著者:清水健一郎
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リッツ・カールトンでは、「サービスは科学」です。

サービスのクオリティも、スタッフのモチベーションやスキルも、お客様への感動の提供も、すべては科学。

そんな科学の一つに、「サービスの3ステップ」があります。

これは、ザ・リッツ・カールトン東京の元総支配人であるリコ・ドゥブランク氏が、「リッツ・カールトン20の秘密―一枚のカード(クレド)に込められた成功法則」で表現されていたもの。

この本、面白いので、ぜひ紹介させてください。

「リッツ・カールトン20の秘密―一枚のカード(クレド)に込められた成功法則」は、一般のお客様、井上 富紀子さんという方が、世界21ヶ国63のリッツ・カールトンを巡って、感動されたり、感心されたり、心温まるエピソードを体験し、その体験を紹介されている本。

さらに特筆すべきなのは、その体験をリッツ・カールトン東京の総支配人のリコ・ドゥブランク氏が、プロ、リッツの総支配人の目線で解説されているという、変わった形式を採っているのです。

つまり、一般目線とプロ目線の両方から、リッツのサービス、クレドが紹介されています。

例えば著者の井上氏がアラブ圏 アラビア湾に浮かぶバーレーンのリッツ・カールトンに宿泊された際、井上氏は「英語が通じるかな?」「無事、ホテルに着けるかな?」と不安を抱えていました。

しかし、空港のロビーに行くと “Mrs INOUE”と書かれたリッツのロゴ入りのプレートが一番に目にはいり、「私です!」と叫んだ著者に、アラブ人スタッフが「ウエルカム、ミ・セ・ス・イ・ノ・ウ・エ」と、母音が続き外国人の方には何度の高い発音を強いるにもかかわらずクリアな発音で出迎え、著者に安堵感を与えました。

そして、ホテル内では、心地よいサービスを受け、ホテルを出る際に、滞在中にお世話になったスタッフがなんと私服でお見送りにきたのです。なぜなら、仕事時間外にお見送りのご挨拶にあらわれたのです。
このお見送りにより、著者にとって目に焼き付いて離れないエピソードになったそうです。

それについて、リコ・ドゥブランク氏は、

「心理学に裏付けされた『サービスの3ステップ』」

だと言っているのです。

サービスの3ステップとは?

サービスの3ステップとは、

1.あたたかい、心からのご挨拶を。お客様をお名前でお呼びするように心がけます。2.お客様のニーズを先読みしおこたえします。3.感じのよいお見送りを。さようならのごあいさつは心をこめて。できるだけお客様のお名前をそえるよう心がけます。

リコ・ドゥブランク氏は、心理学効果を紹介されていますが、分かり易くさらに、これをレストランのコースを例に紹介されています。

コースの料理の中で印象に残る物、それは、一皿目の料理と一番美味しかった料理、そして、デザートである。
特にデザート、その次に一皿目の料理です。

もし仮にこの3つの料理以外が、さほど感動的な料理でなくても3つの料理がお客様に感動を与えれば、お客様は「料理で感動を貰った。」というインパクトを持って帰っていただけるというのです。

『サービスの3ステップ』、今回紹介させていただいた井上氏のエピソードにはそんな秘密が隠されてる事を、リコ・ドゥブランク氏がわかりやすく解説していました。

この著書を読んで受ける印象は、まさにサービスは科学であり、偶然やスタッフ一人一人の特殊能力ではなく、仕組み、教育によってリッツ・カールトンのサービスが成り立っている事が紹介されています。

そして、今回の著書の中心になって、様々な体験、その体験の解説は、やはりクレドに沿て、紹介されており、改めてクレドが中心になっている事がわかります。

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