著者:清水健一郎
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私がリッツ在籍中、やはりOPスタッフということもあり、今は独立されたり著名になられているサービスマンや経営者が多くいらっしゃいます。
私もその一人です。

そして、「伝説のコンシェルジュが明かすプレミアムなおもてなし」を書かれた前田佳子さんも、また同じ時期に仕事をさせていただいていたお一人。

といっても、私が在籍中は、他部署と言う事もあり、実際、前田さんとお仕事をご一緒させていただいた事はあまりありませんでした。

しかし、毎回、お客様からの要望をコンシェルジュデスクに伝えに行くと、笑顔で対応してくださり、話やすく頼りになる方でした。
特筆すべきは、お客様からの要望に対する対応のクオリティー、スピードは神様レベル。
まさに雲の上の上司コンシェルジュというイメージを持っていました。

そんな前田さんに一度だけ、トラブル解決トレーニングで苦情処理のシミュレーションをしていただいた事があります。

伝説のコンシェルジュの貴重なアドバイス

4人のマネージャークラスの上司の前で苦情処理のシミュレーションを行うのですが、その中の一人に前田さんもおられました。
そして、当時22歳で非常に未熟だった私に、幾つもアドバイスをくださった事を昨日の様に覚えています。

なぜなら、シミュレーションとはいえ、当時の私はダメダメ。まともに対応することができません。
懇切丁寧なアドバイスをいただいている最中、考えていたことは、「穴があったら入りたい。」でした。いや、恥ずかしかった・・・

肝心のシミュレーションの設定は、昨晩、ラウンジに来店されたお客様のズボンに溶けたチョコレートがこびりついていて、知らずに車を運転し革製のシートにチョコレートがついてしまった。そして、お客様はチョコレートを食べてもいないし、頼んでもいない。前のお客様がチョコレートで汚してしまった椅子に案内され座ってしまったのが原因ではないか?という設定で、電話対応のシミュレーションでした。

繰り返しですが、今でもあのトレーニングを思い出すと恥ずかしくなります。
シミュレーション中、私は情けないことに言い訳ばかりしていました。

そんな、思い出すのも恥ずかしいトレーニングの際に、私は前田さんから貴重なアドバイスをいただきました。

そのアドバイスの一つがこの本に書いてあります。
それは、

「お客様の立場で考える。お客様の心に寄り添って考える。まずはお客様のお話を真剣に聞き、お客様の伝えたい事を理解し、理解を示し、次の行動をとる。」

当たり前のように聞こえますよね。
しかし、当時の私には身に染みる言葉であり、また、「わかっていてもできていない」ということも多々ある、ということを、色々な場所や環境で学んできました。

おかげさまで、今ではコレなくしてホスピタリティではない。
と、当たり前の様に考えて、自然とそのように行動するようになっています。

振り返ってみると、あの前田さんの前での恥ずかしい経験のおかげで、そのトレーニングは一生忘れる事のできない学びと、その後の意欲に繋がったと思っています。

在籍中もっと色々な事に教えを乞うていれば、と、少し後悔しておりますが、ホスピタリティを体現する前田さんの本は、一読の価値があります。

ぜひ一度、手に取ってみてください。

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