことが学べる一冊でした。
視点を変えるための一冊としてお勧めしたい本です。

勝つ人 13人のアスリートたち (Sports graphic Number books)
勝つ人 13人のアスリートたち (Sports graphic Number books)

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