著者:友松はじめ
Pocket
LINEで送る

「ぼんやり」が脳を整理する 科学的に証明された新常識 / 菅原 洋平 (著)

「ぼんやり」が脳を整理する 科学的に証明された新常識 / 菅原 洋平 (著)

■読む前の予想

博多駅丸善の新刊コーナーで購入。
最初は同じく新刊で売れるキャッチコピーを題材にした本を手に取って思わず買いそうになったけれど、本自体のキャッチコピーに釣られている(??)自分に気づき、買うのをやめました。(よくわからない理由ですが。汗)そして、冷静になって同じコーナーにあったいろんな新刊を眺めていたら「ぼんやり」というタイトルが目について手に取ってみました。
「ぼんやり」と「脳」がタイトルということで、なんか読書にも役に立ちそうだなと。
もしかして、カオスを利用する感じ?
脳が勝手に情報を整理してくれるなら、読後の情報整理にも何か応用できそうか?
などと考えていたのですが、買って読んだ方が早いよね。ということで購入しました。

ヘタウマなコーヒーカップのイラストが癒し効果抜群で好きです。

- 目次 -
はじめに
序章:アイデアは「記憶の整理」から生まれる
第1章:ひらめきは才能や偶然ではなく「技術」
第2章:ひらめくためには「気づく」ことが必要
第3章:ただ「ぼんやり」するだけでは浮かばない
第4章:「メタ認知」自分を外から見るとひらめく
第5章:仕事の成功には相手のひらめきが必須―

■気になるポイント3つ

・ひらめくために必要な3つの脳内ネットワーク
・意図的に「ぼんやり」を利用する
・やる気の仕組み。

・ひらめくために必要な3つの脳内ネットワーク

新たなアイデアを得るために、よく知らない分野を入門から勉強してしまうと、知識は増えるのですが、肝心なアイデアにはたどりつかなくなってしまいます。よく「入門編」「実践編」という参考書がありますが、これは他人がつくった段階づけであって、必ずしもあなたの脳の理解の仕方に合っているとは限りません。イチからアイデアを練ろうと思っても、他人が用意したイチが理解できなければ、イチの手前で止まってしまいます。


本書に限らず、まったく知らない分野の情報は、日本語は分かるけれど、意味・内容を理解することはできないと言われています。
だからこそ、このイチを理解するために簡単なものから理解して知識の土台を作っていって初めて分からなかった知識が理解できるようなるわけです。
この理解するためには、
・実行系ネットワーク
・デフォルトモードネットワーク
・セイリアンスネットワーク
以上の3つの脳内ネットワークを使わないといけないようです。
各ネットワークの詳細は本書を読んでいただくとして、この3つのネットワークのバランスがとれて、はじめて「ひらめき」が降ってくるのだそうです。知りませんでした。

・意図的に「ぼんやり」を利用する

後程、まとめで書こうと思いますが、実行系は仕事や読書や学習の時に優位にたっていて、デフォルトモードネットワークは、まとめる作業を担っていて、その作業が「ぼんやり」しているときなのです。
セイリアンスネットワークは、この2つのネットワークを上手に切り替える役割をもっています。
本を読んで、その情報が脳に定着するまでに一定の時間がかかると別の本で読んだことがありますが、こういった仕組みなのかもしれません。

「ぼんやり」が脳内で情報をまとめるための作業に必要な行為であるならば、本書に書いている「ぼんやり」の方法を身に付けることで、さらに多くの情報を脳内に入れていくことができるようになるかもしれません。

・やる気の仕組み。

私たち人間は、自分一人では解決できない難しい課題に直面すると、ストレスを感じてやる気が起こらなくなります。逆に、すべて自分ひとりで解決できる課題に取り組んでいても退屈してしまい、やはりやる気が起こらなくなります。半分は自分だけで解決できるが、もう半分は自分の力だけでは解決できない課題、両方が50%ずつの状況になると、内側からコンコンとやる気が湧いてくると考えられているのです。


やる気が起きない理由とやる気が起きる理由はこんなところにあったのですね。
つまり、これを逆手にとれば、やる気が起きない仕事は、自分の力と他の力を50%にできるような内容にしていけばいいわけですよね。

余談ですが、少し気になるところも引用しました。

右脳はイメージで左脳は理論というように、脳の部位ごとの働き方を調べていくことは「機能局在論」と呼ばれています。古くは19世紀から採られていた考え方であり、脳の形と機能を結び合わせて、どの部位でどんな役割を担っているのかが明らかにされてきました。しかし現在では、1つの部位が1つの機能を担っているという、極端な機能局在論は見られなくなってきました。各部位がネットワークをつくり、1つの機能を多数の部位が担っていると考えられています。

今でも、右脳系とか左脳系とか使われていますが、どうやらその考え方は古いようです。
脳はたしかに担当する部位もあるようですが、脳全体を使って動いているのが今では分かってきているようです。
右脳はイメージ、左脳は論理なんて言ったらもう実は恥ずかしいのかもしれませんね。

■まとめ

本書は、ひらめきを生み出す法則を教える本です。
ひらめきは、考えているときには決して出るものではなくて、そのことから離れた時に「ふっ」と降りてくるものですよね。そういう経験をしているかたも多いと思います。
このひらめきが、意図的に作れるようになると、ずいぶん仕事に役立つことになるのではないでしょうか?

私は、本書を読み終えて、特に取り入れたいと思った箇所があります。
第3章の『ただ「ぼんやり」するだけでは浮かばない』の中で、90分周期で、ぼんやりする。というものです。
仕事中は、外向きのネットワークである実行系ネットワークが主になっていて、集中して仕事をしているわけですが、それを維持できる時間は90分が限度のようです。

そして、実行系ネットワークは、注意・集中・記憶の作業をメインに行っているのですが、実行系ネットワークばかりが優位になってしまうと、主である注意・集中・記憶も落ちてしまうらしく、内向きのネットワークであるデフォルトモードネットワーク(以下:DMN)とバランスを取らないといけないそうです。

DMNの機能は、「まとめること」だそうで、90分間実行系ネットワークを働かせたら、そのあとはDMNを優位にして、脳にまとめの作業をゆだねるのが良いようです。
DMNを優位にするための方法が「ぼんやり」です。

本書での「ぼんやり」は、他人事というか、他人になって自分を見る、感じる行為で、いくつか「ぼんやり」になる方法がかかれています。

私は「ぼんやり」になるためにこの方法を取り入れたいと思いました。
目の焦点をあわせないようにする。
聞きなれた音楽を聴きながら。
「ぼんやり」の場所はカフェがおすすめ。
目の焦点を合わせないというのは、実際にやってみると分かりますが、これだけで「ぼんやり」になります。

そして、もう一つ、
肛門に力を入れる。です。

肛門に力・・・ぼんやりとは程遠いように感じるのですが、DMNは内向きのネットワーク、つまり体に注意が向いている状態を意味しているため、肛門に力を入れることは、つまり体に意識が向いた状態になる。ということなのです。
ヨガでも、常に肛門をしめるというか力を入れることを指導されます。
肛門に力を入れることで自分の身体に意識を向けやすくなるのですが、本書を読んでそれを思い出しました。共通する部分がありますね。

読書を日常的にやっているものとしては、吸収した知識がひらめきによって新しいアイデアとして降ってくる回数が増えたり、それこそ意図的に操作できるなら願ったり叶ったりです。本当に。

「ぼんやり」が脳を整理する~科学的に証明された新常識
「ぼんやり」が脳を整理する~科学的に証明された新常識

  • このエントリーをはてなブックマークに追加