著者:友松はじめ
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発達障害の僕が 輝ける場所を みつけられた理由

■読む前の予想

栗原類さんの本、出版されたばかりです。
アマゾンで本を物色していたところで目にとまりました。子を持つ親として、発達障害や学習障害も気になるところですが、わざわざ関係の本を手に取って読むというところまでモチベーションは起きず。自分の問題になるまで動かないというのは反省すべきところです。

栗原類さんの本を読もうと思ったキッカケですが、
・「みんなエスパーだよ」のドラマに謎の高校生として出演していて覚えていたこと
・タロット占いがすごく当たること
・パリコレに出演していること

かなり変わった表情と雰囲気だなと思っていてたので覚えていたのですが、

・最近、発達障害であることを公表したこと
このニュースを知って、だからか。と納得しました。
発達障害といっても、さまざまな種類はあるし、認定されている人もいれば、診断を受けず本当は発達障害なのにそのまま大人になって社会生活を送り、苦労している人もいます。
彼の場合も、幼少のころから大変だったろうな、親御さんもふくめて・・・。しかし、そんな障害があっても、パリコレに出演するようなモデルさんで、俳優さんでもあり、そして占いもできる。
そんな栗原さんの生い立ちを知りたくなったのと、興味を持っている人が書いた本でもあるし、発達障害にもこの本を通じて理解が深まるのではないかと思ったので読んでみることにしました。

しかし!
早速アマゾンで買おうとすると、本は10月31日にしか届かないと書かれており、今すぐ読み始めたかったので、アマゾンのKindleストアで電子書籍を購入することにしました。
読みにくいんだよなぁー。

- 目次 -
はじめに
PART1:僕はADD(注意欠陥障害)
PART2:僕が輝く場所をみつけられるまで
Colum:「あの時、実はこうだった」 ~母、泉さんの解説~
PART3: 僕が輝く場所をみつけられた理由
PART4:彼はなぜ輝く場所をみつけられたのか
Section_1 母・栗原泉さん
Section_2 主治医・高橋猛さん
Section_3 友人・又吉直樹さん(芸人「ピース」/作家)
おわりに

発達障害の僕が 輝ける場所を みつけられた理由

■気になるポイント3つ

①親の存在・役割
②私たちはどうかかわるべきか
③どうやって輝ける場所を見つけたのか?

電子書籍は本の厚みやページ数がイメージできないから読みにくいよー。
と思いながらも、私の読み方で読むと読みにくいだけで、普通に読むならこれほど便利なデバイスは無いよね。と思います。本当に。
ということで、本書で気になったポイントを中心に書評を書いていきたいと思います。

①親の存在・役割

お母様の存在無くして、今の栗原類さんは無かったな。母親なんだから、子供にどんな障害はあろうと育て上げるのは当たり前。当然のことと言ってしまえばそれまでなのですが、子育てに信念があり、なにより我が子の発達障害を受け入れて、プランを立ててそれを通したことが大きかったように思います。

あなたは自分が子どもの頃、何の苦労もなくできたことが、どうして息子さんにはできないんだろうと理解できないかもしれない。不思議でしょうがないでしょうね。だけどそう思った時は、子どもの頃に自分ができなかったことをたくさん思い浮かべてください。そして、自分ができなかったことで息子さんができていることを、ひとつでも多く見つけてあげてください。そうすれば『なんでこんなこともできないの?』という気持ちがしずまり、子どもを褒めてあげられるようになります」と言われました。

これは、アメリカで類さんの発達障害の診断中に先生方から言われた言葉だったそうです。
一生忘れることのできない大切な言葉になっているとお母様はおっしゃっています。

これってさ、子を持つ親、部下をもつ人、何らかのリーダー、誰にでも大切な言葉じゃないか?と思うのですがいかがでしょうか?
この言葉を持って、自分たちの子どもたちに接すると、尊敬の念すら湧いてきます。
早期に発達障害の診断を受けれて、様々な準備ができたのでよかったとお母様は本書で言っていましたが、先生方から言われたこの言葉が本当に心の支えになっていたようです。
類さんのお母様は、子育てに信念があり、なにより我が子の発達障害を受け入れて、プランを立ててそれを通したことが大きかったのでは?と思いましたが、今の類さんに育て上げるまでに何度も何度も同じことをいい聞かせていたようです。長い時間をかけて。

私たちはどうかかわるべきか

車いすの人でも、障害のレベルは細かく分かれています。同じに見える車いすの人でも、脊椎損傷と頚椎損傷と障害の種類がまったく違います。それによって対応の仕方が変わります。
でも、そんなことは教えてもらわないと分からないわけです。分からないからどう接していいか分からないので敬遠してしまう。過度に丁寧に接してしまうなどなど。

ましてや、発達障害なんて、見た目では分からないわけで、じっとしていられない、平気で傷つくことを言う、空気を読まない・・・コミュニケーションができなくて周りの人とトラブルを起こしてしまうことも多いかもしれません。

少しでも我々に学ぶ機会があれば、お互いにとってより住みやすい社会になるのではないでしょうか。
普通に生活していたら、発達障害を学ぶ機会なんてないですもんね。
栗原類さんの本が、我々が学ぶきっかけになったらいいなと思います。

どうやって輝ける場所を見つけたのか?

息子さんが芸能人になって、有名になっていいわね。と思われることは的外れなことで、客観的に栗原さんを見た時に、会社員として勤められるかと問われれば、間違いなく勤められないだろうと書かれています。
栗原さんには、我々がふつうの仕事と思っている道は選択肢になかったわけです。

そもそも、モデルの仕事は思いで作りになればということで始めたそうなのですが、栗原さんが仕事として考えたいと言い始めたためモデルや俳優などの芸能活動を仕事として目指したそうです。

ただ、現在のようにたくさんの仕事に恵まれ、有名になって・・・ということではなく、30歳くらいまでには人並みに、親の手を離れ、一人暮らしができ、自分自身が食べていける芸能の仕事と足りなければ英語の教師をするようなつつましやかな目標だったそうです。

親が冷静に子供の適性を見てあげられること、子どもが興味をもって取り組めること、そしてそれにしっかりと親が協力して自立できるまでよりそってあげること。
先ほどの引用文でも思うのですが、子どもに対してあきらめない気持ちが大切だと。

子どもに将来どうなってほしいのか。それはただ一つ。「幸せになってほしい」です。私の願いはいたってシンプルなものであり、有名人になってほしいとか、高額所得を得てほしいとか、他人から尊敬される人になってほしいとか、成功者になってほしいということではありません。ただ、本人が日々の生活に不満もなく、好きな仕事や趣味を続けて、幸せを感じられればいいと思っています。

子どもが輝ける場所は、親も一緒に探して、ブレないで、そこまで連れて行ってやるくらいの覚悟が無いといけないのかもしれません。発達障害があろうがなかろうが。
発達障害のことが書かれた本ですが、子育て全般に言えることが多すぎるわ。この本。
特に、栗原さん本人だけでなく、お母様も寄稿しているところが本当にいい構成だわ。この本。

■まとめ

小中学生の6.5%に発達障害の可能性があると言われています。
自分の子供に発達障害の疑いが無い場合でも、本書に少しでてきますが、6.5%も発達障害の可能性があるわけですから、発達障害が疑わしい友達というのは小中学校の9年間に、かかわる機会もでてくると思います。

私、発達障害のお子さんをもつ親御さんに読んでほしいというよりも、そうでない親御さんに特に読んでほしい本だと思いました。
自分の家庭で特に問題になっていないのであれば、わざわざ発達障害関係の本なんて読まないと思うんですよ。学校関係で講演とかあったとしても参加する人は限られていますしね。

本書を読み終えて思うのは、我々周りの人間の発達障害への理解が、低いということ。そして知識が必要だということ。
深く専門的に理解する必要は無いと思いますが、本書を通じて概要を知るだけでも、発達障害を持つ子供への接し方、そのご両親の苦労や気持ち、取組みを、何も知識の無い今よりも、ずいぶん理解できるようになると思います。
なにより、発達障害への偏見が無くなることが何より大きいよね。と思いました。
本人やご家族の苦労、我々にできないすごい部分もたくさんあるのだということも、少しだけ理解できるようになりますしね。

そして、栗原類さんが書いた本であることが大きいと思います。
著名な人が書いた本ですから、興味をもって読むことができます。

また、お母様と主治医、そして友人(又吉直樹さんは対談だけど)も寄稿しているので、栗原さんの話の真意はこうだったのか、とか、実は裏でこういうことが起こっていたのか。など知ることもでき、またお母様の教育方針やご苦労も知ることができ、発達障害を知る入門書として十分な情報量ではないでしょうか。

栗原さんは短期記憶が弱く、長期記憶へ情報が変換されにくいそうで、本を書くにあたり、忘れてしまったことも多かったそうです。そのため原稿作成に1年以上を費やしたそうです。冒頭でその事実を知り、読み始めましたが、よくぞここまで書き上げたなと思いました。周りのご苦労もすごかっただろうな。でもちゃんとそのことについても分かっていて感謝を忘れない栗原さん、この本を読む前より興味が出てきました。

出版されたばかりの本ですが、より多くの方に末永く読まれることを望みます。

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