著者:清水健一郎
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半島を出よ 上 / 村上龍(著)

今回紹介する本はこちら。

『半島を出よ 上下 / 村上龍(著)』です。

上下巻ある長編小説です。

 

ビジネス書のジャンルに、

著者がビジネスマンに読んでほしい本を紹介する本

というのがあります。まわりくどい言い回しですみません。

 

つまり、ビジネスで成功した著者が

おすすめの本を紹介する本があるのです。

 

オススメの本の中には、ビジネス書や実用書、

マンガや自己啓発、そして小説があります。

 

ある方の本で(どなたの本だったか忘れてしまいました・・・)、

小説を読む意味について書かれていたのですが、たしか、

ビジネスマンも小説は時間の見つけて読んだ方がいい。

 

ただし娯楽の要素が強い小説よりも、

できればたくさんの資料をもとにした小説を読むのがオススメだと。

なぜなら、本を読み終わる頃には、詳しくなっているから。

 

たとえば、政治をテーマにした小説、経済をテーマにした小説、

世界情勢をテーマにした小説、たくさん出版されています。

 

これらの本の最後には、

著者が小説を書くときに参考にした参考文献が掲載されています。

 

理想を言えば、参考文献も読むと

より知識の土台ができるのでしょうけど、

時間や気力の関係で読めない場合もありますしね。

 

これらの参考文献をもとにして書かれた小説を

読むことで、そのジャンルに詳しくなれる。

 

物語を楽しみながら、

読み終わる頃には特定のジャンルに詳しくなっているという、

小説はとても便利なビジネス書と言えるのではないでしょうか。

 

そして、読んだ小説が

『半島を出よ 上下 / 村上龍(著)』

 

北朝鮮の特殊部隊9人が、

北朝鮮の反乱軍を名乗り、密かに福岡市に潜入します。

 

潜入した9人のコマンドは、

福岡ドーム(現:ヤフオク!ドーム)と

野球観戦中の3万人をあっという間に制圧。

 

日本政府が、たった9人のコマンドへの対応に右往左往している間に、

旧ソ連製の輸送複葉機に乗って500人の北朝鮮反乱軍が

福岡市東区の雁の巣海岸に飛来。

 

行動を走る一般車両を乗っ取り、福岡ドームに集結した。

北朝鮮反乱軍は高麗遠征軍と名乗り、福岡の独立を宣言する。

 

日本政府が、着々と侵略をすすめる高麗遠征軍に対して

なんの策も無いまま、武装した十二万人の北朝鮮後続部隊が

福岡に向けて出港を開始した。

 

武装した12万人が福岡に到着してしまえば、

日本政府の福岡奪還は不可能になってしまう。

 

12万人到着のタイムリミットが迫る中、

福岡を奪還することはできるのか?

 

すごくおもしろかったので、

本当は細かくストーリーを書きたいのですが、

そんなことをしてしまうと、もう書評では無くなりますので、

ぜひ分厚い上下巻を読んでみてください。

 

膨大な資料をもとにした小説がどんなものなのかが、

身体全体で体感できる小説です。

 

膨大な資料である参考文献の数は・・・

なんと250冊以上!

 

日本の対応は、前例の無い出来事には素早い対応ができない

侵略に対応する法律がない

だれも責任を取りたがらない

などなど、

 

本当に起きた時は小説のような対応ではなく、

しっかりと日本国民を守っていただきたいと切に願いますが、

 

タクシーをジャックし自動小銃を持った北朝鮮兵士が

福岡都市高速でバリケードを準備している警察の目の前を

悠々と通り過ぎるといったシーンは、ありそうだな・・・と背筋が寒くなりました。

 

10数年まえの小説ではありますが、

現在のアジアの状況にも重なるところもあり、

古くささを感じることなく読める傑作です。

 

読書の秋になりましたし、

ぜひ『半島を出よ』でリアルなスリルを味わってみてください。

読了後の満足感、ありすぎです。

 

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