著者:友松はじめ
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殺し屋のマーケティング/三浦崇典(著)

個性的な書店として有名な「天狼院書店」店主、
三浦崇典さんが書き下ろしたマーケティング小説???

自身のもつマーケティングの知識を小説にした本です。
過去にも、神田昌典先生が何冊かマーケティングに関する小説を出してて読んだっけな。

私、ビジネス書は最初から最後まで丁寧に読むことはせず、今、もっとも欲しい情報だけを探して読むだけです。
だから、ビジネス書1冊はそんなに時間をかけなくても読めてしまうんです。

でも、小説となると、読み飛ばしたらストーリーが分からなくなってしまうので、ビジネス書ではなく小説だと思って(実際に小説だけど)あきらめて最初から最後まで読んでみました。

小説を買って読むことはほとんどないのだけど、なぜ殺し屋のマーケティングを読んだかというと、

この小説のテーマが

①「殺し」を商品にした会社を作ること
②受注数世界一を目指すこと

で、当然「殺し」が商品だから、

・営業ができない
・広告がうてない
・PRができない

わけで、
もっとも売りづらい「殺し」をどうやって売りながら、殺しの受注世界一を達成するのか?そのストーリーに興味をもったからでした。

「天狼院書店」店主、三浦さんは確か、3度だったか、9度だったか倒産寸前までを経験しているそうで、広告をうてるような費用も無いなかで書店経営を成功させてきた人です。
その経験やノウハウがこの小説の中に活かされていることも知ったので俄然読む気が湧きました。

この本の私のオススメポイント

この本をおすすめするポイントですが、普通に読んで楽しめます。
「どこにノウハウが~」と探すつもりで読んでいたのですが、途中から話しがおもしろくなって、普通に楽しんで読んでしまいました。

しかし、この本はマーケティングを学ぶための小説です。
この本を読むことで

1.1969年から行列が40年以上とぎれない3坪程度の和菓子屋、繁盛の秘密を知れる
2.著者オリジナル「7つのマーケティング・クリエーション」が学べる
3.小説から学べる本は時間を割いて読んだ方がいいことがわかる

あとは、小説を読むことで語彙が増えるというメリットもありますね。

あらすじ

殺し屋のマーケティングのあらすじ。

1人の女子大生、桐生七海が、世界一のマーケッターと言われる天王星書店の店主を訪ねる。
彼女は、その店主に自分のビジネスのアドバイスをして欲しいと依頼する。

その依頼内容は、
「受注数世界一の殺しの会社」
を作ること。

彼女はどうしても殺しの会社を作らなければならないと店主に言った。

ここから、天王星書店店主からの指導がはじまり、
女子大生は殺しの会社を作っていくというお話しです。

「殺し」が商品ですから、
販促活動なんかやっていたら、即捕まります。
ですから何も出来ないわけです。

そこで、この話しの柱になっている著者オリジナル
「7つのマーケティング・クリエーション」が登場するわけです。

著者自身も創業して、販促に使えるお金は無かったそうです。
そこから今の知名度や京都や福岡などでの多店舗化を実現しているわけですが、これって中小企業や個人事業主の方達にそのまま当てはまると思うんです。

広告がうてる、営業ができる、PRができるというのは、お金が無いとできないことです。小さな企業や個人なんて、お金が無いから失敗できないですもんね。
そうなると、どうやって商品やサービスを自分の商圏に広めていくかって、何か別の方法を選択しなければならない。

頭では分かっていても、そんな方法は多くはないですよね。
読み終わった後、本書について少し検索してみたところ、著者の三浦さんは、小説にも登場する、実在する40年間行列が途絶えない和菓子屋さんに影響を受け、起業したのだそうです。
この和菓子屋さんは、創業から40年、一切広告をしたことが無いそうです。

広告・営業・PRをしない。
つまりマーケティングお金を使わないマーケティングが、
この小説を通じて学べるのです。

まとめ

小説内に、
「7つのマーケティング・クリエーション」は、ストーリーの中に自然に織り込まれています。
普通にお話しはおもしろいですから、単純に読んで、楽しんだらいいと思います。
(アマゾンのレビューでは酷評されていますが、普通におもしろいですよ。
著者から知識を学ばせてもらったのに、なぜあんなにも上から目線で感想を言えるのか私には理解できません。余談ですが。)

著者が丁寧に描写してくれているので、ダムの風景や田園の農作業の風景、ベンチに座って話す老女の姿など、映画を見るようにイメージできました。

そして、ストーリーを楽しんだ後は、
巻末付録として「7つのマーケティング・クリエーション」の解説が読めます。

1969年から行列が40年以上とぎれない3坪程度の和菓子屋がなぜ繁盛し続けるのか、そして、ヒロインの桐生七海が創業する2つの会社(これ以上書くとネタバレになる・・・)を「7つのマーケティング・クリエーション」に当てはめて解説してくれますので、全部読めば小説とビジネス書を一度に読んだ感じになりますよ。

つまり、スッキリします。

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