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リッツ・カールトンのサービスと言えば、

「お客様の要望に対してNOと言わない。」
「お客様に感動を与える。」

そんな魔法の様なサービスの数々を想像される方は少なくないと思います。

例えば元リッツ・カールトン支社長の高野登氏の書籍「リッツ・カールトンが大切にするサービスを越える瞬間」の中で紹介されている事例、

フロントに案内されたらいきなり、「○○様、いらっしゃいませ」と名前で呼ばれた。
はじめて泊まるのにどうして?

などですね。

しかし、リッツのスタッフも元はサービススキルのない普通の一般人です。
ではなぜ、そんな「一般人」が、リッツで働く事により、「魔法」と言われるようなサービススキルを身につけられるのか。

また、ちょっと疑問に思いませんか?
「そんなスキルをなぜリッツは、スタッフに浸透させることができるのか?」と。

例えばウェブデザイン、例えば簿記など、具体的な技術に関しては、スキルアップがイメージできると思いますが、サービスのスキルと言うのは、はっきりと目に見えるものではない分、浸透が難しい、という印象があると思います。

今回は、元リッツ・カールトン支社長の高野登氏の書籍「リッツ・カールトンが大切にするサービスを越える瞬間」から、3つのポイントに焦点をあて、私、清水 健一郎なりにこのコラムで紹介させていただきたいと思います。

リッツ・カールトンのサービスは科学。

先ず魔法のようなサービスを提供しているにもかかわらず、リッツ・カールトンは、
社長から末端のスタッフまで「サービスは科学」と言う考え方が浸透しています。

リッツ・カールトン初代社長シュルツ氏は、事あるごとにこう言っていました。
「感動を偶然や個人の能力だけに頼ってはいけない。サービスは科学なのだから」と。
これは、感動は同じ価値観によって支えられた仕組みによって生みだされるべきで、運がよければ、感動を体験できるという状況ではいけないと言う意味です。

その仕組みの一部を、この書籍の実例をあげて紹介しています。

サービス・クオリティ・インジケーター(SQI)もその一つで、仕事やサービス時に生じる欠陥事項、失敗事項、問題事項を一つ一つ数値化して、記録に残す作業です。

  • スタッフが電話に出ない。:15点
  • 予約した部屋が違うタイプの部屋だった。:15点
  • 浴室に髪の毛が落ちていた。:20点
  • その他、多数

という具合に数字化され、前月、前年と比較して、問題解決に取り掛かります。

サービスが数値化されている、というのが大きな特徴ですね。
これは、参考になる方もいらっしゃるかもしれません。

スタッフによって、サービスのクオリティにムラがある、というのでは今日のリッツ・カールトンの評価、成功はなかったはずです。

このように、リッツ・カールトンでは、サービスを科学としてとらえ、最高のサービス提供するための数多くの仕組みをつくりあげています。

サービスで感動を生み出すクレドとは?

リッツ・カールトンで最も有名なものの一つに「クレド」があります。

高野氏によると、リッツ・カールトン初代社長ホルスト・シュルツ氏が、講演会で、リッツ成功の秘密をよく聞かれたそうです。

すると彼は、懐からクレドカードを取り出して、必ずこう答えたそうです。

「秘密はこれしかない。このクレドカードがすべてだよ。」

クレドとはラテン語で信条を意味し信じて疑わない行動指針の事です。
クレドカードは、理念や使命、不変のサービス哲学、価値観をまとめ、携帯できるサイズのカードに記載したカードの事です。

よくマニュアルとクレドが同じものと誤解されますが、全くの別ものです。
マニュアルは頭で理解させて守らせるルールです。

この著書で紹介されている数々のリッツの感動のサービス事例に、マニュアルがあるとは、誰も思えないでしょう。

高野氏の話の中でいくつも出てくるリッツの素晴らしいサービス事例は、それこそ、クレドに記載されているリッツのモットー

「紳士淑女をもてなす私達も紳士淑女です。」

がベースにあります。
紳士淑女ならどう行動するか?を理解してこその事例の数々です。

このように、クレドは心で納得して実践するものです。

同じ感性と価値観を共有した人が本当に心からクレドに納得していれば、マニュアルのように細かい決まりを定めなくても、自然に同じような振る舞いができると言うのがクレドの基本的な考え方だと高野氏は言います。

サービスを越える瞬間、そんなサービスは、リッツで働きだしたら誰にでもできるようになる。

前述のとおり、
「サービスは科学。」
「サービスで感動を生み出すクレドとは?」
で、リッツのサービスが魔法や個人の特殊能力から生み出されているのではない。ということをご理解いただけたと思います。

でも、まだ疑問が残っていますよね。
「なぜ誰にでも感動を生みだすサービスができるようになるのか?」です。

そこで、リッツで働きだしたら、感動を生み出すサービスが誰にでもできるようになる仕組みに焦点をあててみましょう。

実は、私のようにリッツで働いた経験を持つ者は、クレドとくれば、やはり「ラインナップ」に焦点を当てます。

高野氏の話の中でも、「毎日のラインナップ(朝礼)が社員を育てる」と、あります。

「ラインナップ」とは、リッツ式の朝礼で、各部署仕事がスタートする前に15分〜20分前後行われます。

一般的な朝礼のように上司が一方的に話をするのではなく、司会者役が投げかけた質問を皆で考えて話し合いをするディスカッションが中心です。

モットーについてディスカッションするのであれば、

「紳士淑女とは、どういう人のことだと思いますか?」
「あなたは紳士淑女になるためにどんな努力をしていますか?」
「私たちのセクションで、紳士淑女としてできる事はなんでしょうか?」

といった内容をラインナップで、日替わりで話し合っていき、リッツの信条(信じて疑わない行動指針)サービス哲学、リッツスタッフとしての価値観を全スタッフが共有します。

そのおかげで、リッツで働きだしたスタッフ達が、リッツの信条、サービス哲学、リッツスタッフとしての価値観で、自分で考えてサービスが実行できるようになるのです。


さて、高野登氏の著書、「リッツ・カールトンが大切にするサービスを越える瞬間」に紹介されているサービスを越える瞬間の事例、そんな事例を、なぜリッツ・カールトンは次々と生み出すのか?
その秘密を3つのポイントに絞りご紹介しました。

サービス業に従事されている方は、この本を購読したいと思われましたか?
一度、リッツにサービスを受けに行きたいと思われましたか?
もっと、リッツの事を知りたいと思われましたか?

リッツ卒業者の私としては、そんなふうに思って頂けると幸いです。

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